平成27年度の買取価格は33円/kWhまたは35円/kWh

3月19日、ついに平成27年度の太陽光発電の正式な売電価格が決定しました。今回の決定では10kW未満の住宅用太陽光の場合、「出力制御対応機器設置義務あり」のエリアについては35円/kWh、「出力制御対応機器設置義務なし」のエリアについては33円/kWhとなっています。

平成26年度は一律37円/kWhだったことを考えると、若干値下がりしたカタチです。

また今回の決定では、「出力制御対応機器の設置義務があるかないか」という、これまでには無かった新しい区分ができたのも特徴です。この出力制御対応機器という言葉は聞き慣れないので、少し詳しくみてみることにしましょう。

なぜ機器の設置が義務づけられたのか?

そもそも政府が電力の固定価格買取制度をスタートさせたのは、2012年7月。太陽光をはじめとする再生可能エネルギーを普及させようと、ドイツやスペインなどでの成功事例を参考に開始させました。

国は補助金を出すなどして太陽光発電の導入を促進したほか、各メーカーも太陽光発電装置の開発に積極的に取り組み、多くの人にとって手の届く価格となりました。(ちなみに現在では国の補助金制度は終了し、各市区町村単位での補助がおこなわれています)。

その結果、太陽光の普及が進み、2013年に日本で設置された太陽光発電の規模は世界で2番目だったといわれています。

太陽光発電がうまく普及したのはいいのですが、あまりにも急激に増えすぎたため、今度は送電線への接続申し込みが大幅に増加するという事態が起こってしまいました。

それによって、九州電力、北海道電力などの一部の電力会社では、新しい申し込みを保留することになってしまったのです。

本来、固定価格買取制度では、500kWを超える非住宅用太陽光で発電した電気は、1年のうち30日は買い取りをしなくてもいいということが認められていました。

しかしこうした送電線への接続申し込み急増を受け、今回の決定では新たに500kW未満の発電設備に関しても一部の地域では年間360時間まで買い取りを拒否することができるようになったのです。

この買い取りの拒否のために必要なのが、発電量を制御するための装置である出力制御対応機器なのです。政府は平成27年4月1日以降、特定のエリアで接続契約申し込みが受理された発電設備に関しては、この機器の設置を義務づけることとしました。

エリアによって設置義務は異なる

年間360時間買い取りを拒否できるのは、全国どのエリアでも、というわけではありません。発電設備の接続可能量に余裕のある東京・中部・関西の3エリアでは、50kW未満の小規模な発電設備に関しては買い取りを拒否することができません。

つまり、東京・中部・関西エリアに関しては出力制御対応機器の設置義務はないということです。

今回の決定ではこのように全国を「東京・中部・関西」「北陸・中国」「四国・沖縄」「北海道・東北・九州」という4つのグループに分け、それぞれによって買い取りの適用範囲を細かく定めています。

ここでもう一度、平成27年度の電力買い取り価格をみてみると、東京・中部・関西のエリアに限っては出力制御対応機器の設置義務はなく、たとえそうした機器をつけていたとしても33円/kWhで、そのほかのエリアに関しては出力制御対応機器の設置が義務づけられていて、買い取り価格は35円/kWhとなります。

太陽光発電は早めの設置がおトク

電力の買い取り価格は2010年=48円、2011年・2012年=42円、2013年=38円、2014年=37円、2015年=35円・33円と、その金額は段々と下落してきています。

今後も下がっていくことが予想されますので、太陽光発電で売電収入を得たいと考えている方は、早めに設置するほうがいいかもしれません。

また、来年度からは一般家庭への電力自由化によって、多くの新電力(PPS)が1円高く買い取ることを発表しています。そのメリットを享受するためにも、できるだけ売電価格が高いうちに設置したほうがおトクといえるでしょう。