パワーコンディショナーでの電力確保は、太陽光パネルと系統から電力を取り込むようになっています。太陽光パネルから取り込む電力を有効電力といい、パワーコンディショナーの系統で発生し他で使われることなく再び系統に戻ってくる電力を無効電力といいます。

無効電力量が多くなるほど有効電力の取り込みが抑えられ、売電量なども変わってくるものとなるのです。

電圧の上昇を抑える無効電力

無効電力による系統の電圧上昇の抑制方法には、2つの方法があります。

一つは、指定された電圧値を超えると、指定した数値以下になるように無効電力を注入して電圧を抑制。もう一つは、無効電力と有効電力の比率を一定に保つ力率一定制御です。

力率制御については、ほとんどのメガソーラーにおいて電力会社から連系条件として指定されています。売電するためには、事前に電力会社と連系協議を結ぶ必要がありますが、この際に変電所から送電距離から算出した力率が指定されます。

指定された力率をベースに、電力系統に送電する際に制御することとなります。

パワーコンディショナーにかかる負荷

太陽光パネルから得た電力から無効電力が作られるわけではないので、発電分に対して損失が出るといったことはありません。ただ、パワーコンディショナーにとっては、電力系統からの入力と太陽光パネルからの入力と両方を処理しなければいけないので負担となります。

無効電力が増えるほど、有効電力を制限することになるのです。系統連系規程では力率一定制御における注入限度を85%程として、無効電力の出力は15%以内にするように定めています。

系列連系とは、一般家庭において発電した電力では足りない負荷電力を電力会社の電線から補給できること。余剰電力が出た場合は、電力会社の電線に流し込むことが可能となりますので、発電設備における負荷率を最大100%まで引き上げる事ができます。

ただし、電力会社が供給する電力と同品質のものが要求されることとなり、周波数の上昇や低下などのが発生した場合では、電力会社の系統から切り離されることもあるのです。

電圧抑制リスクを減らすために気を付けたいこと

パワーコンディショナーの取り付けには、電圧降下の計算から出した適切なケーブルの選択、規模に合わせた電気方式が重要。できれば、無効電力注入(力率一定制御)機能つきのパワーコンディショナーにするのが望ましいです。

そして取り付け後は、電圧抑制が発生しているかどうかをモニターで発電量データを習慣的にチェック。電力会社のデータだけで電圧抑制の有無を判断するのは難しいですし、20年といった長期間に渡って行う固定価格買取制度において発電量の確認ができる環境は必須なのです。

電圧抑制リスクが高い場合の処置

設置してる発電設備において発電量に対して影響が出てしまっている、もしくは接続ケーブルの変更なども難しい場合では、電力会社に引込点における電圧測定とパワーコンディショナーの電圧抑制整定値変更の検討、トランスのタップ変更や増設ができるかどうを確認してみます。

これらの作業は電力会社だけでなく施工会社にもお願いしなければいけないこともあり、費用はもちろん時間もかかるものとなります。

太陽光発電の施工前であればリスク対策も容易となりますので、これから施工する人は念頭に置いてシステム設計をおこないたいものです。

今後ますます重要となる電圧変動対策

太陽光発電の設置する際には適正な電圧を維持するための電圧変動対策が望まれており、今後ますます設置する家庭が増える事で電圧変動対策も重要なものとなります。

特に、広い範囲における供給電圧の適正化において、パワーコンディショナーの制御運転が軽減する力率一定制御の採用は重要視されているのです。