卒FITとは

FIT期間が終了したあとは売電ができなくなるのではないかと不安な人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「卒FITとはどういうことなのか」「新電力への売電はメリットがあるのか」について解説します。

この記事を読むことによって、FIT期間が終わったあとの不安もなくなり、余剰電力をお得に活用する方法がわかります。

卒FITとは? FITから次のステージを解説

卒FITとは、FIT(固定価格買取制度)から卒業した発電設備をさす言葉です。

住宅用(10kW未満)太陽光発電は、FITで定められた10年間でFIT期間が終わります。こうした設備は卒FITと呼ばれることになりました。

FITでは、電力会社が余剰電力を買い取り続けること・その価格の維持が法律で決まっていました。FIT期間が終わったあとも、住宅用太陽光発電は余剰電力を売電できます。

FITを卒業した設備は、各電力会社が独自に提示する「卒FIT買い取りサービス」で、新しい売電価格の契約を結ぶこともできます。

主要な電力会社10社の卒FIT買取価格をまとめました。

【大手10社の電力会社 卒FIT余剰電力の買取価格】

北海道電力8.0円/kWh
東北電力9.0円/kWh
北陸電力8.0円/kWh
東京電力8.5円/kWh
中部電力8.0円/kWh
関西電力8.0円/kWh
中国電力7.15円/kWh
四国電力7.0円/kWh
九州電力7.0円/kWh
沖縄電力7.5円/kWh

※シンプルな買取プラン、2019年度の買取価格

主要電力会社の卒FIT電力の買取価格は7.0〜9.0円です。従来のFITと比べると相当安く感じられるかもしれませんね。

上記の10社以外にも、新電力(大手電力会社以外の小売電気事業者)が独自の価格やサービスで、卒FITの電力買い取りサービスを打ち出しています。

太陽光発電の所有者は、売電先を自由に選ぶことができます。

新電力の卒FITプランを契約するメリット

大手電力会社と新電力、売電先をどちらにするか検討している人も少なくありません。太陽光発電の持ち主から見て、新電力という選択肢で何が変わるのでしょうか?

ここでは、新電力の卒FITプランを契約する主なメリットを2つ紹介します。

卒FIT余剰電力の買取単価が高い

新電力は、大手電力会社よりも高い買取価格を設定している傾向にあります。
東京電力のエリアを例にみてみましょう。

東京電力の買取単価は8.5円/kWhですが、新電力である出光昭和シェルの買取価格は9.5円/kWh、スマートテックの買取価格は11.5円/kWhとなっています。

FIT後は、これまで売電してきた電力会社に売電し続けるよりも、新電力と契約するほうが高く売電できる可能性が高いといえます。

これまで東京電力に売電してきた方なら、東京電力エリアで卒FIT向け買取サービスを展開する新電力が乗り換えの選択肢に入ることでしょう。

関西電力なら、関西電力エリア。中部電力なら中部電力エリアで、よりお得な新電力と電力買い取りサービスを探すことができます。

電気やガス契約とセットでお得になるプランがある

卒FITの買い取りプランの中には、電気やガスの契約を切り替えるという条件で、卒FITの買取価格を高くしているケースがあります。

電気料金プランの乗り換えで卒FIT電力が高く売れるケース

たとえば、先に例に出た出光昭和シェルだと電気料金プランの切り替え有無で売電価格が変わります。

電気料金プランを昭和シェルにする → 11.5円/kWh
電気料金プランを他の電力会社にする → 9.5円/kWh

いずれも、東京電力の卒FIT買取単価8.5円/kWhと比較すると高額です。

なお、電気料金プランを切り替えると電気料金が安くなるケースと、経済メリットがないケースがあります。

卒FITの買取条件に電力供給を乗り換えることが含まれるケースでは、電気料金プランの乗り換えメリットも検証してから決めましょう。

ガス料金プランの乗り換えで卒FITが高く売れるケース

ガスと卒FIT買取サービスのセット契約で買取単価が上がるケースもあります。

たとえば、京葉ガスでガス(あるいは電気)を契約すると、9.5円/kWhで卒FITの売電が可能です。ガス料金も、ガス会社の見直しで安くなるケースとそうでないケースがあります。

これ以外の条件で卒FITが高く売れるケース

卒FIT買い取りサービスの契約条件は、他にもあります。

  • 蓄電池の購入・設置
  • HEMSなど省エネ機器の購入・設置
  • ガス機器の購入・設置
  • 特定ハウスメーカーで太陽光パネルを設置
  • ポイントで追加還元を受けること

卒FIT買い取りサービス紹介と売電収入シミュレーション記事はこちらをご覧ください。

卒FIT買い取りサービス紹介/売電収入シミュレーション記事特集

新電力の卒FITプランを契約するデメリットやリスク

メリット・デメリット

ここでは、新電力の卒FITプランを契約する前に知っておきたいデメリットやリスクについて紹介します。

希望の新電力が居住エリアにない場合がある

新電力会社によって売電が可能なエリアは異なるため、住んでいる地域が対象エリアになっていないケースもあり得ます。

ですから、各社の売電価格を比較検討する前に、住んでいる地域を対象としている電力会社であるかを確認しましょう。

また、同じ電力会社であっても、地域によって売電価格が異なる場合があるので、しっかりとチェックする必要があります。

加入条件をチェック

卒FITプランには加入条件が設けられているケースもあります。そして、買取価格が高額であるほど契約条件の難易度が高いのです。新電力の買取価格の高さは魅力的ですが、条件を満たさないと適用されないので注意しましょう。

たとえば、ダイワハウスでんきのPREMIUM蓄電池プランは、買取価格が22.0円/kWhとトップクラスに高額です。

ただし、契約条件として「ダイワハウスオーナーである」「蓄電池を大和ハウスグループで購入・設置する」「ダイワハウスでんきの電気料金プランを契約する」と定められています。

しかし、高い買取価格が設定されている買取プランには加入条件がある場合が多いので、よく確認して比較しましょう。

卒FIT買取の「環境価値を企業に提供する」はどういう意味?

結論からいえば、従来のFITと同じように余剰電力を売電するだけなので、気にする必要はありません。環境価値とは発電時にCO2を排出しない電力が持つとされる価値です。

たとえば、石炭を燃やして発電した電気と、太陽光や風力で発電した電気の環境価値は異なります。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気には、「化石燃料を燃やさず温室効果ガスを排出しない」という付加価値があるのです。

家庭の太陽光発電で発電した電気も環境価値を持ちます。
卒FIT電力の環境価値は発電した人のものですが、売電すれば買い取った企業のものになります。

電力会社は環境価値を持つ卒FITの電力を買取り、再エネ電力メニューとして、企業に売ることができます。再エネ化・脱炭素のニーズが世界的に高まっているため、環境価値を持つ電気の需要も増えています。

そのため、電力会社は卒FITを積極的に買い取ろうとするのです。

環境価値を提供するメリットとリスクは?

環境価値を提供することで家庭が抱えるリスクはありません。売電する家庭には売電収入が入る他、卒FIT買取プランによっては、追加のメリットもあります。

メリットの例としては、買取金額に加えて、企業からポイントが付与される場合があります。

たとえば、中部電力が提供する「ぐっとずっと。グリーンフィット」の「ゆめかプラン」や「WAONプラン」では、買取価格にプラスして1kWhあたり1円相当の電子マネー「ゆめか」や「WAONポイント」がそれぞれ付与されます。

卒FITのリスクは、FITのように買取価格や10年間の期間が約束されたものではない点です。卒FITの買取は電力会社にとって義務ではなく、買取サービスの終了や買取価格の変更を電力会社の都合で実施できます。

1年単位で変更される可能性もあるため、更新前に契約を見直さないと、損をしてしまう場合もあるでしょう。

卒FITは売電収入を得ることよりも、自家消費にシフトしたほうが安定した節約効果を得られるともいえます。

結局、卒FIT太陽光発電はどうすれば1番お得なのか

どっち

太陽光発電をお持ちの家庭では、電気は「買う」か「自家発電」するものです。

屋根で発電した電気は売った方が得なのか・使うほうが得なのか、まずはチェックしてみましょう。これまでは、太陽光発電の電気をFITという制度で高く売れる仕組みになっていましたね。

だから、「ソーラーは電気を余らせて売った方が得だ」と言われてきたのです。
しかし、FITが終わった卒FITの家庭では、話が大きく変わります。

例えば1kWhあたり10円の卒FIT買い取りサービスと1kWhあたり27円(※1.)の電気料金プランを契約して4500kWh(※2.)の電気を発電したとき、収支に大きな差が出るからです。

  • 卒FIT太陽光発電の電気を売れば → 4万5000円の収入
  • 卒FIT太陽光発電の電気を使えば →12万1500円を節約

※1.全国家庭電気製品公正取引協議会の数値を参照
※2.JPEA(太陽光発電協会)の数値を参照

同じ量と質の電気なのに、売るか使うかで手元に残る金額に大きな差があるということです。自宅で使えば、特別なことをせずに7万円以上も節約できるのです。

要するに、卒FITの電気を使ったときの節約額が売電収入を上回るときは太陽光発電の電気は「余らせずに全て使ったほうがお得」ということです。

その一方、電気代は値上がり傾向が続いております。今後は原発の廃炉費用負担が消費者側に向く可能性があります。発電した電気は自宅で使用して、購入する電気をできるだけ減らすのが一番オトクだということです。

発電した電気をすべて自家消費するのが難しいほど発電量が多いならば、蓄電池が有効です。

卒FIT後も売電は可能!自家消費を進めるとさらにお得に

FIT期間が終わってからも卒FIT電力として売電は可能です。
ただし、買取単価はFITよりも安くなるため、売電するより自家消費で電気を使うほうが家計へのメリットは高くなります。

太陽光発電の元が取れるか心配な場合は、初期費用が安くサービスが良い業者を見つけるために、タイナビの一括見積りを利用しましょう。