全国の太陽光発電所を購入した、または購入を検討したユーザー133人を対象に「太陽光発電所とメンテナンスに関するアンケート調査」を実施しました。

平成21年の固定価格買取制度の施行以降、高利回りで安定した新しい投資方法として注目を集め、日本中に急増した産業用太陽光発電ですが、近年では各地で建設時の施工瑕疵や台風などによる災害被害などのトラブルが多発し、問題となっています。

経済産業省では2016年度からの太陽光発電所設備の保守メンテナンスの義務化に向けて、2015年10月より小委員会が設置されました。

当初は“メンテナンスフリー“というイメージが先行していた太陽光発電ですが、はたして実際の産業用太陽光発電所所有者の保守・メンテナンスに対する意識はいかがなのでしょうか。

今回アンケート調査に協力してもらった人は「太陽光発電を所有している人」72名と、「太陽光発電を所有していない人」62人で、その結果「太陽光発電を所有している人」のうち、90%がメンテナンスの必要性を感じているにもかかわらず、60%が「メンテナンス契約をしていない」と回答しました。

■調査概要  : 太陽光発電所とメンテナンスに関するアンケート調査
■有効回答  : 太陽光発電所の購入した、または購入を検討したことのある全国のユーザー133名
■調査方法  : インターネットによるアンケート調査
■調査期間  : 2015年9月18日~2015年9月25日

(1)4人に一人にトラブル発生!20%が発電量低下を体験!

太陽光発電所所有者に、「急に発電量が落ちるなどのトラブルが発生したことはありますか」と質問したところ、24%の人が「発生した」と回答しました。

また、「発電開始時と比べて、発電量に変化はありましたか」と質問したところ、20%以上に人が「少し下がった・下がった」と回答しました。

トラブル内容は「パワーコンディショナーの故障・停止」が最も多く、次いで「ブレーカーの故障・停止」が多く見られました。

中には、『ブレーカー部分の溶接不良で、ショートして落ちたことがあった』(N.Kさん/東京都)という回答もあり、発電所の施工時点での施工瑕疵により、後に売電損失に発展したという人もいました。

また、発電所所有者に「台風や地震などの自然災害が発生した際、発電への影響は心配になりますか」と質問したところ、95%以上の人が「心配になる」と回答しました。

(2)発電所所有者の90%がメンテナンスの必要性を感じているにもかかわらず、60%が未契約!

こうした発電量低下などのトラブルが発生していることもあり、発電所所有者のほとんどがメンテナンスの必要性を感じているようです。

発電所所有者に「太陽光発電はメンテナンスフリーのイメージが先行していますが、メンテナンスの必要性は感じていますか」と質問したところ、90%以上の人が「メンテナンスの必要性を感じている」と回答しました。

一方、太陽光発電所を所有している人に、「メンテナンス契約はしていますか」と質問したところ、60%の人が「メンテナンス契約をしていない」と回答しました。

メンテナンスの必要性を感じているにもかかわらず、メンテナンス費用等を考え、メンテナンス契約に踏み切れていない人が多いことがわかりました。

(3)メンテナンス契約者の70%以上が購入した販売店で契約!しかし3割からは不満の声も。

メンテナンス契約をしている人に「どのようにメンテナンス会社を決めましたか」と質問したところ、72.4%の人が「購入した販売店」と回答しました。

さまざまなメンテナンス業者のメニューを見比べることなく、施工・購入した販売店にそのまま契約してしまう割合が高いことがわかりました。

しかし、「現在契約しているメンテナンス会社に満足していますか」と質問したところ、27.6%の人が「満足していない」と回答しました。

満足していない理由としては、「点検レポートが送られてこない」という意見が最も多く、次いで「問い合わせへの対応が遅い、緊急時の対応スピードが遅い」という意見が多くありました。

さらに、『(定期点検の契約をしているにもかかわらず)まだ一度もメンテナンスに来ていない』(S.Kさん/岩手県)という人もいました。

太陽光発電の施工会社は、メンテナンスの専門業者ではなく、あくまで太陽光発電の施工が専門。メンテナンスのレポート作成やスピードを要する問い合わせ・緊急対応に関してはどうしても手が回らない現状があるようです。

(4)契約メンテナンスメニューの多くは定期点検・遠隔監視による発電量モニタリング!

メンテナンス契約をしている人に「契約しているメンテナンスメニューに何が含まれますか」と質問したところ、「定期点検」が93.1%と最多で、次いで「発電量モニタリング」が86.2%でした。

また、「緊急対応」「除草対策」などがそれに続いて70%以上でした。

「パネル洗浄」は55.2%と、メニューに含まれていない人が多いようでした。発電量の低下という部分に関して対策をしている人がほとんどでしたが、「防犯カメラ」は13.8%と低く、盗難などへの対策をしている人は少ないようです。

また、「遠隔監視はつけていますか」と質問したところ、78.6%の人が「遠隔監視をつけている」と回答しました。メンテナンス契約をせずに、遠隔監視のみ設置し、自分で日々発電量の確認を行っているという人も多いようでした。

(5)運用時からの初期不良のリスクを知らない人が3割以上!約8割が引渡し検査を希望!

太陽光発電所所有者に、「発電所運用開始時に初期不良があり、最大限発電されていない場合があることはご存じですか」と質問したところ、36.1%の人が「知らない」と回答しました。約4割の人が、運用開始時から発電不良があって、気が付かずに売電ロスをしている可能性に気が付いていないのです。

一方、「発電所運用開始時の初期不良を予防するために、引き渡し時の立会い検査サービスがあれば利用したいと思いますか」と質問をしたところ、78.9%の人が、「利用したい」と回答しました。

近頃は建設業者の施工ミスが社会問題となっており、信頼できる工事業者だとしても、発電所の工事完了の時点で初期不良・施工不良は他人事ではありません。

特に太陽光発電所を購入した方の大半は遠隔地に発電所を所有し、発電所の引渡しに立ち会えない人がほとんどです。実際に売電運用が始まってから施工不良が発覚したとしても、それが引渡し前の不備なのかを証明することは非常に困難です。

そういったことから、引渡し前に第3者のメンテナンス専門業者による引渡し時の立会い検査が注目されています。

(6)今、工事業者ではない、メンテナンス専門業者によるセカンドオピニオンへの注目高まる!

こうした現状もあり、近年太陽光発電専門のメンテナンス専門業者が増加しています。「施工状態と発電量が適正かどうか検査するセカンドオピニオンサービスがあれば利用したいと思いますか」と質問したところ、77.1%の人が「利用したい」と回答しました。

売電運用を開始した後でも、施工状態と発電量を検査するセカンドオピニオンサービスを行うことで、発電量の低下の原因を発見できるだけでなく、将来的に大きなトラブルに発展する可能性がある不良を未然に修復することで、経年劣化以外の原因による売電損失を回避し、発電ロスを最小化することができるのです。

現在、太陽光発電所の発電ロスや発電リスク回避のために、国・太陽光発電所所有者ともに太陽光発電のメンテナンス契約の必要性を重く認識し始めています。

安定した電力供給を守るために、そして発電所所有者は発電事業の元来の目的である「20年間の安定した事業収益」を保持するために、施工状態や発電量を第3者視点で検査する信頼性の高いメンテナンス専門業者の存在が求められています。