太陽光発電を設置するときに、金銭的な援助を受ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのときに気になるのは、「贈与税」です。贈与税とは、個人が個人へ贈った財産に対して発生する税金です。
贈与税が発生する財産を貰った人は、国へ税金を納めなければなりません。贈与税の基礎控除額は、1人につき年間110万円です。太陽光発電を家庭の屋根に設置する費用に、110万円では足りませんよね。(自治体の補助金は贈与税の対象ではありません)
そこで使える税制度が、「住宅贈与税制」と「緑の贈与」です。これにより、新築あるいは中古住宅、そしてリフォームなどで太陽光発電をつけるための資金援助であれば、贈与税の非課税枠が大きく増えます。
新築住宅はもちろん、中古住宅、リフォームなどの増改築も対象に含まれます。ここでは、太陽光発電の設置時に使える、贈与税を軽減させる方法についてご紹介します。
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太陽光発電の資金が非課税になる「緑の贈与」
「緑の贈与」とは、2014年の税制改正で盛り込まれた、環境省の税制です。これは、直系の祖父母や親が子、孫の住宅取得や増改築などの資金を贈与するとき、一定条件下で贈与税が非課税になる国土交通省の「住宅贈与税制」が拡充されたものです。
これらの内容を簡単にまとめますと、子・孫世帯が住宅を取得などをする時に、祖父母や父母が住宅購入費用と省エネ機器類の設置費用などを贈与した場合、一定条件下で贈与税が非課税になるというものです。
太陽光発電の設置費用として資産を移動するということは、次世代の住宅を低炭素化して環境負荷の低減や光熱費の削減、太陽光発電の電気を売る(売電)による収入など、多くのメリットを残せるという効果があります。
まずは、緑の贈与税制の基本的な内容を見ていきましょう。
対象家屋:新築、中古、増改築(リフォーム)
対象設備:太陽光発電設備、蓄電池、燃料電池(エネファームなど)、高効率給湯器(エコキュートなど)、太陽熱利用設備、地中熱利用設備
措置の対象:上記設備の設置費用のうち一定金額についての贈与税を非課税にする
なお、この場合の太陽光発電は、お金を受け取った人が住むための家屋に設置するものに限られます。空き地で行う投資用の太陽光発電は、含まれないと考えられます。
非課税限度額
非課税限度額は、住宅用家屋の取得に係る契約の締結時期と、家屋の住宅性能によって異なります。消費税の税率が10%になるまで、非課税限度額は下記の区分で適用されます。
住宅用家屋の取得などに係る契約の締結期間が
[2016年1月1日〜2020年3月31日]の場合
良質な住宅用家屋 ※:1200万円
上記以外の住宅用家屋:700万円
※良質な住宅用家屋については、次の項で解説いたします
住宅用家屋の取得などに係る契約の締結期間が
[2020年4月1日〜2021年3月31日]の場合
良質な住宅用家屋 ※:1000万円
上記以外の住宅用家屋:500万円
住宅用家屋の取得などに係る契約の締結期間が
[2021年4月1日〜2021年12月31日]の場合
良質な住宅用家屋 ※:800万円
上記以外の住宅用家屋:300万円
非課税限度額が最高になる「良質な住宅用家屋」とは?
省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれかが一定の基準を満たした住宅のことを指します。家屋の省エネ性は、断熱性と、建物全体の省エネルギー性能が評価されます。建物全体のバランスを見ますので、太陽光発電を乗せただけでは足りない可能性があります。
省エネ住宅化するには、壁や床に断熱性能が高い材質を使ったり、暖冷房や給湯の高効率化、照明のLED化などの方法があります。
確定申告が必要! 持っていく書類一覧
贈与税の非課税枠を使うには、確定申告時に税務署に申請する必要があります。そのときに提出する書類が何種類もありますが、住宅が新築か中古か、あるいは増改築したときなどによって用意するものが違います。
共通 ※住宅の状態に関わらず持っていく書類
- 計算証明書
- 受贈者の戸籍謄本
- 贈与年の所得金額を明らかにする書類
- 請負・売買契約書
新築住宅・中古住宅のみ
- 登記事項証明書
増改築などのときのみ
- 受贈者の戸籍の附票の写し
- 増改築等工事証明書 ※1
- リフォーム工事瑕疵保険付保証明書 ※2
木造20年・耐火建築物25年を超える中古住宅のみ
- 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書、基準住宅売買瑕疵保険付保証明書のいずれか
非課税枠の500万円加算を申請するときのみ
- 質の高い住宅の基準に適合することを証明する書類
※1 増築、改築、建築基準法上の大規模な修繕または大規模な模様替えの場合、確認済証の写しまたは検査済証の写しでも可
※2 給排水管・雨水の侵入を防止する部分の修繕または模様替えで、リフォーム工事瑕疵担保責任保険契約が締結されているもの
良質な住宅用家屋で非課税限度枠を増やすための書類一覧
また、良質な住宅用家屋の区分で非課税限度枠を使うときは、住宅性能を示す証明書類が必要です。住宅性能と書類の取得については、工務店や建築士、不動産屋などに確認してください。下記の書類の、いずれか1つが必要です。
新築住宅
- 建設住宅性能評価書の写し
- 住宅性能証明書
- 長期優良住宅に係る認定通知書及び認定長期優良住宅建築証明書等
- 認定低炭素住宅に係る認定通知書及び認定低炭素住宅建築証明書等
中古住宅
- 既存住宅に係る建設住宅性能評価書の写し(耐震等級・免震建築物、高齢者等配慮対策等の専有部分のみ)
- 住宅性能証明書
増改築等(リフォーム)
- 既存住宅に係る建設住宅性能評価書の写し(耐震等級・免震建築物、高齢者等配慮対策等の専有部分のみ)
- 住宅性能証明書
緑の贈与を使うメリット
贈与税は、家族や親戚などの個人からお金などの財産をもらった時に支払う税金です。基礎控除額は、1人につき年間110万円です。個人が、1月1日から12月31日までの1年間でもらった金額が110万円を超えた分に対し、贈与税がかかります。
例えば、母親から4月と10月にそれぞれ50万円、100万円を貰った場合、1年間にもらった金額は150万円です。この場合、基礎控除額の110万円を除いた40万円に対して贈与税が発生します。
もう1つの例で、同じ年に母親から50万円、父親から100万円貰った場合も、贈与税の対象になります。貰った金額の合計が150万円なので、40万円に対して贈与税がかかります。
このとき、太陽光発電の設置費用として金銭援助を行ない、緑の贈与や住宅贈与税制を使うと、110万円以上の資金を贈与しても税金がかかりません。この機会に、長期的な価値をもつ住宅を継承してみてはいかがでしょうか?
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