一般的な家電製品なら、最後はリサイクルショップや粗大ごみで処分できます。それでは、太陽光発電を捨てるときは、一体どうするのでしょうか?
今回は、住宅用太陽光発電の処分方法や費用などについて、詳しく説明していきます。
太陽光発電を始めるときは、設置と運用だけでなく、廃棄についても想定しておくことが重要です。太陽光発電の導入を検討されている方は、ぜひご参考にしてください。
太陽光発電の撤去と廃棄にかかる費用はどれくらい?
太陽光発電設備の撤去を行う場合の費用を具体的にみていきましょう。
発電設備の撤去は、住宅の修繕や解体など「建物の取り壊しと同時に行う」場合と、発電設備の不具合や寿命による交換など「単独で取り外したい」場合があります。それぞれについてみていきましょう。
住宅の解体に伴う撤去の場合
ソーラーパネルが屋根などに設置されている場合、撤去には足場が必要になります。費用は住宅の高さにもよりますが、二階建て住宅の場合はおよそ20万円ほど。屋根から取り外したあとの発電パネルの処分費用はこれとはまた別途かかります。
単結晶ソーラーパネルは、安くて1枚あたり1,200円ほどの料金で回収してもらえるケースがあります。20枚ほどの太陽パネルであれば、リサイクル費用と運搬費も含めて5万円ほど。足場と合わせたトータルでの撤去・処分費用は、25万円ほどになります。
なお、住宅を解体する場合で発電設備も同時に取り外す場合、足場組の費用や設備取り外し費用は解体費用に含まれることが多いようです。
発電設備だけを取り外す場合
発電設備がの寿命による撤去や交換を迫られる場合や、災害などによる破損の場合などには取り外して撤去する必要があります。
この場合の撤去・処分費用は、上の住宅の解体に伴う場合に準じますが、取り外しだけ業者に行ってもらい、あとは自分で処分するというケースも多いようです。
環境省・経済産業省の調査によれば、その取り外しの単体での費用は平均で9万円ほどです。ソーラーパネルは上記費用でリサイクル業者に回収してもらい、その他の設備は一般廃棄物として廃棄します。
架台やパワーコンディショナー、接続機器類、モニター・メーター、電子機器類などは粗大ごみとして自治体に持ち込むことになりますが、その費用ついては自治体ごとに異なります。一般に処理設備が整っている自治体では費用も控えめになっているようです。
タイミングごとに異なる太陽光発電の廃棄の仕方
太陽光発電を廃棄するタイミングとしては、住宅のリフォームや売却、発電機器の故障時などが考えられますよね。
いずれの場合も、廃棄物を取り扱うときのルールに従わなければなりません。それぞれの廃棄の流れについて見ていきましょう。
家をリフォームするとき、もしくは解体するとき
住宅を修繕する、あるいは解体するのに伴って発電設備を撤去する場合は、住宅の解体業者がゴミの排出者になります。この場合、撤去された設備は「産業廃棄物」として扱われ、その業者が処分します。
なお、自力で太陽光発電を撤去するのは感電や転落のリスクがあり、大変危険ですのでお止めください。
発電設備の故障か寿命で買い換えるとき
発電設備の故障や不具合、あるいは設備の寿命による交換のとき、処分を検討する可能性もありますよね。(故障や不具合は保険や保証が使える可能性があります)
この場合は発電システムを施工した業者、あるいは販売業者(メーカー)が装置を撤去することになります。発電システムを施工した業者かメーカーが排出者となり、こちらも産業廃棄物として扱われます。
発電設備が事故や災害で地上に落下していたとき
事故や災害によって発電設備が破損したり、台風などによって落下する、という場合も想定されます。その撤去については、ソーラーパネルが外れて地上に落下していた場合には、自己で廃棄することになります。
この場合、「一般廃棄物」として扱われますが、その処分方法を巡っては地方自治体のごみ処理規定に準じることになります。「粗大ごみ」として処分できるのかどうかなどについては、各自治体の担当窓口に廃棄方法を確認する必要があります。
ただし、太陽光発電は太陽が出ているだけで発電しますので、故障しているように見えても電気が通っている場合があります。
怪我や感電などのリスクを避けるために、太陽光発電の対処ができる業者に問い合わせるのが一番です。
機器ごとに異なる太陽光発電の廃棄の仕方
一般に太陽光発電は、ソーラーパネルとこれを支える架台、パワーコンディショナーのほか、モニターやメーターといった数々の機器で構成されています。
それぞれの廃棄方法について、みていきましょう。
ソーラーパネルと架台
解体されたソーラーパネルや架台などは、解体業者から産業廃棄物の中間処理業者に託されます。
受け取った処理業者はこれをさらにリサイクルできるよう金属類やガラス等へと分類するとともに、リサイクルできないものは埋立処分場へ持って行って廃棄できよう仕分ける作業を行います。
公共機関で引き取られた設備ゴミのその後は、公共もしくは公共機関が指定する民間の廃棄物処理施設で解体され、リサイクルできるものと埋立て処分するものとに分けられて処分が終了します。
パワーコンディショナー・接続箱などの関連機器
太陽光発電のなかでも、パワーコンディショナー、接続機器、モニターやメーター、その他の電子機器類などの関連機器は、寿命による廃棄の頻度が高いでしょう。
一般に20~30年ほどは使えるソーラーパネルと比べて、これらの機器の寿命が短く、10年~15年ほどである場合が多いためです。つまり、ソーラーパネルの寿命に至るまで少なくとも1回は交換することになります。
メーカー保証を使う場合、それを施工した業者などに取り外しと交換を無償でしてもらえます。
保証期間を超えていても有償で交換に応じてくれる場合がありますが、その場合の廃棄費用も撤去料金の中に含まれるかは、業者に確認しておくほうが良いでしょう。
保証期間を超え、廃棄することになった機器類は自身で処理するケースも多く、この場合は粗大ごみとして処分することになります。
この場合、取り外したモジュールの分別をしないでよいのか、あるいはプラスチック品、配線材等に分別する必要があるのか、また廃棄費用はどの程度かかるかなどについては、自治体によって異なります。ゴミ処理の担当窓口で確認しましょう。
ケーブル
廃棄時に発生する太陽光発電システムの構成部品の中で、ケーブルは特に注目すべき要素です。
太陽光システムで使用されるケーブルには、銅やアルミニウムなどの有価金属が含まれています。これらの金属はリサイクル市場で需要が高いため、廃棄業者がケーブルを買取ってくれる可能性があります。
ケーブルの買取が可能な場合、廃棄費用の一部を相殺することができ、コスト削減につながります。廃棄の際には、リサイクル業者やスクラップ業者※に問い合わせて、ケーブルやその他の金属部品の買取価格を確認すると良いでしょう。
※スクラップ業者とは、金属やその他の再生可能な材料を収集し、処理して再販する業者のことを指します。
廃棄費用に影響を与える要因
太陽光発電システムの廃棄費用は、さまざまな要因によって異なります。以下は、主な影響要因です。
設置規模
システムの規模が大きいほど、廃棄する機器の量が増えるため、処理費用も高くなります。住宅用の小規模なシステムと商業用の大規模なシステムでは、廃棄費用が大きく異なります。
パネルの種類と素材
太陽光パネルの種類や使用されている素材によっても、廃棄費用が変わります。例えば、シリコン系パネルは比較的リサイクルしやすいですが、有害物質を含む化合物系パネルは特別な処理が必要で、処理費用が高くなる可能性があります。
しかし、ご安心ください。世の中に普及している住宅用太陽光パネルは約95%以上がシリコン系を使っています。
地域の廃棄処理制度
廃棄処理に関する制度や規制は地域ごとに異なります。一部の地域では、リサイクル施設が充実しており、処理費用が抑えられることがありますが、他の地域では処理コストが高額になる場合もあります。
太陽光パネルを廃棄した後の注意点
太陽光パネルを廃棄した後にも、いくつかの注意点があります。廃棄が完了したら、それで終わりではなく、以下の点に気をつけましょう。
FIT制度終了後の事後処理
太陽光発電システムを撤去する際には、固定価格買取制度(FIT)の事後処理にも注意が必要です。
FIT制度を利用していた場合、システムの撤去や運転停止が決定した時点で、まず電力会社に連絡し、契約解除の手続きを進めましょう。
屋根材の損傷の確認
太陽光パネルを長期間設置していた場合、パネルの取り付け部分や、その周辺の屋根材が損傷している可能性があります。
特に、パネルの架台を固定するために屋根に穴を開けている場合、これらの部分が劣化していたり、雨漏りの原因となっていることがあります。パネル撤去後には、必ず屋根材の状態を確認し、必要に応じて修理を行うことが大切です。
再塗装の検討
屋根材が塗装されている場合、太陽光パネルの撤去後に塗装の剥がれや色むらが目立つことがあります。このような場合、屋根全体の再塗装を検討することで、屋根の防水性能を高め、耐久性を向上させることができます。
不要になった太陽光発電は適切な方法で廃棄しよう
太陽光発電設備は寿命や故障による取替えや、住宅の建て替え・売却時に処分する可能性があります。いずれの場合も、適正な処理方法によって廃棄しなければなりません。
ただ、その撤去にあたっては足場の設置などに費用がかかりますが、リサイクルということで経費節減を図れる場合もあります。自力で適切な処理を行うためには専門知識が必要です。
個人で一般ゴミとして処分できる部分もありますが、設備全体の処分にあたっては正しい知識をもち、処理に慣れた信頼できる業者に依頼するほうが安心です。
個人では判断に困るような処分についても、彼らが代行してくれます。
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