急激に普及が進んだ太陽光発電
電力をまかなえるだけでなく、余った電気を売ることで収入が得られる太陽光発電。最近ではすっかり定着してきた感がありますが、この太陽光発電がここまで普及する大きなきっかけとなったのが、東日本大震災でした。
政府は電力会社による電気供給だけではなく、自然エネルギーを活かした発電を積極的におこなうことで、災害などに強い国をつくろうと考えたのです。
そこで2012年7月から開始したのが電力の「固定価格買取制度」です。これは太陽光や風力といった再生可能エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取るよう、国が定めた制度です。そのため投資家から一般家庭まで、多くの人の関心を集めるようになりました。
この固定価格買取制度に呼応するように、各メーカーもこぞって太陽光発電システムの開発に取り組んだ結果、設備の価格低下もかなり進みました。
2011年10〜12月期の1kWあたりの設置費用は新築用で46.8万円、既築用で53.7万円だったのに対し、2013年10月〜12月期には新築用で38.5万円、既築用で42.6万円となっています。
新築用と既築用を合わせた平均価格も51.7万円から40.9万円となっていて、およそ10万円近く安くなったことになります。
太陽光の普及によって生まれた弊害
国の政策と価格低下によって太陽光発電が普及し、2012年度の太陽光発電パネルの出荷量は住宅用が628kW、非住宅用が284kWで、合計911kWとなりました。
1年前の2011年度の出荷量は住宅用が441kW、非住宅用が90kW、合計531kWだったのを考えると、ほぼ倍近くにまで伸びたことになります。
太陽光発電の普及が進めば、政府の思惑通り、災害に強い国に一歩近づきます。しかし、太陽光発電が急激に増えたことで、九州電力をはじめとする一部の電力会社の接続量がオーバーするという、思わぬ事態が起こってしまいました。
本来、電力会社は500kWを超える大規模な太陽光発電に関しては、年間30日までは接続を拒否することが認められています。これが、いわゆる「30日ルール」というものです。
そして今年3月19日に発表された再生エネルギーの固定価格買取制度では、電力会社の相次ぐ接続量オーバーという事態を受け、500kW未満の電力に対してもそれぞれの地域の規定により、年間360時間は接続を拒否できるという、新ルールが盛り込まれました。
電力会社が「接続を拒否できる」ということは、言い換えれば「発電量の出力を制御できる」ということになります。つまり、接続拒否=出力制御ということなのです。
エリアによって出力制限は異なる
太陽光発電の接続拒否、すなわち出力制御にあたっては、全国の電力会社を「北海道電力・東北電力・四国電力・九州電力・沖縄電力」「北陸電力・中国電力」「東京電力・中部電力・関西電力」の3つに区分して、それぞれによって異なるルールを定めました。
特徴的なのは接続可能量にまだ余裕がある東京・中部・関西の区分で、この地区に限っては50kW未満の発電量であれば接続を拒否してはいけない、というルールになっています。
しかし、その他の2つの区分に関しては、50kW未満の小規模な発電であっても、年間360時間の接続拒否が認められることとなりました。
今年2015年度から新たに導入された「出力制御」という考え方は馴染みが薄いかもしれませんが、きちんと理解することで、よりおトクな売電につながります。そのためにも、積極的に情報収集することをお薦めします。
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