
2023年度のFIT価格は経産省より既にに公表されております。「FIT制度(固定価格買取制度)」とは、太陽光発電なら10年間、固定価格の売電が保証される制度です。
では、2023年に太陽光発電設備を設置した場合、1kWhあたり何円で売電できるのでしょうか?そして、2023年のFIT価格で投資分を回収することはできるのでしょうか?そして、2021年との比較も気になります。
この記事で検証し、くわしく解説していきます。
2023年度のFITの動向と価格について
ここでは、2023年度のFIT価格と過去5年間の買取価格について解説します。
また、買取単価を左右する「出力制御対応機器設置義務」の有無や、10kW以上の設備でも家庭用太陽光として売電できるのかについても触れます。
2023年度のFIT価格は? 2022年との比較

2022年3月24日、経済産業省は、2022年度・2023年度のの売電価格(買取価格)について公表しました。
10kW未満 (住宅用) | 17円/kWh→16円/kWh(2023年度) |
---|---|
10kW以上50kW未満 (余剰売電のみ) | 11円→10円/kWh(2023年度) |
50kW以上250kW未満 (全量売電) | 10円→9.5円/kWh(2023年度) |
住宅用太陽光発電のFIT価格は毎年1円の下落がみられます。
参考までに、2018年から2023年までの過去から未来までの売電価格の推移を以下で紹介します。
【過去・未来分(2018〜2023年度)の住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格】
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
出力制御対応機器 設置義務なし | 26円/kWh | 24円/kWh | 21円/kWh | 19円/kWh | 17円/kWh | 16円/kWh |
出力制御対応機器 設置義務あり | 28円/kWh | 26円/kWh | 21円/kWh | 19円/kWh | 17円/kWh | 16円/kWh |
2023年の売電価格も上記のように前年とほぼ同等の1円下がり、16円/kWhとなりました。
住宅用太陽光発電の売電価格は、2025年までに卸電力市場価格並みの11円/kWhとする価格目標が掲げられています。
そのため、今後も売電価格は下がり続ける可能性が高く、下落幅が1円~2円程度になるおそれもありますが、2023年は卸電力市場が高騰している為に2024年以降は売電単価が維持させる可能性も否定できません。
『設置後の売電価格は10年間保証されます!価格変更はありません!』
注意※2023年度に設置した場合は、2033年度まで10年間は買取価格は16円/kWhとなり、2024年度も16円/kWh未満に下落する事はありません。
表示価格は10%の消費税が含まれています。
出力制御対応機器設置義務による差がなくなった

出力制御対応機器とは、太陽光発電設備が電力需要を大幅に上回る発電をした場合に、それ以上の発電をしないように電力会社が制御する機器のことです。
出力制御対応機器の設置義務があるエリアは、北海道・東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄です。
2019年度までの売電価格では、出力制御対応機器設置義務があるエリアのほうが2円高く設定されていました。
出力制御対応機器の希望小売価格は非対応の機器よりも高かったためです。
2020年度からは、出力制御対応機器設置義務の有無による売電価格の差はなくなります。
10kW以上の太陽光発電設備も家庭用として余剰売電できる

FIT制度においては、10kW以上を「事業用太陽光」、10kW未満を「住宅用太陽光」に分類し、それぞれ、買取価格と買取期間が設定されています。
また、「住宅用」の場合は余剰電力買取制度しか利用できないことになっています。名称は「事業用」「住宅用」となっているものの、分類の基準は容量です。
分類 | 容量の基準 | 利用できる制度 | 買取期間 |
---|---|---|---|
事業用太陽光 | 10kW以上 | 全量買取制度 余剰売電 | 20年間 |
住宅用太陽光 | 10kW未満 | 余剰売電 | 10年間 |
※ただし、50kW未満の太陽光発電は、余剰売電しかFITを使えなくなりましたのでご注意ください。
『事業用施設への太陽光発電設置には多額の補助金がでています』
2023年は国が脱炭素化を進める為に工場・オフィスなどの事業用施設へ太陽光発電・蓄電池を設置する費用に対して多額の補助金が経産省・環境省より出ております。
ただ、本補助金はFITで売電する目的で利用する場合は活用できません。
太陽光発電だけでなく、蓄電池に対しても補助金が出る予定であり、それぞれの補助額も大きいので、事業用施設へ太陽光発電を設置する法人で売電するより、自家消費するほうが経済メリットが大きくなっております。

特に住宅用・法人用ともに電気料金がかなり値上がりしており、脱炭素を目指す法人などにとっては、太陽光発電を設置する事でCo2削減と電気料金の削減が当時に実現できます。
補助金名 | 補助額 | 期限 |
---|---|---|
環境省※1 | 太陽光発電設備:4万円/kW 蓄電池設備:5.3万円/kWh | 1次候補 2023年3月31日から |
経産省※2 | 蓄電池設備:4.4万円~4.8万円/kWh | 2023年12月22日まで |
※1:「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」
※2:「電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」
工場・倉庫・オフィス・病院・介護施設などの産業用施設に太陽光発電を設置される方は、こちらの「タイナビNEXT」で一括見積りをご利用ください。
FIT価格が安くなる理由は?本体価格の低下にあった

FIT制度における買取価格は、太陽光発電システムの価格を基準として、設置コストの回収だけでなく、設置する人が適正な利益を得られるように調整されています。
FIT価格は設置者の投資費用を回収し、公平な利益となるように設計されているため、
「昔は高く売電されていたから得」
「今は売電価格が安いから損」
・・というわけではありません。
太陽光発電の普及が進むにつれて、設備価格や設置費用が格段に安くなりました。それに伴い、FITの買取価格も引き下げられたのです。
近年では、再エネ賦課金の高騰による電気料金の値上げの影響もあり、太陽光発電を設置する人も増えています。
太陽光発電で元を取るためにはどうするべき?
ここでは、太陽光発電で元を取るために大切な3つのポイントである「自家消費」「一括見積り」「初期費用0円のリスク」について、それぞれ説明します。
FIT終了後も自家消費でメリットを受け続けること

太陽光発電に投資して元を取るためには、自家消費をして電気代を抑えつつ、余った電力を卒FIT売電して「FITが満了する10年後もメリットを受け続けること」が重要です。
とくにFITが終わったあとは、自宅で発電した電気を自分で使うときの節約効果が格段に大きくなります。
さらに、蓄電池を導入すれば夜間の安い電気をためておいて、電気代が高くなる昼間に使えるようになるので、電気代を節約できます。
一括見積りで安く設置すること

太陽光発電で元を取るためには、初期費用を抑えるのが効果的です。
太陽光発電システムの本体価格や設置工事費用は施工店によって差があり、中には不当に高い価格を提示する悪徳業者もいるため、注意しなければなりません。
一括見積りサービスを利用すれば、一度に多くの施工店の価格を把握して比較できます。
安く設置できる良心的な施工店を効率良く見つけるために有効です。
また、施工店を比較する際には工事費用の安さだけではなく、サービスや対応の良さもチェックしましょう。
初期費用0円の太陽光発電はリスクに注意

初期費用0円で太陽光発電設備が導入できる商品もあり、メリットが大きいように思えるかもしれません。
初期費用が0円になる仕組みは、初期費用にかかる費用を借り入れて、ローンの支払い額と売電価格を相殺できるというものです。
あるいは、一律で10年後に発電システムの所有権がユーザーに譲渡されるパターンもあります。
つまり、初期費用がかからないわけではなく分割で返済していることになるため、太陽光発電を途中でやめた場合に清算金が発生するリスクがあります。
そうなると、安く設置できた場合よりも費用の回収率は低いと考えられるのです。
「初期費用の設定は適正なのか?」「相見積りをすれば、もっと安くできたのでは?」
・・という疑念が残る結果になってしまうかもしれません。
●太陽光発電を導入した場合のシミュレーション結果

タイナビ調べ(太陽光発電の一括見積サイト)では、現在の売電価格で太陽光発電を設置した場合に約5年程度で元が取れるシミュレーション結果がでております。
その為には見積もりを比較して、設置費用をなるべく安くする事が重要です。
一括見積りで太陽光発電設備の費用を抑えて元を取ろう

設置費用の低価格化を理由にFIT価格が安くなった今、太陽光発電で元を取るためには、初期費用を抑えることが重要なポイントです。
高品質のシステムをリーズナブルに設置することが、費用の回収率がより高いと考えられます。初期費用が0円になるローンを利用する前に、まずは、自分で設置することを検討してみましょう。
複数の施工業者を一括見積りできるサービスの利用で、正しい費用を確認できます。
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