太陽光発電の売電価格とは?

太陽光発電の導入を検討する際、「売電価格」が気になる方は多いでしょう。売電価格はFIT制度が開始された当初は比較的高い水準にありましたが、年々下落していて、FIT期間が終了する「卒FIT」後はさらに大幅に低下することが見込まれています。

そのため、「売電価格が下がるなら太陽光発電を導入するメリットはあるのだろうか」と考える方もいるかもしれません。しかし、近年は電気代高騰の影響もあり、売電よりも自家消費にシフトして電気代を節約するほうがお得だという考え方もあります。

この記事では、売電価格が下がる背景や、卒FIT後に経済的メリットを最大化する対策などをわかりやすく解説します。太陽光発電の価値と活用法を知るための参考にしてみてください。

太陽光発電の売電価格とは?

太陽光発電の売電価格

太陽光発電の売電価格(売電単価)とは、自宅などの太陽光発電システムで発電した電気を電力会社に売却する際の1kWhあたりの単価のことです。

売電価格は発電した電力量や時間帯で変わることなく一定ですが、電力会社との契約時期や設備の容量によって、適用される売電単価は異なります。

ここでは、太陽光発電の売電価格の概要を解説します。

売電価格はFIT制度に基づき決定される

売電価格はFIT制度(固定価格買取制度)に基づき、経済産業省の外局である資源エネルギー庁に設置された調達価格等算定委員会にて毎年議論され、経済産業省で最終決定されます。

FIT制度とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入促進を目的に、再生可能エネルギーから得られた電気を電力会社が一定期間、固定の価格で買い取ることを国が保証する制度のことです。

日本では、国内におけるエネルギー自給率の低さの解消やCO2排出を削減するための方法の一つとして、再生可能エネルギーによる発電が注目されています。

一方で、現状では再生可能エネルギーの発電設備を導入するにはそれなりの費用が必要です。そこでFIT制度によって売電収入を一定期間保証することで、導入のハードルを少しでも低くすることを目指しているのです。

家庭用(10kW未満)は10年間、事業用(10kW以上)は20年間、導入した年度の売電価格と同じ価格で売電することが可能です。

卒FITを迎えると売電収入は減少すると予想される

FIT期間が終了すると「卒FIT」となり、売電価格は固定ではなく、市場価格に影響される形になります。

また、FIT制度における売電価格は年々下落傾向にあること、市場においては時期や電力需要による需給バランスの変動から下落の可能性が見込まれます。それらのことから、卒FITを迎えると売電収入は減少すると考えられるでしょう。

例えば、2025年度(4~9月)の家庭用(10kW未満)の売電価格はFIT制度では15円/kWhなのに対し、卒FITとなってからは大手電力会社で7~9円/kWhと約半分になる計算です。

【2025年最新】太陽光発電の売電価格の推移

FIT制度における売電価格はFIT認定を受けた年度により異なります。例えば家庭用(10kW未満)の売電価格は2012年度で42円/kWhですが、2025年度(4~9月)では15円/kWhとなっています。

以下は家庭用(10kW未満)における2012~2025年度の売電価格の推移をまとめた表です。

2012~2025年度の売電価格の推移

FIT適用中の売電価格は、制度が開始された2012年度から減少傾向にあり、毎年1~4円のペースで減額していることがわかります。

太陽光発電における売電価格低下の背景

太陽光発電の導入促進を後押ししてきたFIT制度の売電価格は、複数の要因により年々引き下げられています。ここでは、太陽光発電の売電価格が年々下がっている背景を詳しく解説します。

技術革新による生産コストの削減

売電価格が下がってきているのは、技術革新により太陽光発電システムの導入コストが年々下がっていることと連動しています。

かつては太陽光パネルの材料であるシリコンの価格が高く、生産コストもかさんでいたことから、太陽光発電システムの導入には高額な初期費用が必要でした。

しかし、技術革新が進み、太陽光パネルの効率が向上したことで、同じ電力を得るために必要なパネル面積が減り、コストパフォーマンスが大幅に改善されました。

この生産コストの削減により、太陽光発電システム全体をより安価に導入できるようになった結果、売電価格も市場価格に合わせて調整され、引き下げられる流れになったのです。

太陽光発電の普及と市場の成熟化

先述のとおり、FIT制度は再生可能エネルギーの導入を促進することを目的としている精度です。太陽光発電の普及をはじめ、政府が進める環境問題への対策によって市場が成熟してきたことで、売電価格の下落につながっている見方もあります。

国民負担の抑制

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を促進するために、電気料金に上乗せして国民が負担する費用です。

FIT制度の原資は再エネ賦課金でまかなっていることから、再生可能エネルギーの普及により、再エネ賦課金の国民負担は年々増加しています。

この再エネ賦課金の国民負担を抑制する視点からも、国は売電価格を引き下げているのです。

再エネ賦課金については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

https://www.tainavi.com/library/13240/

 

太陽光発電における売電価格の今後の動向

導入コストの低下や再エネ賦課金への負担抑制などを背景に、太陽光発電の売電価格は長期的に下落傾向が続いています。

先に示したグラフからもわかるように、2025年度は(4~9月)では家庭用(10kW未満)で15円/kWhと、2024年度より1円低下しており、また経済産業省は2030年度には8.5円/kWhまで低下する考えを示唆しています。

FIT制度の終了後は、より国民負担の少ない制度に移行する可能性もあります。

売電価格が低下しても太陽光発電を導入した方が良い理由

FIT制度の売電価格が下がり、売電による収益性はかつてほど高くなくなっていますが、売電価格が低下しても太陽光発電の導入には多くのメリットがあります。

ここでは、そのおもなメリットを見ていきましょう。

電気代が節約できる

太陽光発電の導入メリットとして、発電した電気を自家消費できる点が挙げられます。

自家消費した電気は電線を通さないためロスが少なく、消費する時間帯は、電力会社から電気を購入する必要がないため、本来購入していた電気代を削減できます。

例えば月々の電気使用量が450kWh(自家消費割合30%)のご家庭では、発電した電気を自家消費することで毎月約8,910円、年間で約10万6,920円の経済効果につながります(電力料金の目安単価:31円/kWh、売電価格:15円/kWhとして計算)。

太陽光で電気代削減

売電価格が下がり、電力会社の電気代の値上がりが続いている現在は、売電よりも自家消費による電気代の節約が大きなメリットになります。

家庭のエネルギー効率の向上が期待できる

太陽光パネルを屋根に設置すると断熱効果が得られ、屋根に当たる直射日光を防げることから、室内の温度上昇の抑制が期待できるでしょう。

また、冬場は屋根に設置した太陽光パネルが室温の放熱を防ぐ働きをするため、室温の低下を抑えることが可能です。

このように、太陽光パネルを屋根に設置する副次的なメリットとして、家庭のエネルギー効率の向上が期待できる点も挙げられます。

https://www.tainavi.com/library/4511/

 

環境負荷を軽減することができる

太陽光発電は再生可能エネルギーのため、エネルギー資源の枯渇を防ぎ安定的な供給の実現や、環境への負荷を抑え地球温暖化防止などに貢献します。

太陽光パネルの寿命は一般的に20~30年ですが、メンテナンスによってはそれ以上の使用も見込めるでしょう。その分長期的に発電を続けることが可能です。

【卒FIT後】太陽光発電の売電価格が低下したときの4つの対策

ここからは、卒FITを迎え、売電価格が低下したあとのおすすめの対策を解説します。

1.自家消費を拡大する

FIT制度の期間が終了すると売電収入が大幅に減少するため、太陽光発電の経済性を維持するためには、発電した電気を最大限に自家消費することが鍵になります。

昨今は燃料調整費の高騰などにより、電力会社から購入する電気代は上昇傾向にあります。その結果、売電価格よりも電力会社から購入する電気代のほうが高くなるケースも珍しくはありません。

このような状況では、売電するよりも自家消費に回したほうが、長期的に家計の負担を軽減できる可能性が高いといえます。

2.蓄電池を導入する

自家消費比率を向上させるためには家庭用蓄電池の導入が有効です。蓄電池があれば日中に発電した電力を貯め、夜間に利用することが可能になります。

太陽光パネルのみでは自給率は40%程度ですが、蓄電池の併用によってさらに多くの電力をカバーできるケースもあります。その結果、電力購入量を削減し、電気代を低減させることが可能です。

家庭用蓄電池は非常用電源としても使用できるため、地震や台風などによる停電が発生した際の防災対策にもなります。

家庭用蓄電池の導入にかかる費用負担については、国や自治体による補助金を活用できる場合もあるため、導入を検討する際には国や自治体のホームページで情報を確認するとよいでしょう。

3.売電をそのまま継続する

卒FIT後も電力会社と売電契約を続け、発電した電気を買い取ってもらうプランを選択することができます。

多くの電力会社では、期間満了時も継続して同じ会社で売電する場合は特別な手続きなしで自動的に新プランに切り替わるケースが多いです。

しかし、この場合の買取価格はFIT制度の適用時と比べて大幅に低下するのが一般的です。売電先を新たに探す手間は省けますが、以前のような経済的メリットはあまり見込めない点に注意しましょう。

4.買取価格が高い電力会社と新たな売電契約を結ぶ

卒FIT後の買取価格は電力会社により異なります。もともと契約していた電力会社の買取価格に納得できない場合、複数の電力会社のプランを比較し、より高く買い取ってくれる電力会社と契約を結ぶのも一つの手です。

例えば、新電力会社(電力自由化以降に参入した電気小売事業者)は大手電力会社より売電価格が高く設定されていることが多く、売電収入を少しでも高めたい方には有力な選択肢になります。

ただし、電力会社を変更しても卒FIT後の買取価格は下がる傾向にあるため、大きな経済的メリットは見込めない可能性があります。

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太陽光発電の売電価格が下がったら、自家消費を活用して電気代を節約するのがおすすめ

FIT制度における太陽光発電の売電価格は、技術革新による導入コストの低下や国民負担の抑制を背景に長期的な下落傾向にあります。また、卒FIT後は買取価格が大幅に下がるため売電収入は大きく減少します。

しかし、近年は電気代が高くなっている傾向もあり、売電収入が減少しても、自家消費して電気代を節約すれば長期的に家庭の負担を軽減することが可能です。

併せて家庭用蓄電池を導入すれば、日中に発電した電力を貯め、夜間に利用することが可能になるため、さらに電力購入量を削減し、電気代を低減させることができます。

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