
「今から太陽光発電を設置して元が取れるのか」「FITの買取が終わったあと、どうすれば損をしないのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
FIT価格は年々引き下げられているため、投資回収の考え方も「売電型」から「自家消費型」への転換が求められています。
さらに、2025年10月以降、住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT価格に「段階型(初期投資支援スキーム)」が導入され、売電収入の仕組みが変わりました。
これから太陽光発電の設置を検討する方にとっても、すでに太陽光発電を設置している卒FIT予備軍の方にとっても、FIT価格の推移と制度の変更を正しく理解することが、損をしない判断につながります。
この記事では、FIT価格の推移と段階型への変更を踏まえて、元を取るための導入判断について解説します。
【2026年最新】FIT価格の推移

住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT価格は、太陽光発電システムの導入コストの低下などを背景に、FIT制度の開始以降引き下げられてきました。
そのため、FIT価格の推移を把握することは、太陽光発電の導入タイミングや初期費用の回収見通しを考えるうえで重要です。
FIT価格の年度別の推移を、「住宅用太陽光発電(10kW未満)」と「産業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)」に分けて下表に示します。
| 年度 | 住宅用 太陽光発電 (10kW未満) | 産業用 太陽光発電 (10kW以上 50kW未満) |
|---|---|---|
| 2012 | 42円/kWh | 40円/kWh |
| 2013 | 38円/kWh | 36円/kWh |
| 2014 | 37円/kWh | 32円/kWh |
| 2015 | 33円/kWh | 29円/kWh |
| 2016 | 31円/kWh | 24円/kWh |
| 2017 | 28円/kWh | 21円/kWh |
| 2018 | 26円/kWh | 18円/kWh |
| 2019 | 24円/kWh | 14円/kWh |
| 2020 | 21円/kWh | 13円/kWh |
| 2021 | 19円/kWh | 12円/kWh |
| 2022 | 17円/kWh | 11円/kWh |
| 2023(4月~9月) | 16円/kWh | 9.5円/kWh |
| 2023(10月~3月) | 16円/kWh | 12円/kWh |
| 2024 | 16円/kWh | 10円/kWh |
| 2025(4月~9月) | 15円/kWh | 10円/kWh |
| 2025(10月~3月) | 1~4年目:24円/kWh 5~10年目:8.3円/kWh | 10円/kWh |
| 2026 | 1~4年目:24円/kWh 5~10年目:8.3円/kWh | 9.9円/kWh |
※参照元:経済産業省 資源エネルギー庁『買取価格・期間等(2012年度~2024年度)』
なお、2025年10月以降、住宅用太陽光発電(10kW未満)において、従来の固定価格型に加え、新たに段階型のFIT価格(初期投資支援スキーム)を選択できるようになりました。
詳しくは後述します。
【2026年最新】FIT価格は「段階型」へ変更された!


2025年10月以降、住宅用太陽光(10kW未満)のFIT価格は段階型へ変更されました。
従来の10年間一律15円/kWhとは異なり、1~4年目は24円/kWh、5~10年目までは8.3円/kWhとなります。
FIT価格が段階型へ変更された理由は次の2つです。
- 初期費用を早期に回収できる仕組みにするため
- 屋根設置太陽光の導入を後押しするため
以下で詳しく見ていきましょう。
初期費用を早期に回収できる仕組みにするため
段階型のFIT価格が導入された理由の一つは、住宅用太陽光の初期費用をより早く回収できる仕組みにするためです。
従来の制度では、FIT価格が10年間同じだったため、初期費用の回収にはある程度の期間がかかることがありました。
特に近年では、FIT価格が年々低下しているため、導入を検討する家庭にとって「何年で回収できるのか」が重要な判断材料になっています。
そこで新たに導入された段階型では、設置から4年間のFIT価格を24円/kWhと高めに設定して売電収入が得られやすいようにし、初期費用の回収を早めるようにしたのです。
屋根設置太陽光の導入を後押しするため
段階型のFIT価格が導入された背景には、住宅の屋根を活用した太陽光発電の導入を拡大する狙いがあります。
日本では太陽光発電の導入が進んでいるものの、大規模な地上設置型発電所(いわゆるメガソーラー)の開発には用地の確保や地域との調整が必要になるため、導入できる場所には制約があります。
一方、住宅や建物の屋根は既存の建物をそのまま活用できるため、新たに用地を確保する必要がありません。
そのため政府は、公共施設や民間建築物への太陽光発電の設置を拡大する方針を示しており、屋根を活用した太陽光発電の導入促進が進められています。
太陽光発電設置可能な政府保有の建築物(敷地含む)の約50%以上に太陽光発電設備を設置することを目指す。
引用元:環境省「2030年度に向けた再エネ最大限導入拡大のための環境省の取組」
2021年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画等においては、現行の省エネルギー基準適合義務の対象外である住宅・小規模建築物(新築)の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化することとしている。
2030年度以降に新築される住宅・建築物については、ZEH・ZEB注9基準の水準の省エネルギー性能が確保されることを目指す注10。さらに、2050年には住宅・建築物のストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指すこととしている。引用元:国土交通白書「第1節 わたしたちの暮らしの脱炭素化に向けた取組みの課題と方向性」
こうした背景のもとで、10kW未満の住宅用太陽光発電に段階型のFIT制度が導入されました。
段階型のFIT制度では、導入から4年間は24円/kWh、5年目から10年目までは8.3円/kWhのFIT価格が適用されます。
導入直後の売電収入を確保しやすくし、住宅用太陽光의導入を後押しすることが制度の狙いです。
こうした制度により、住宅の屋根を活用した太陽光発電の普及がさらに進むことが期待されています。
FIT価格が低下している理由

FIT価格が低下してきた主な要因は次の2つです。
- 太陽光発電システムの導入コストが下がってきたため
- 再エネ賦課金による国民負担を抑える必要があるため
以下で、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
太陽光発電システムの導入コストが下がってきたため
FIT価格が低下している理由の一つは、太陽光発電システムの導入コストが下がってきたためです。
FIT制度が始まった2012年当時は、太陽光パネルやパワーコンディショナ(パワコン)などの価格が高く、初期費用も現在より高額でした。
再生可能エネルギーの普及を促進するためには、高いFIT価格を設定して投資回収を可能にする必要があったのです。
しかしその後、太陽光発電の普及が世界的に進んだことで、パネルの大量生産が進み、製造コストが大幅に下がりました。
さらに、発電効率の向上や部材の改良などの技術革新も進み、同じ設置面積でもより多くの電力を発電できるようになっています。
加えて、設置工事のノウハウが蓄積されたことにより、施工の効率化も進み、工事費の低減にもつながりました。
こうした設備価格や施工コストの低下によって、太陽光発電は以前よりも低コストで導入できるようになり、FIT価格は引き下げられています。
再エネ賦課金による国民負担を抑える必要があるため
FIT価格が引き下げられてきたもう一つの理由は、再エネ賦課金による国民負担を抑える必要があるためです。
FIT制度は、電力会社が再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、一定のFIT価格で買い取る仕組みです。
電力会社の買取費用は、再エネ賦課金として電気料金に上乗せされ、電気を利用する家庭や企業が広く負担する形になっています。
FIT制度が開始された当初は、再生可能エネルギーの導入を拡大することが重視されたため高いFIT価格が設定されました。
その結果、太陽光発電の導入は進んだものの、同時に再エネ賦課金も年々増加していきました。
再エネ賦課金が増えると電気料金が高くなるため、国民負担を抑えることが政策上の課題となってきたのです。
このため、再エネ賦課金の増加をできるだけ抑えるために、FIT価格が引き下げられてきました。
FIT価格の引き下げは、再生可能エネルギーの普及拡大と国民負担の抑制を両立させるための調整として行われているのです。
FIT価格が下がった今、太陽光発電を導入するのは損?
結論からいうと、FIT価格は下がっているものの、総合的に見ると必ずしも不利になったとはいえません。
確かに2012年と比べれば売電収入は減っています。一方で、太陽光発電システムの本体価格や工事費は下がっています。
つまり、収入だけでなく支出も減っているため、単純に比較することはできません。
さらに、近年は電気料金が高騰しているので、FIT価格が15円/kWh前後であっても、家庭の電気料金が30円/kWh前後であれば、売電するよりも自宅で使った方が電気代の削減効果を得られやすくなります。

このため、自家消費を中心に考えれば初期費用の回収は十分に見込めます。
FIT価格の推移だけを見て損かどうかを判断するのではなく、設備費や電気料金、自家消費率なども含めて総合的に考えることが重要です。
FIT価格の推移から考える、太陽光発電で元を取るためにはどうするべき?

FIT価格は制度開始以降、長期的に下落しており、現在は「売電で大きく収益を得る時代」から「電気代を削減して効率よく設備費を回収する時代」へと変化しています。
特に2025年10月以降はFIT価格が段階型(初期投資支援スキーム)に変更になり、前半は高いFIT価格、後半は低いFIT価格になりました。
これにより、回収を考える際には売電収入だけでなく、自家消費による電気代削減も含めて検討することが重要になります。
太陽光発電で初期費用を回収するためのポイントとして、次の4つが挙げられます。
- 設置タイミングを遅らせすぎない
- 一括見積りサービスを利用して初期費用を抑える
- 自家消費率を高める使い方を意識する
- 導入~4年目は「売電」を重視、5年目以降は「自家消費」を重視する
以下で、詳しく見ていきましょう。
設置タイミングを遅らせすぎない
これまでに説明してきたように、今後FIT価格が大幅に上昇する可能性はほとんどありません。
また、太陽光発電は設置すればすぐに発電を始めることができるため、導入後すぐに電気代削減の効果を得ることができます。
つまり、導入時期が早いほど電気代の削減効果を得られる期間が長くなります。
このようにFIT価格の推移を踏まえると、屋根の状態や予算などの諸条件が整っている場合には、適切なタイミングで判断することが初期費用回収の近道です。
一括見積りサービスを利用して初期費用を抑える

太陽光発電で元を取るためには、初期費用を抑えるのが効果的です。
太陽光発電システムの本体価格や設置工事費用は施工店によって差があり、中には不当に高い価格を提示する悪徳業者もいるため、注意しなければなりません。
一括見積りサービスを利用すれば、一度に多くの施工店の価格を把握して比較できます。安く設置できる良心的な施工店を効率よく見つけるために有効です。
また、施工店を比較する際には工事費用の安さだけではなく、サービスや対応の良さもチェックしましょう。
初期費用0円の太陽光発電はリスクに注意
初期費用0円で太陽光発電設備が導入できる商品もあり、メリットが大きいように思えるかもしれません。
初期費用が0円になる仕組みは、設置にかかる費用を借り入れて、ローンの支払い額と売電収入を相殺できるというものです。あるいは、一律で10年後に発電システムの所有権がユーザーに譲渡されるパターンもあります。
つまり、初期費用がかからないわけではなく分割で返済していることになるため、太陽光発電を途中でやめた場合に清算金が発生するリスクがあります。
そうなると、安く設置できた場合よりも費用の回収率は低いと考えられるのです。
自家消費率を高める使い方を意識する
FIT価格の低下や段階型のFIT価格の導入を考慮すると、発電した電気を自宅で使い、電力会社からの購入電力量を減らすことの方が経済効果を得やすくなります。
つまり、自家消費を高めることを前提に設計すると、初期費用の回収期間の短縮につながります。
そのため、家庭の使用電力量を把握したうえで、自家消費率を高める前提で発電容量や運用方法を決めることが重要です。
導入~4年目は「売電」を重視、5年目以降は「自家消費」を重視する
段階型では、導入から4年間は24円/kWhのFIT価格が適用されるため、4年間で初期費用の回収を優先し、余剰電力は積極的に売電する方が合理的です。
一方、5年目以降はFIT価格が8.3円/kWh(2025年度認定の場合)へ下がるため、1kWhあたりの単価が30円前後となる買電(電気代)を抑制する自家消費の方が経済的メリットが大きくなります。
段階型のFIT価格を前提として、発電電力の使い方を見直すことが重要です。
一括見積りで太陽光発電設備の初期費用を抑えて元を取ろう

この記事では、FIT価格の推移と段階型FIT価格への変更を踏まえて、元を取るための具体的な導入判断について解説しました。
太陽光発電で元を取れるかどうかは、FIT価格だけでなく初期費用の水準に左右されます。
特に段階型では、5年目以降にFIT価格が下がるため、初期費用が高いと後半の回収が長期化しやすくなります。
設備価格や工事費、保証内容は販売会社や施工店ごとに差があるため、1社だけの見積もりで判断すると割高な条件を選んでしまうことになりかねません。
複数社の提案を同じ前提条件で比較し、総額と保証内容の両面で納得できる条件を選ぶことが、回収期間の短縮につながります。
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また、太陽光発電システムのみの見積もりのほか、蓄電池をセットにした見積もりも可能です。
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