宇宙での太陽光発電が実用化に向けて実施されつつあります。

これは宇宙空間で太陽光を集め、それをエネルギーに変え地球に届けるというシステムです。「宇宙太陽光利用システム」と命名されており、実用化に向けての稼動が期待されています。

宇宙太陽光利用システムの仕組みとは?

宇宙太陽光利用システムでは、太陽光パネルを宇宙空間で起動させます。

静止軌道上で太陽光を集め、マイクロ波やレーザー光などの電磁波の形にエネルギーを変換させて、そのエネルギーを地上の受電施設に送ることにより、電気や水素を作り出して利用するシステムです。

宇宙での太陽光発電では、地球で行うそれとは違い、天候に左右されることもなく、太陽がなくならない限りは永続的にエネルギーの供給が可能なシステムであるということで注目されています。

クリーンエネルギーとしても認められており、資源の枯渇がなく、地球に優しいエネルギー供給の案であります。

実現には大規模な予算が必要

もともと宇宙空間での太陽光発電は1968年にアメリカのピーターグレイザー博士が発案しています。しかし大規模な予算が必要となり、国の財政難も拍車をかけ計画が縮小しています。

日本では自国のエネルギー供給の案のひとつとしてJAXAや各大学などで日夜研究されています。マイクロ波やレーザー光での送電に関して地上への安全性が懸念されています。

マイクロ波などは太陽光の強さと同じくらいと考えて研究されていますが、マイクロ波やレーザー光がずれて生物に直接あたるなど、地上や海面に及ぼす影響がまだ研究段階です。

マイクロ波の場合は受電施設の範囲の確保を十分にする、レーザー光の場合は送電施設の姿勢がずれたり、ガイド信号光が切れたらすぐに送電をストップするなどの対策が必要です。

ロケット打ち上げが500回必要?

宇宙太陽光利用システムの一番の問題点はかかる費用にあります。

現在、宇宙太陽光利用システムでは国の予算で2.5億円を投じられています。部品は宇宙空間で組み立てられる予定になっており、そのために500回以上のロケット発射が必要になります。

しかし、一回の打ち上げに約100億円かかると言われており、500回打ち上げるとそれだけで5兆円かかる計算になっています。国ではこれでは採算が取れないので、コストを100分の1以下にするようにと言っています。

他にも受電施設の設置や、安全性確保のための実験など費用がとてもかかります。しかも宇宙空間での建設面でのリスクも考えなければいけまんせん。

宇宙空間で集めた太陽光を地球に送るときに、3キロ圏内におさめて送らなければいけません。この技術は日本が一番発達しているとは言われていますが、まだまだ実用化には達していません。

研究者によると針の穴に糸を通すようなものだと言います。

寿命を迎えた際の処理や処分方法はどうするか?

他にも宇宙空間に太陽光発電パネルがあるときに、整備や補修の安全性、コストを考えなければいけません。太陽光発電施設が運用寿命を超えた場合、それの処理や処分も検討が必要です。

問題は山積みですが、利点も考えられます。たとえば宇宙太陽光利用システムの実施によって期待されるのがロボットやロケット開発の技術向上です。

コストがかかってしまう分、日夜研究者たちが低コストで安全に宇宙空間で作業が可能なものを作り上げようと努力しています。

展望として、宇宙太陽光利用システムが実用化されたときは、高圧鉄塔や電線などが必要なくなるかもしれないとも言われています。

日本はエネルギー供給のほとんどを火力発電に頼ってきました。原子力発電もありますが、東北大震災以降賛成派と反対派に別れ、まだまだ安全性が信用できない状況であります。

もし宇宙太陽光利用システムの実用化が実施されたら、クリーンなエネルギーで供給も安定的なので日本にとってはとても必要なことといえます。