一般家庭における太陽光発電システムにかかる1キロワット時の発電コストが、電力会社が設定している電気料金とほぼ同額になっている事が、自然エネルギー財団の研究員による試算から明らかになりました。
この状態をグリッドパリティーと呼びます。
グリッドパリティーとは?
グリッドパリティー(Grid parity)とは、再生可能エネルギーによる発電コストが電力会社と同じくらいのなるか、安価になった場合のことをいいます。設置条件や電力使用量や料金などによって条件も異なる為、その定義は曖昧で定まっていません。
太陽光発電のコストは下がってきており、一部の地域ではグリッドパリティーが報告されています。
また、集光式太陽熱発電(CSP)もにおいては、好条件の地域ではグリッドパリティーが見込まれており、他の再生エネルギーでも価格競争が激化してきていることからも、少しずつグリッドパリティーに近づいてきています。
全国平均と並んだ!?近年みられるグリッドパリティー状況
電力会社から購入するよりも、太陽光発電で発電させたほうが割安になるといったことを指摘したのは、東京都港区にある自然エネルギー財団に所属する木村啓二上級研究員。
2014年7月~9月までの一般家庭における発電コストが、1キロワット時当たり26~29円となっており、これは電力会社が設定している電気料金の全国平均と同等とする、グリッドパリティーに達したと試算しています。
その年の10月~12月には、さらに25~28円まで下がり、これは電力会社を下回るものとなりました。
グリッドパリティーの影響力
グリッドパリティーに達すると、電気会社から電力を購入するよりも太陽光発電で得た電力を使った方が安くなります。ただ、これはあくまでも紙の上での計算。
環境や家族構成、太陽光発電システムの稼働状態などで変わりますので、あくまでも参考程度にしかならないといった慎重な意見もあるのです。
また、発電した電力は売らずに蓄電池に溜めて、必要な時に使う完全自家消費のほうが経済的といった考えもありますが、蓄電池に初期費用がかかかるので、買取価格次第では損をすることになります。
グリッドパリティーはあくまでも計算上のものとはいえ、一般家庭で使う太陽光発電システムのコスト低減を反映していることは間違いなく、その影響力で太陽光発電が購入しやすくなっています。
グリッドパリティーの計算方法
発電コストの計算方法は、「20年間使われたと想定した太陽光発電のトータルコスト÷総発電量=発電コスト」です。トータルコストとは、調達価格等算定委員会において公開された数値。
調達価格等算定委員会は、再生可能エネルギーの買取価格を決める為に経済産業省が設置した委員会です。総発電量は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がもつ日射量データで、条件として出力が年率0.5%低下することも加わっています。
また、10年国債新規発行流通利回りや住宅ローン利率を割引率に適用させ、電気代の全国平均値については「電灯料金収入÷需要=1キロワット時あたりの単価」を。もちろん、省エネ制度による固定価格買い取り制度(FIT)による賦課金もプラスしています。
3段階に分けられるグリッドパリティー
グリッドパリティーには、発電コストによって第一段階・第二段階・第三段階と分けられています。日本での第一段階グリッドパリティーは、1キロワット時あたりが一般家庭の平均でもある23円。第二段階グリッドパリティーは、業務用レベルの14円。
第三段階グリッドパリティーは、汎用電源並レベルの7円としています。グリッドパリティーに達してしまうと、太陽光発電で電力を得たほうが安くなり、補助金などがなくても市場経済活動だけで導入を促すことができるようになります。
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