2019年問題FIT後の売電

2020年度のFIT発表! 固定価格買取制度の最新情報をこちらの記事で解説しています。

2022年度 太陽光発電FIT価格まとめ[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]

「FIT期間が終わったら、太陽光発電の余剰電力を買い取ってもらえなくなるのでは?」と不安が広がった2019年問題。

10kW未満の住宅用太陽光発電がFIT(固定価格買取制度)をつかい、決められた価格で売電できる期間を終える前に、今後の選択肢が明らかになりました。

ここでは、FITを終えた発電設備(卒FIT)の余剰電力を買い取る企業と売電価格などの最新情報を紹介します。
(最終更新:2019年4月)

売電先が変わる「卒FIT」とは誰のこと?

卒FITとは、固定価格買取制度(FIT)で売電を行ってきた、住宅用太陽光発電(10kW未満)の設備を指します。

FITでは、10年間は同じ価格で、発電した電気を売ること(売電)ができました。2019年は、今のFIT制度で2009年に売電を始めた人が、契約期間の満了を迎える年にあたります。今まで大手電力会社で売電してきた人は、秋までにハガキなどで通知がもらえます。

それ以外の企業で売電してきた方は、通知などを確認してみましょう。

買取期間を終えた太陽光発電の扱いについて、長らく不透明な状態が続いていました。これを「2019年問題」といいます。これは、各電力会社が買い取りサービスを整備・リリースし、無事に解決されました。

売電価格が維持される10年間が終わった発電設備は、卒FITとして新しい売電契約を結ぶ、契約せずに自家消費するなど、電気の使いみちを自由に選べるようになります。

大手電力10社は全社で買取継続が確定!

多くの人がこれまで売電してきた大手電力会社(一般電気事業者)は、10社すべてが卒FITの余剰電力を買い取ることを表明しています。

関西電力

買い取り単価

8円/kWh(税込)

※税率10%。FITに基づく売電先が関西電力の場合、買取期間満了後に自動で移行するプランです。売電先が関西電力の送配電部門、または関西電力以外であれば手続きが必要です。

契約期間

買い取り期間終了の翌日から翌4月の検針日の前日まで(一年ごとの自動更新)

対象エリア

滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県(一部を除く)、福井県の一部、岐阜県の一部、三重県の一部

オプション「貯めトクサービス」

太陽光発電の余剰電力を仮想的に貯めて、必要なときに引き出せるサービスです。蓄電池の購入・設置は不要。詳細は夏頃に発表予定です。

公式サイト
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/0422_2j.html

四国電力

買い取り単価(買取プラン適用時)

7円/kWh(税込)

※税率10%。FITに基づく売電先が四国電力の場合、買取期間満了後に自動で移行するプランです。2019年11月1日より順次適用開始。

契約期間

買い取り期間終了の翌日から翌4月の検針日の前日まで(一年ごとの自動更新)

対象エリア

滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県(一部を除く)、福井県の一部、岐阜県の一部、三重県の一部

卒FITの基本サービス「買取プラン」

余剰電力を四国電力に売電し、指定口座に売電料を振り込む基本のプランです。

オプション①「ためトクサービス」

四国電力に余剰電力を預けると、その電力を「自家消費したもの」と見なして相当分の電気料金を割り引くサービス。規定量以上の売電で割増買取あり。蓄電機器の購入・設置は不要です。

ためトク割:ひと月あたり最大150kWhまで、預かった電気相当分の電気料金を割引
割増買取割:上記上限値を超えた余剰電力を8円/kWhで買い取り、その相当分を電気料金からさらに割引
ためトク利用料:月額2,700円

オプション②「蓄電池購入プラン」

四国電力の系列工事店などが蓄電池、エコキュートの提案・販売・設置を行うサービスです。

公式サイト
https://www.yonden.co.jp/press/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/04/22/pr010.pdf

これから詳細を発表する予定の大手電力会社

北海道電力東北電力北陸電力東京電力エナジーパートナー中部電力中国電力九州電力沖縄電力

新電力も卒FITの買取表明! 大手より高い売電価格を要チェック

一方、卒FIT後の電力を買い取る企業も続々と登場しています。現在分かっている情報に基づき、買い取りを表明済みの各企業を紹介します。

昭和シェル石油株式会社

石油元売り大手である昭和シェル石油株式会社では、卒FIT太陽光余剰電力買取サービスを発表しました。契約に条件があるものの、売電単価が8.5円と高いことに注目です。

買い取り単価

北海道、東北、北陸、東京、中部、関西、中国、四国エリア:8.5円/kWh(税込み)
九州エリア:7.5円/kWh(税込み)

契約期間

2019年11月~2020年12月、以後1年ごとに更新

対象エリア

北海道、東北、北陸、東京、中部、関西、中国、四国、九州エリア(離島は除く)

卒FIT売電契約の条件

昭和シェルの電気プランである「選べる電気」の契約が条件です。

公式サイト
https://sss-denki.jp/kaitori/

株式会社スマートテック

太陽光発電などのエコ関連事業で知られるスマートテックでは、独自の固定買取制度であるスマートFITを発表しています。

買い取り単価

2011年3月までに固定価格買取制度を開始:10円/kWh(税込み)
2011年4月以降に固定価格買取制度を開始:確定次第案内あり

契約期間

FIT満了後2年間、以後1年ごとに自動更新

対象エリア

東北、関東、中部、近畿、中国、九州エリア(離島は除く)

公式サイト
https://www.smart-tech.co.jp/smartfit_lp/

株式会社ダイレクトパワー

株式会社ダイレクトパワーでは、エコに関心のある人向きのプランを発表。サービス名は未定ですが、買い取り価格が変動するなどユニークな特徴を持つサービスとなっています。

買い取り単価

JEPX(日本卸電力取引所)の仕入れ価格と連動した価格で調整中
(参考例)2017年度の平均仕入れ価格:10.15円

公式サイト
https://direct-power.jp/post-fit/

ダイレクトパワーのサービスで興味深いのは、単に発電した電気を買い取ってもらうだけではなく、再生可能エネルギーを求めている人に使ってもらえる仕組みになっていることです。

売電収入を得ながらも、環境を意識した電気の使い方をしたい人におすすめのプランとなっています。

買取価格を含め、詳細は決まり次第順次発表される予定です。興味のある人はメールアドレスを登録し、最新情報を受け取れる状態にしておきましょう。

余剰電力買取以外のサービスも注目

卒FIT後の電力の使い方については、売電で現金収入を得る以外にもさまざまな選択肢があります。ここでは、いち早く売電以外の道を示した中部電力と東北電力の取り組みを紹介します。

中部電力に余剰電力を提供すると「WAONポイント」が貰える

中部エリアで提供される「これからデンキ」では、現金の代わりにWAONポイントがもらえるサービスが始まります。

中部電力はイオン株式会社と、卒FIT向けの新サービスを提供することで合意しました。それにより、「これからデンキ」では、イオンと提携した新たな取り組みが始まります。

このサービスでは、太陽光発電の余剰電力を中部電力へ提供すると、その量に応じて「WAONポイント(イオングループで使える電子マネー)」がもらえる予定です。

提供した電力はイオンの店舗運営のCO2排出量削減のために使われるので、エコに関心がある人にとっても魅力のあるサービスではないでしょうか。

東北電力の「ツナガルでんき」では電力の一時預かりを実施

東北電力の「ツナガルでんき」では、太陽光発電の余剰電力を「売る」のではなく「一時的に預けておく」こともできるようになります。

銀行預金と同じ感覚で、電気を預けたり引き出したりできる仕組みです。日中発電した電気を預けておいて夜に使うなど、生活スタイルに合わせて発電した電気を無駄なく使えます。

2019年問題に向けて蓄電池導入を考える人が増加

売電するのではなく、完全自家消費をするという選択肢もあります。これは蓄電池を活用し、作った電気をすべて使い切るというものです。

太陽光発電を利用している人の中でも、蓄電池の導入を検討している人は増えています。発電した電力を利用して電気代を節約したい、近年の自然災害の経験から停電への備えをしておきたい、といったニーズから、販売台数が増加傾向にあります。

もっとも、蓄電池は高価な製品です。災害時の備えなど、蓄電池に価格以外の価値を見いだす人向けの選択肢といえます。

FITが終わっても問題なし!家計が助かる太陽光発電を安く設置するには

卒FIT後はこれまで通りの買取価格で売電するのは難しくなります。そのため、急にお得感がなくなったと感じる人もいるかもしれません。

しかし、その分自家消費の割合を増やせば、電力会社から電気を買う量が減って電気代の節約になります。また、卒FIT向けの新たなプランやサービスが増えている点にも期待が持てそうです。エコで家計も助かる太陽光発電は、今後も普及を拡大し続けることでしょう。

もっとも、これから太陽光発電を始めたい、という場合は、システム導入時の費用が気になるかもしれません。

太陽光発電システムの導入にはまとまった費用が必要になります。かかった費用を早期回収するためには、できるだけ購入費用を抑えることが得策です。

タイナビの一括見積りを活用すれば、複数の見積りの中から最適なプランを選べます。一生の買い物だからこそ、慎重に検討を進めましょう。