
太陽光発電は余った電気を電力会社に売却できるため、電気代やガス代の高騰を受けて注目されています。
一方で、「太陽光発電では実際にどれくらい発電できるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、太陽光パネルの容量別の発電量やシミュレーション、発電量が変化する要因などを解説します。
さらに、売電収入や設置費用も踏まえ、太陽光発電の費用対効果を判断するために必要な情報をまとめました。
自宅に必要な容量の候補を整理し、太陽光発電を導入する際の参考にしてみてください。
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太陽光発電の発電量はどれくらい?|容量別に1日・年間の目安を比較
太陽光発電での発電量は1kWあたり年間約1,000kWh、1日平均で約2.7kWhが目安です。
容量別の発電量の目安は、以下のとおりです。
| 容量 | 1日あたりの発電量 | 年間発電量 |
|---|---|---|
| 1kW | 約2.7kWh | 約1,000kWh |
| 3kW | 約8.2kWh | 約3,000kWh |
| 4kW | 約11.0kWh | 約4,000kWh |
| 4.5kW | 約12.3kWh | 約4,500kWh |
| 5kW | 約13.7kWh | 約5,000kWh |
| 6kW | 約16.4kWh | 約6,000kWh |
※年間発電量は=約1,000kWh×容量、1日平均=年間発電量÷365日で算出
ただし、いずれも目安の数値であり、実際の発電量は地域の日射量や屋根の向き・角度などの条件によって変動します。
自宅でどの程度発電できるのか、より具体的に知りたい場合は、見積もりとあわせて発電量のシミュレーションを依頼するのがおすすめです。
ただし、施工業者によってシミュレーションの前提条件が異なるため、1社だけでは、発電量や経済効果が適切に試算されているか判断しにくい場合があります。
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太陽光発電の発電量と収支を容量別にシミュレーション|売電収入・投資回収期間を比較
ここからは、以下の3つの観点から、太陽光発電の発電量と収支をシミュレーションしていきます。
容量ごとの違いや、条件によって収支がどのように変わるのかを確認しながら、太陽光発電を導入する際の参考にしてみてください。
3.5〜8.5kWの発電量・売電収入・投資回収期間を一覧で比較
容量3.5〜8.5kWの場合における、年間発電量・売電収入・電気代削減額・設置費用・投資回収期間を一覧で比較します。
シミュレーションは、以下の条件で算出しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置例 | 山梨県甲府市・4人家族 |
| 年間予想発電量 | 1,339kWh/年/kW |
| 自家消費率 | 30% |
| 売電率 | 70% |
| 売電単価 | 14.6円/kWh ※(24円×4年+8.3円×6年)÷10年=14.58円/kWhを四捨五入した10年平均 |
| 電気料金単価 | 33.71円/kWh ※2026年9月現在の東京電力エナジーパートナー「スタンダードS」を30Aで契約、月間電力使用量を350kWhと仮定し、「電力量料金単価 ± 燃料費調整額 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金」の式にて算出 |
| 設置費用 | 28.9万円/kW ※令和8年度以降の調達価格等に関する意見(案)(調達価格等算定委員会)より |
3.5〜8.5kWのシミュレーション結果は、以下のとおりです。
| 3.5kW | 4.5kW | 5.5kW | 6.5kW | 7.5kW | 8.5kW | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 年間発電量 | 4,686.5kWh | 6,025.5kWh | 7,364.5kWh | 8,703.5kWh | 10,042.5kWh | 11,381.5kWh |
| 自家消費量 | 1,406.0kWh | 1,807.7kWh | 2,209.4kWh | 2,611.1kWh | 3,012.8kWh | 3,414.5kWh |
| 売電量 | 3,280.6kWh | 4,217.9kWh | 5,155.2kWh | 6,092.5kWh | 7,029.8kWh | 7,967.1kWh |
| 年間売電収入 | 約47,896円 | 約61,581円 | 約75,265円 | 約88,950円 | 約102,634円 | 約116,319円 |
| 年間電気代削減額 | 約47,395円 | 約60,936円 | 約74,477円 | 約88,018円 | 約101,560円 | 約115,101円 |
| 設置費用 | 約101.2万円 | 約130.1万円 | 約159.0万円 | 約187.9万円 | 約216.8万円 | 約245.7万円 |
| 回収期間 | 約10.6年 | 約10.6年 | 約10.6年 | 約10.6年 | 約10.6年 | 約10.6年 |
※金額は1円未満、その他は小数第1位未満を四捨五入して算出
今回の年間売電収入は、FIT期間10年間の平均売電単価である「14.6円/kWh」を用いて算出した目安です。
また、今回の試算では、容量にかかわらず「1kWあたりの発電量・設置費用」「自家消費率」「売電率」を一定としているため、投資回収期間はいずれの容量でも約10.6年となります。
経済産業省が示す2026年度の想定値で試算すると、売電収入と自家消費による電気代削減効果を合わせ、最初の4年間で初期投資額の約5割に相当する経済効果が得られる結果となります。
※出典:令和8年度以降の調達価格等に関する意見|調達価格等算定委員会
ただし、実際の発電量や設置費用、自家消費率などは、住宅や設備の条件によって異なります。
シミュレーション結果と実際の見積もりを照らし合わせることで、「自宅ではどの程度の経済効果が見込めるのか」といった点を確認しやすくなります。
表の数値と見積もりに大きな差がある場合は、発電量の想定や設置費用、自家消費率など、どの前提条件が異なるのかを施工業者に確認してみましょう。
見積もりの妥当性を判断する際の参考として、ぜひご活用ください。
自家消費率と設置費用によって投資回収期間は変わる
投資回収期間は、設備容量だけで決まるものではなく、自家消費率や設置費用によって変わります。
自家消費率が高くなると売電量は減る一方で、購入する電力量が減るため、電気代の削減額は大きくなります。
特に、売電単価よりも電気料金単価の方が高い場合は、発電した電気を売るより自宅で使う方が経済的です。
例えば、昼間の在宅時間が長い家庭では自家消費量が増えやすく、その分、電気代の削減効果も大きくなります。
一方、昼間にほとんど電気を使わない家庭では自家消費率が下がり、売電量は増えるものの、電気代の削減額は小さくなります。
また、設置費用は設備容量に単純比例するわけではなく、1kWあたりの費用を変えるのは以下の要素です。
- 足場
- 工事
- 機器
- 屋根条件
- 補助金
つまり、投資回収期間を考えるうえでは、容量だけでなく、自家消費率と実際の設置費用まで確認することが重要です。
ただし、1社の見積もりだけでは、そのシミュレーションがどのような前提条件で作られているのか分かりにくい場合があります。
そこで複数社の見積もりを比較することで、施工会社ごとの試算のうち、大きな発電量だけで組んだものか、日射量や損失まで織り込んだ設計かの判断が可能となります。
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1〜4年目と5〜10年目で売電単価が変わる
太陽光発電の売電価格は1〜4年目と5〜10年目で大きく変わるため、期間ごとに大きな差が生じます。
2026年度の売電価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。
ここでは、3.5kWの太陽光パネルを設置した場合の売電収入を、1〜4年目と5〜10年目に分けて比較してみましょう。
| 項目 | 1〜4年目 | 5〜10年目 |
|---|---|---|
| 売電単価 | 24円/kWh | 8.3円/kWh |
| 売電量 | 3,280.6kWh | 3,280.6kWh |
| 年間売電収入 | 約78,733円 | 約27,229円 |
現行価格はなるべく初期投資の回収を前半に済ませられる設定となっており、売電単価が下がる5年目以降は、1〜4年目の約3分の1まで売電収入が大きく減少します。
実際のキャッシュフローもFIT期間の前半である1〜4年目に大きくプラスへ傾くため、ローンを組む際などの返済負担を早期に軽減しやすい点が、大きな経済効果です。
また、太陽光発電の経済効果として、自宅での発電による電気代の削減効果も挙げられます。
電気代の削減額は、以下の計算式で算出できます。
自家消費量 × 買電単価 = 電気代の削減額
つまり、余剰電力を電力会社へ売る「売電収入」と、自宅で使用して得られる「電気代の削減効果」は別々に計算する必要があります。
なお、前述のシミュレーションで使用した「14.6円/kWh」は、FIT期間10年間の売電単価を平均した数値です。
見積書やシミュレーションを確認する際は、1〜4年目の24円/kWh、10年間の平均14.6円/kWh、5〜10年目の8.3円/kWhのうち、どの単価を使って計算しているのかを確認しておきましょう。
太陽光発電の発電量を計算する方法
太陽光発電の発電量を計算する際は、以下の観点を理解しておくことが重要です。
実際に計算する、もしくは、計算結果の判断材料にするため、ひとつずつ見ていきましょう。
kWとkWhの違いは「発電設備の出力量」と「実際の電力量」
太陽光発電でよく見かけるkWとkWhは、似ているようで異なる単位です。
kWは「発電設備の出力」を指します。
一方、kWhは「一定時間に発電または消費した電力量」を指し、「出力量(kW)×発電時間(h)」の式で算出されます。
たとえば、5kWの出力で4時間発電した場合は、以下の計算です。
5kW(出力量) × 4時間(発電時間) = 20kWh
kWとkWhの違いについては、以下の記事もあわせて確認してみてください。
年間発電量は容量・日射量・損失係数から計算
太陽光発電の年間発電量は、「設置容量(kW)×1kWあたりの年間発電量(kWh)」で概算できます。
ただし、同じ設置容量でも、地域の日射量や配線・機器による損失などによって、実際の年間発電量は変わります。
より正確に算出する場合は「設置容量 × 地域の年間日射量 × 損失係数(総合設計係数) × 365」の式を利用します。
損失係数(総合設計係数)とは、配線やパワーコンディショナーなどによる発電ロスを考慮して、発電量を補正するための係数です。
ここでは東京を例に、以下の条件を先ほどの計算式に当てはめてみましょう。
- 発電量:4.5kW
- 日射量:3.53(南向き・設置角10°の場合)
- 損失係数(総合設計係数):0.884
※日射量・損失係数の出典:令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書|株式会社エックス都市研究所・アジア航測株式会社
計算すると、4.5 × 3.53 × 0.88 ×365日 = 年間で約5,102kWhの発電量です。
太陽光パネル1枚の1日・年間あたりの発電量は定格出力から計算
太陽光パネル1枚あたりの1日・年間の発電量は、カタログに記載されている定格出力を容量(kW)に換算して概算できます。
定格出力(公称最大出力)を1,000で割った値が、パネル1枚あたりの容量(kW)です。
例えば、定格出力が450Wのパネルであれば、1枚あたりの容量は「450W÷1,000=0.45kW」となります。
そのため、設置枚数が同じでも、パネル1枚あたりの定格出力が異なれば、設備容量や発電量も変わります。
1枚あたりの年間・1日あたりの発電量は、以下の式で概算することが可能です。
- 年間発電量=1枚あたりの容量×1,000kWh
※「太陽光発電における1kWあたりの年間発電量=約1,000kWh」という一般的な目安に基づいて設定 - 1日あたりの発電量=年間発電量÷365日
例えば、定格出力450Wのパネルの場合、容量は0.45kWのため、年間発電量と1日当たりの発電量は以下が目安となります。
- 年間発電量
- 0.45kW×1,000kWh=約450kWh
- 1日あたりの発電量
- 450kWh÷365日=約1.2kWh
主要製品について、同じ方法で1枚あたりの発電量を算出すると、以下のとおりです。
| メーカー | シリーズ・製品 | 公称最大出力 | 1日あたりの発電量 | 年間発電量 |
|---|---|---|---|---|
| シャープ | NU-458PU | 458W | 約1.3kWh | 約458kWh |
| 京セラ | エコノルーツ N型TOPCon KT450W-108NL4B | 450W | 約1.2kWh | 約450kWh |
| パナソニック | MODULUS ブラックモデル MS470α | 470W | 約1.3kWh | 約470kWh |
| 長州産業 | Nシリーズ CS-390N11 | 390W | 約1.1kWh | 約390kWh |
| ハンファジャパン | Re.RISE-NBC 440 | 440W | 約1.2kWh | 約440kWh |
| カナディアン・ソーラー | TOPHiKu6 CS6.2-48TM-465 | 465W | 約1.3kWh | 約465kWh |
このように、カタログの定格出力から、1枚あたりの1日・年間の発電量を計算できます。
太陽光発電の発電量は環境により変化する
太陽光発電の発電量は、以下の要素により増減する仕組みです。
年間平均の数値だけでは予測できない要素のため、詳しく解説します。
時間帯|正午前後を中心に朝夕は発電量が下がる
太陽光を利用する太陽光発電は、時間帯によって発電量が変わってきます。
発電量は太陽の高さに連動するため、日射量が多くなる正午前後に発電量のピークを迎えます。
その後は夕方にかけて徐々に発電量が減少し、太陽光が当たらない夜間は発電しません。
以下は、東京都で南向きに太陽光パネルを設置した場合の、時間帯別の発電量をシミュレーションした結果です。

出典:発電シミュレーション|京セラ
グラフを見ると、朝から発電量が徐々に増加し、正午前後をピークに、午後から夕方にかけて減少していることが分かります。
このように、太陽光発電の発電量は1日を通して一定ではなく、時間帯による日射量の変化にあわせて増減します。
天候|曇りや雨の日も発電するが出力は下がる
天候も太陽光発電の発電量に大きな影響を与える要素です。
曇りや雨の日も、発電量はゼロにはなりませんが、太陽光パネルに届く日射量が少なくなるため、晴れた日よりも発電量は低下します。
下記は、天候別の出力量を表した図です。
晴天時は正午前後をピークとする山なりですが、出力が下がる曇天時は、推移があまり安定しない傾向が見られます。
曇天時は雲を通した光でも発電しますが、晴天時よりも発電の出力が低いことが理由です。
さらに、厚い雨雲により地上に届く太陽光エネルギーが減少する雨天時は、発電量がより一層下がります。
雨によるパネル表面の水滴や汚れも、発電効率を下げる原因です。
太陽光発電を導入する際は、曇りや雨の日は晴れた日に比べると大きく発電量が低下する点を覚えておきましょう。
季節|日照時間と気温によって発電量が変わる
季節によって日照時間と気温が変わることから、発電量にも影響があります。
月ごとの発電量は、日射量や日照時間だけでなく、パネル温度による発電効率の変化にも左右されるため、夏の発電量が常に最大とは限りません。
下図は、東京都で太陽光発電を設置した場合の、月別発電量のシミュレーション結果です。

出典:発電シミュレーション|京セラ
グラフを見ると、春から初夏にかけて発電量が増加し、5月ごろにピークを迎える推移となっています。
一方、6月以降は発電量が減少し、夏から秋にかけて緩やかに低下しています。
このシミュレーションでも5月の発電量が最も多く、日照時間が長い7〜8月が最大ではありません。
夏は日射量が多いものの、パネルの温度が高くなると発電効率が低下することが一因です。
このように、季節ごとの発電量は日照時間だけでは決まらず、日射量や天候、パネル温度など複数の条件によって変化します。
地域|日射量が多い地域ほど年間発電量も多くなりやすい
日本国内でも、地域ごとの日射条件によって年間発電量には差が出ます。
地域ごとの日照条件を把握する参考として、まず年間日照時間を比較してみましょう。
日照時間と日射量は同じ指標ではありません。日照時間はあくまでも参考指標であり、発電量により直接関係するのは日射量となります。
以下は、都道府県別の年間日照時間を、多い順・少ない順に並べた表です。
今回のデータでは、高知県や静岡県、愛知県などの太平洋側に加え、群馬県や埼玉県でも年間日照時間が長くなっています。
| 都道府県 | 年間日照時間 |
|---|---|
| 高知県 | 2,309.0時間 |
| 群馬県 | 2,285.4時間 |
| 埼玉県 | 2,278.1時間 |
| 静岡県 | 2,246.2時間 |
| 愛知県 | 2,242.5時間 |
一方、日照時間が少ない傾向が見られるのは、主に北日本や日本海側です。
| 都道府県 | 年間日照時間 |
|---|---|
| 山形県 | 1,625.6時間 |
| 新潟県 | 1,629.6時間 |
| 青森県 | 1,701.0時間 |
| 富山県 | 1,725.2時間 |
| 沖縄県 | 1,757.5時間 |
一方、下表は、同一条件で見た年間発電量の目安です。
| 都市 | 年間発電量の目安(1kwあたり) | 4.5kWの場合 |
|---|---|---|
| 札幌 | 1,213kWh | 5,459kWh |
| 仙台 | 1,284kWh | 5,778kWh |
| 東京 | 1,362kWh | 6,129kWh |
| 名古屋 | 1,402kWh | 6,309kWh |
| 金沢 | 1,232kWh | 5,544kWh |
| 大阪 | 1,374kWh | 6,183kWh |
| 広島 | 1,371kWh | 6,170kWh |
| 高松 | 1,378kWh | 6,201kWh |
| 福岡 | 1,247kWh | 5,612kWh |
| 那覇 | 1,272kWh | 5,724kWh |
※真南に傾斜30度相当で設置とする
名古屋や高松など太平洋側・瀬戸内側の発電量は高く、反対に仙台や金沢などの東北・日本海側は低い傾向がうかがえます。
ただし日照時間が短い地域でも、地面が受け取る光のエネルギー(日射量)が多ければ、発電量が下がるとは限りません。
沖縄県のように、年間日照時間は短くても、太陽光のエネルギーが強く十分な発電量が得られる地域もあります。
また、日照時間だけでなく、以下も発電量に影響する要素です。
- 日射量
- 気温
- 積雪の有無・量
- パネルの設置角度・方位
日照時間はあくまでも参考指標で、その他の要素でも発電量は上下します。
太陽光発電の発電量が少なくなりやすい設置・設備条件
太陽光発電の発電量が下がりやすい設置・設備として、以下のような条件が挙げられます。
自宅の屋根が条件に合うかの判断材料として紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
屋根の方角・角度・形状|日射条件に合わない
太陽光パネルは、設置する屋根の向きや設置角度・形状によっても発電量が変わります。
最も発電量が大きく、設置角度が適切であるほど発電量が増えるのは、南向きの屋根です。
同じ日射量でも、光が斜めから当たるほど、太陽光パネルが受け取れる光が減少する仕組みです。
そのため、東向きや西向きの屋根は、南向きの屋根よりも発電量が少なくなります。
傾きがほぼ水平だと冬の発電効率が落ちやすく、反対に急過ぎると夏の高い太陽を受けにくくなるのが、角度が太陽光パネルに与える影響です。
また、屋根の形状によっては、太陽光パネルの設置が難しい場合があります。
地域によって最適な方角・角度は異なるため、南向き以外が一律に不適とはいえません。
見積もりのシミュレーションでも、方角・角度・屋根形状が反映されているかを確認しておきましょう。
屋根の向きについては、次の記事で詳しく解説しています。
周囲の建物や樹木|パネルに影がかかる
太陽光パネルの周囲に高層ビルや樹木、隣家などの影がかかった時間は、出力が下がります。
影がパネル面の太陽光を遮って陰を作り、発電量が低下するためです。
一部のパネルにだけ影がかかっている場合であっても、パネル同士のつなぎ方(ストリング)によっては、影がかかっていないパネルの出力まで落ちやすくなります。
時間や季節で影の位置は動きますが、出力が下がる時期を施主が観察し続ける必要はありません。
周辺の影については、次の記事もあわせて確認してみてください。
パネルの性能や設置面積|発電量に合っていない
太陽光パネルの設置容量は、1枚あたりの定格出力(kW)×設置枚数で決まり、容量が大きいほど年間発電量も増える傾向にあります。
ただし、同じ広さの屋根でも、パネル1枚あたりの定格出力や変換効率によって、設置できる容量は異なります。
また、屋根の面積や形状によって設置できる枚数が限られるため、希望する容量を確保できない場合もあります。
そのため、設置前の見積もりでは、以下の2点を確認しておきましょう。
- 容量や枚数、パネルの型番が屋根の条件に合っているか
- 想定する発電量を確保できる設計になっているか
太陽光パネルの性能については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
パワーコンディショナーの性能|変換ロスが生じる
パワーコンディショナーでは変換ロスが発生するため、実際に利用できる電力量は、太陽光パネルが発電した電力量より少なくなります。
これは、パネルで発電した直流電力を、家庭で使用できる交流電力へ変換する際に、一部の電力が失われるためです。
そのため、年間発電量をシミュレーションする際は、パワーコンディショナーの変換効率による損失も考慮されます。
また、太陽光パネルの容量に対してパワーコンディショナーの定格出力が小さい場合、発電量が多い時間帯に出力が上限に達し、発電した電力の一部を取り出せないことがあります。
このほか、設置環境や気温などによる出力制限も、シミュレーションと実際の発電量に差が生じる要因です。
設置前の見積もりでは、パワーコンディショナーの型番や定格出力、変換効率なども確認しておきましょう。
機器仕様については、以下の記事で詳しく解説しています。
汚れや経年劣化|発電効率が低下する
太陽光パネルの汚れは、パネル面に届く光を遮り、発電効率を急に低下させる要因となります。
主な汚れの例は、以下のとおりです。
- 黄砂
- 花粉
- 鳥の糞
このほか、配線や機器の異常によっても、発電量が急に低下する場合があります。
一方、経年劣化は、太陽光を電気に変換する性能が徐々に低下し、発電量が年単位で緩やかに減っていく要因です。
経年劣化による変化を確認する際は、前年や前々年の同じ月と発電量を比較し、長期的に減少する傾向があるかを確認するとよいでしょう。
発電効率の低下は、原因により打つべき対策も変わります。
発電モニターの数値や定期点検の結果を確認し、発電量の低下が急に起きたものか、長期間かけて緩やかに進んだものかを切り分けたうえで、原因に応じた対策を検討しましょう。
経年劣化については、以下の記事もあわせて確認してみてください。
太陽光発電で家庭の電気をどの程度まかなえる?
「太陽光発電で家庭の電気をどの程度まかなえるか」を考える場合、以下の要素から判断します。
年間の発電量合計はもちろん、時間帯のずれと蓄電池の効果も大切な材料となるため、ひとつずつ見ていきましょう。
年間量|4.5kWでは4人世帯の使用電力量をすべてまかなえない場合がある
太陽光パネルの容量が4.5kWだった場合の年間発電量は約4,500kWhが目安で、4人以上世帯の年間使用電力量(全国平均約6,200kWh)を下回る場合があります。
※出典:令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 全国6-2-1 基本項目(世帯、住宅、機器使用状況等)別-年間エネルギー種別エネルギー消費量 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口。1kWh=3.6MJであるため、22.32GJ(=22,320MJ)÷3.6で算出
発電量が使用量に届かない分は、電力会社から購入する電気で補う必要があります。
太陽光パネルの容量別に、4人以上世帯の年間使用電力量との差を比較すると、以下のとおりです。
| 容量 | 年間発電量 | 年間使用量 | 年間使用量との差 |
|---|---|---|---|
| 4.5kW | 約4,500kWh | 約6,200kWh | 約−1,700kWh |
| 5kW | 約5,000kWh | 約−1,200kWh | |
| 6kW | 約6,000kWh | 約−500kWh |
※年間発電量は1kWあたり年間約1,000kWhとして算出
6kWまで容量を増やした場合でも、全国平均と比較すると年間発電量が使用電力量をわずかに下回る計算です。
ただし、実際の使用電力量は家庭によって異なり、以下のような家庭では全国平均を上回る可能性があります。
- 在宅時間が長い家庭
- オール電化住宅
- 電気自動車を充電する家庭
使用電力量が多いほど、同じ発電量でも太陽光発電でまかなえる割合は低くなります。
節電などにより家庭の使用量が減らせば、同じ発電量でまかなえる割合は高くなる仕組みです。
このように、4人以上の世帯では6kWを設置しても使用電力量のすべてをまかなえない場合があります。
太陽光パネルの容量を決める際は、世帯人数だけでなく、実際の年間使用電力量と想定される発電量を比較して検討することが重要です。
時間帯|年間発電量が使用量と同程度でも、発電しない夜間は買電が必要
年間発電量が使用量と同程度でも、夜間は電力会社から電気を購入(買電)する必要があります。
太陽光発電は日の出から日没の間に発電する仕組みのため、朝夕や夜間の電力消費を発電でまかなえません。
日中に発電した電気のうち、家庭で使った分が自家消費、使い切れずに余った分が売電になります。
たとえば自家消費率が約30%の家庭では、発電した電気の約70%が売電に回り、夜間の電力はすべて電力会社から購入する計算です。
日中に在宅する家庭は発電した電気を使う時間が長いため、自家消費率が高くなりやすい傾向です。
一方で日中は不在にして夜間に電力を多く使う家庭では、発電した電気を直接使える時間が短く、自家消費率は低くなります。
年間発電量が使用量と同程度でも発電しない夜間は買電が生じるため、時間帯のずれを把握したうえでの容量選びが欠かせません。
蓄電池|昼間の余剰電力を夜間に使えば買電を減らせる

蓄電池を導入すると、昼間に発電して余った電気を貯め、夜間に使えるため、自家消費率を高めて買電量を減らせます。
蓄電池がなければ昼間の余剰電力は売電に回りますが、蓄電池があれば夜間の使用電力量をまかなえるためです。
ただし、蓄電池は発電量そのものを増やす機器ではなく、自家消費できる電力量を増やす機器です。
また、実際に利用できる電力量は、蓄電池の容量だけでなく、充放電時に生じる電力ロスなどによっても変わります。
そのため、同じ発電量でも、昼間の余剰電力を夜間に回せる蓄電池がある家庭のほうが、太陽光発電で家庭の電力をまかなえる割合は高くなります。
一方で、蓄電池の導入には費用がかかるため、買電量の削減によってどの程度電気代を抑えられるかを確認し、導入費用と比較して検討することが大切です。
蓄電池については、以下の記事もあわせてお読みください。
自宅の太陽光発電量を調べる3つの方法
自宅の発電量は、以下3つの方法で調べられます。
方法ごとに反映できる条件の範囲が異なるため、順に確認すると容量選びの判断材料がそろう仕組みです。
日射量データベースで地域の日射量を確認する
NEDOが運営する「年間月別日射量データベース(MONSOLA-20)」を利用すると、自宅がある地域の日射量(kWh/㎡)を確認できます。
地域を選択した後で太陽向きと傾斜角を設定すると、月別の日射量が表示されます。
ただし、分かるのは地域の日射量までで、自宅の屋根面にかかる影や配線の損失、パネルの配置までは反映されません。
そのため実際の発電量とは差が生じる可能性がありますが、設置地域の日射条件を把握する方法として活用できます。
太陽光発電の見積もりについては、次の記事で詳しく解説しています。
メーカーの計算ツールで発電量を試算する
太陽光パネルメーカーが提供する計算ツールでも、設置容量や地域などを入力することで、年間発電量の目安を試算できます。
メーカーが設定した日射量や各種損失などの条件をもとに、年間発電量の目安を算出できる点が特徴です。
ただし、入力項目や計算の前提条件はツールによって異なるため、同じ設置容量でも試算結果が変わる場合があります。
また、屋根にかかる影や複数の屋根面への設置状況などを十分に反映できない場合もあるため、試算結果はあくまで目安として活用しましょう。
発電量シミュレーションついては、以下の記事もあわせてお読みください。
施工会社に屋根条件を反映した試算を依頼する
施工会社に試算を依頼すると、屋根面ごとの設置容量・影の見込み・損失係数・家庭の電力使用量まで反映した発電量を確認できます。
現地調査や図面をもとに試算するため、日射量データベースやメーカーの計算ツールよりも、自宅の設置条件を反映した数値を把握しやすい点が特徴です。
ただし、複数社に試算を依頼すると、以下のように年間発電量が異なる場合があります。
| 会社名 | 年間発電量(kWh) | 損失係数 |
|---|---|---|
| A社 | 5,400 | 15% |
| B社 | 5,100 | 20% |
このような年間発電量の差は、各社が設定する損失係数や日射量、影の見込みなど、試算条件の違いによって生じます。
年間発電量に差が生じている場合は、発電量そのものだけでなく、以下の前提が揃っているか確認して比較しましょう。
- 設置容量
- 影の計算方法
- 損失率
- 電気料金
自宅の条件に合った発電量の目安を把握するには、複数の施工会社から試算を取り、前提条件とあわせて比較することが大切です。
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太陽光発電の発電量を維持する方法
設置後の発電量を維持する方法は、以下の2つです。
モニターで数値の変化を捉え、点検で原因を確かめれば、必要な清掃や修理へつなげられます。
モニター|実発電量を予測値・前年同月と比べて変化を把握する
発電量の低下に気づくには、モニターに表示される実発電量を、設置時の予測値や前年同月の実績と比較します。
複数の数値を比較することで、天候や季節による一時的な変動なのか、汚れや機器異常などによる継続的な低下なのかを見分けやすくなるためです。
モニターでは、日ごと・月ごとの実発電量を確認できます。
一方、予測値は日射量などをもとに算出した目安であり、実際の発電量と必ず一致するものではありません。
設置時の予測値と比べるときは、同じ月・同じ期間で条件を揃えることが重要です。
また、前年同月の実発電量と比較すると、季節による発電量の違いを踏まえながら変化を確認できます。
数日程度の低下であれば天候の影響も考えられますが、天候だけでは説明しにくい低下が継続している場合は、汚れや影、機器異常などがないか確認しましょう。
点検|汚れ・影・機器異常を確認して必要な清掃・修理を行う
発電量の低下が続く場合は、汚れ・影・機器異常がないか点検し、原因に応じて清掃や修理などを行います。
主に確認したいポイントは、以下の3つです。
- 黄砂・花粉・鳥の糞などの汚れ
- 樹木や建物による影
- モニターやパワーコンディショナーの異常表示
地上から安全に確認できる範囲で、パネルの汚れや新たにできた影、機器のエラー表示などを確認しましょう。
汚れが原因であれば清掃、樹木などによる影が原因であれば周辺環境への対応、異常表示が続く場合は機器の点検や修理が必要です。
ただし、自分で屋根に上がると、転落したりパネルや配線を傷つけたりするおそれがあります。
発電量の低下が続く場合は無理に自分で対応せず、必要な清掃や機器の点検・修理を施工会社へ依頼しましょう。
太陽光パネルのメンテナンスについては、以下の記事もあわせてお読みください。
太陽光発電の発電量に関するよくある質問
太陽光発電の発電量に関するよくある質問をまとめました。
太陽光発電を導入する前に、疑問を解消しておきましょう。
太陽光パネル10枚で何kW・何kWh発電しますか?
10枚の設備容量は「1枚の定格出力(W)÷1,000×10枚」で、年間発電量はその容量に1kWあたり約1,000kWhを掛けた値が目安です。
たとえば1枚400Wなら10枚で4.0kW、年間約4,000kWh(1日平均約11.0kWh)です。
発電量が急に少なくなったときはどう確認しますか?
発電量が急に少なくなったときは、以下の順に確認しましょう。
- 天候
- 影・汚れの有無
- モニターやパワーコンディショナーの表示
晴れの日が数日続いても発電量が戻らない、またはエラー表示がある場合は、施工会社へ相談する必要があります。
発電量が増えると、電気代の削減額も増えますか?
発電量が増えても、電気代の削減額は必ず増えるとは限りません。
昼間の電力をすでに太陽光発電でまかなえている家庭では、発電量を増やした効果は売電収入として現れます。
自宅に合う太陽光発電の容量は発電量・売電収入の複数社比較で決めよう!
自宅に合う太陽光発電の容量を選ぶ際は、発電量の平均値だけを見るのではなく、以下のような条件を総合的に比較することが大切です。
- 屋根条件
- 電力使用量
- 売電収入
- 設置費用
- 投資回収期間
実際の発電量や導入による効果は、住宅や家庭の条件によって異なります。
見積もりを比較する際は、提示された発電量や費用だけでなく、設置容量や損失係数など、シミュレーションの前提条件が揃っているかも確認しましょう。
複数社のシミュレーションを比較すると、自宅の条件に合った発電量の目安を把握しやすくなるだけでなく、売電重視・自家消費重視など、家庭の電気の使い方に応じた提案の違いも確認できます。
さらに、設置容量や設備内容が近い見積もりを比較することで、施工会社ごとの提案内容や費用の違いも判断しやすくなります。
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