太陽光発電システムは太陽電池表面に汚れや傷、影ができていることで発電量が低下することがありますが、設置したばかりの真新しい太陽光発電システムでも影響を受けるのがソーラーパネルの温度の上昇。熱が引き起こす発電効率低下による発電量のロスです。

太陽光発電システムといえば太陽の光を浴びて発電するのだから、真夏の暑い時期や気温が高い地域が有利と思いきやそうでもありません。太陽電池は熱に弱いという弱点があるのです。太陽電池モジュールがなぜ暑さに弱いのか解説します。

太陽光発電が最も効率よく発電する「パネル温度」は25℃

太陽光発電システムを選ぶときに重視されるのは、公称最大出力と変換効率といった数字で表される性能ですが、公称最大出力が◯◯Wに、変換効率が◯◯%…この数字は一体どこから出てきたのでしょう?

各メーカーが紹介するパネルの性能は、測定時のモジュールの温度が25℃であることが国際的に定められています。さらに25℃というのは太陽光発電が最も効率よく発電できる温度で、それ以上温度が上がると発電効率は下がる傾向にあるとも言われています。

測定基準はパネルの温度であって、気温ではない

注意したいのが、パネルの性能を測定するときのこの25℃という温度はパネルの表面温度のことであり、屋外の気温のことではありません。

陽の光が直接当たるように設置され、さらに屋根の照り返しを受ける太陽光発電システムは、外の気温が25℃だとしてもかなり暑い環境に置かれることになります。

冬季でも太陽電池モジュールの表面温度は40℃ほどに達することもあり、真夏の炎天下ではなんと70℃に届いてしまうこともあるのです。

つまり太陽光発電システムが最も効率よく発電できるのは、太陽光は当たるけれど気温は高くない、涼しいときということになります。太陽電池モジュールの温度が25℃でない場合は、表示されている通りの性能は発揮できないのです。

太陽光発電システムが熱を持つ原因

太陽光発電システムはを電気に変換する半導体の仕組みとして熱に弱い事が挙げられ、特に最も普及率が高い結晶シリコン系のソーラーパネルが影響を受けやすいと言われています。ソーラーパネルはただの板ではなく、太陽電池という半導体の集合体です。

半導体の仕組みにより、パネル本体が高い熱を帯びると発電効率が落ちるというのは太陽光発電システムの宿命と言って良いでしょう。

モジュールの温度を25℃から1℃上昇させるごとに結晶シリコン系のソーラーパネルの出力は0.45%程度の低下が見られるそうです。結晶シリコン系は発電効率を高めやすい素材ですが、熱に弱いという特徴があると言えるでしょう。

温度が上がると壊れやすくなるのではなく、正常に動作しながらも発電効率が低下しやすいということです。一般的に電子機器は熱で処理速度が落ちたり故障すると言われますが、電子機器である太陽電池モジュールにも同じことが言えます。

「カタログスペック」よりも「実発電量」が大事

温度の上昇に対する弱点があると言われる太陽光発電ですが、パネルが熱くなっても発電効率が落ちないように工夫された太陽光パネルも開発されています。ソーラーフロンティアのCIS太陽電池やパナソニックのHIT太陽光パネルが有名です。

CIS太陽電池にいたっては、曇りなどの日照条件が悪い中でも結晶シリコンタイプよりも多く発電するという特徴があります。公称最大出力が少ないものの、表示性能以上の実力を発揮するため、JIS規格の「カタログスペック」上は他メーカーと比べて不利と言わざるを得ません。

太陽光モジュールを選ぶ際は、メーカー公称の「カタログスペック」に踊らされることなく、実際に発電する量「実発電量」を重視されることをお勧めします。

住まいの気候にあったソーラーパネルを選ぼう!

あなたのお住まいの地域は気温が高くなる時期が多いですか?地域の特性によって最適なパネルの種類が変化しますので、地域特性と合致するパネルを選ぶことが発電量を増やすことにおいて重要です。地域の天候を知り尽くした地場の販売店に相談してみてはいかがでしょうか?