みなさんは2014年9月25日に起こった「九電ショック」という出来事をご存じでしょうか?これは太陽光発電による売電量が、九州電力が持つ接続可能量をオーバーしたため、新規の接続申し込みを保留したというものです。

さらに9月30日には北海道電力、東北電力、四国電力が相次いで保留を発表しました。

2015年度の買取価格に新ルールが適用!

太陽光発電の急激な普及に伴うこうした事態を受け、今年3月19日に発表された2015年度の電力固定買取価格では、これまで対象となっていなかった500kW未満の発電設備に関しても、“一部のエリア”の電力会社は年間360時間に限り、買い取りを拒否できるようになりました。

一部のエリアというのが1つのポイントで、東京電力・中部電力・関西電力の3社が管轄するエリアは接続可能量にまだ余裕があるため、50kW未満の発電に関しては買い取り拒否が認められていません。

ただし、同3社であっても50kW以上であれば買い取り拒否ができますし、そのほかのエリアの電力会社に関しては50kW未満であっても1年で360時間は電力の買い取りを拒むことができます。

出力制御機器って何をする機械なの?

電力会社が電力の買い取りを拒否するということは、それぞれの家庭の太陽光発電システムの出力量を制御するということです。その際に必要となってくるのが「出力制御機器」という装置になります。

この装置を発電システムにつけておくことで、電力会社はインターネットを経由した遠隔指令によって太陽光発電量の出力を制御すること、すなわち電力の買い取りを拒否することができるのです。

ただ、太陽光発電協会によれば、出力制御対応機器は現在メーカーが急ピッチで開発中で、1社を除いては今年の春以降から順次発売する見込みということです。

したがって、出力制御対応機器の設置義務があるエリアにおいて、4月1日以降新たに太陽光発電設備を設置しようとする場合は、一旦、現在発売されている設備を購入しておいて、出力制御対応機器が発売されるようになってから、追加的に

  1. パワーコンディショナーのソフトウェアの更新
  2. 通信モデム付新制御ユニットの設置・交換

をおこなうことになります。

唯一、すでに出力制御対応機器の開発を終えている1社が日新電機株式会社で、同社は4月1日から全機種のパワーコンディショナーに出力制御機器を搭載すると発表しました。出力制御機器を搭載したパワーコンディショナーは遠隔地からの制御指令を受け取り、時間単位できめ細やかな出力制御をおこなうことが可能となります。

出力制御機器の費用と電力買取価格について

出力制御機器が一体いくらくらいするものなのかというと、一般的な住宅の発電量である10kW〜50kW未満の場合では、1kWにつき1万7千円ほどだといわれています。

それなりの値段がするわけですが、接続量をオーバーしたのは電力会社の都合にも関わらず、出力制御のための費用をわたしたちが負担しなければならないのは理不尽だ、と思われる人も多いでしょう。

政府もそうしたことへの配慮を怠っておらず、2015年度の住宅用太陽光発電(10kw未満)の買取価格は2段階の価格設定を設けています。

50kW未満であれば出力制御対応機器の設置義務がない、東京電力・中部電力・関西電力の価格は1kWhにつき33円。これに対し、そのほかのエリアのように出力制御対応機器設置義務がある場合は、1kWhにつき35円と差をつけています。

設置義務がある場合は2円高く買い取ることで、機器設置義務の有無による不公平をなくすようにしているのです。

今年から固定価格買取制度は少し複雑になっていますが、太陽光発電で収入を得るために大切なのは、正確な情報をいち早く得ることです。積極的に情報収集をおこなうことで、よりおトクな売電ライフを満喫しましょう。