住宅用太陽光発電システムは、売電収入、さらには補助金の交付などにより導入する家庭が一気に増えました。売電価格はFIT制度の当初の計画通り、年々下がっていますが、システム導入費も価格競争の影響で下がってきています。また、天災による非常時などの電源としての需要は増えています。
 
では、実際に太陽光発電を導入した場合、どれくらいの発電量と売電収入があり、おトクなのでしょうか?
 
一般家庭で導入が多いといわれている4.5kWの住宅用太陽光発電を設置した場合の年間発電量と売電収入についてお教えします。

太陽光発電は利益を生み出す投資財

ズバリ、太陽光発電システムにかかる設置費用は、2018年度の相場では「1kWあたり約25万円/kW」。ですから、4.5kWの住宅用太陽光発電を設置する場合では約112万円となります。
 
もちろん、これはあくまで平均です。設置する条件、お住いの販売施工店によって太陽光発電の設置費用は異なります。まずは、信頼できる複数の販売施工店から、見積りを取り寄せ、きちんとシミュレーションをしてもらいましょう

4.5kWの太陽光発電での売電収入

では、太陽光発電における売電収入は、1ヶ月あたりでどれくらいの金額になるのでしょうか。太陽光発電協会JPEAによると、1kWシステムあたりの年間発電量は1,000kWh/年となっています。また、10kW未満の住宅用太陽光発電の売電価格は、出力制御対応機器なしのエリア(東京電力エリア、中部電力エリア、関西電力エリア)では1kWh24円、出力制御対応機器ありのエリアでは1kWh26円です。(2019年度の売電価格)
 

これらを踏まえて、実際にモデルケースをたて売電収入を計算してみましょう。
 

■モデルケース
4人家族(子ども2人)
エリア:山梨県甲府市
システム容量:4.5kW
日中電気使用率:15%
月の電気代:1万円
 

■設置する太陽光パネル
太陽光パネルメーカー:トリナソーラー
 

まず、4.5kWの太陽光発電の年間発電予想量を計算します。
 

年間予想発電量を計算する式は以下となります。
(※NEDO 技術開発機構太陽光発電導入ガイドブックより)
 

Ep = H × K × P × 365 ÷ 1
・EP = 年間発電予想量(kW/㎡)
・H = 設置面の1日当たりの年平均日射量(kWh/㎡/日)
・K = 損失係数・・・約73%(モジュールの種類、受光面の汚れ等で多少変わります。)
※ 年平均セルの温度上昇による損失・・・約15%
※ パワーコンディショナによる損失・・・約8%
※ 配線、受講面の汚れ等の損失・・・約7%
・P  = システム容量(kW)
・365 =年間の日数
・1 =標準状態における日射強度(kW/㎡)
 
NEDOの年間予想発電量によると、山梨県のH(設置面の1日当たりの年平均日射量)は、4.30kWh/㎡/日となります。
これを上記の式に当てはめて年間発電予想量を計算します。
 

■年間発電予想量
Ep = H(4.30kWh/㎡/日) × K(0.73) × P(4.5kW) × 365 ÷ 1 = 5,155kW
 
年間発電予想量は5,155kWとなりました。
 
次に、売電収入を求めます。
日中の電気使用率を約15%とした場合、年間発電予想量の約15%は自家消費となるので、残りの85%を売電するとします。
 

■年間の売電電力量
5,155kW × 85% = 4,382kW
 
上記の売電する電力量に2019年度の売電価格をかけると、売電収入が求められます。
モデルケースとなっている山梨県は東京電力エリアのため、出力制御対応機器の設置はなしのため、2019年度の売電単価は24円/kWです。
 

<年間売電収入>
〇4,382kWh(年間の売電電力量)/年×24円(売電単価)=105,168円/年(8,764円/月)
 
売電収入は、年間約10.5万円となりました。
天候などにもよりますが、10年間の売電収入は約105万円となります。
 

初期費用はどれくらいの年数で回収できる?

次に太陽光発電の設置費用(初期費用)をどれくらいで回収できるのかを計算してみましょう。
太陽光発電の設置費用には、太陽光パネル、パワコン、工事費などがあります。太陽光発電の設置の場合、これらを総額で設置容量×キロワット当たりの単価で計算するのが一般的です。今回のキロワット単価については、約25万円kWで計算いたします。もちろん、販売店の見積もりや設置するパネル・パワコンのメーカーなどによって、設置費用は変わりますので、あくまで目安となります。
 
<初期費用>
〇25万円(キロワット単価) × 4.5kW(設置容量) = 112.5万円(設置費用)
 
次に住宅用太陽光発電を設置した場合の、年間の経済メリットはいくらかを計算します。
年間の経済メリットは売電収入だけでなく、自家消費した分の電気代削減額も加えて掲載します。つまり、「年間の売電収入+年間の電気代の削減額」となります。
売電収入についてはすでに年間10.5万円とでています。ですので、電気代の削減額を計算してみましょう。今回のモデルケースでは、日中の電気使用率は15%としていますので、この値を元に求めます。
 
<年間の電気代削減額>
〇5,155kW(年間発電予想量) × 15%(日中の電気使用率) = 773kW(年間の自家消費分)
〇773kW(年間の自家消費分) × 24円(売電単価) = 1.8万円(年間の電気代削減額)
 
年間の電気代削減額は、1.8万円とでました。ここから年間の経済メリットはいくらかを計算すると、
 
<年間の経済メリット>
〇10.5万円(年間の売電収入) + 1.8万円(年間の電気代削減額) = 12.3万円
 
最後に、初期費用を年間の経済メリットで割れば、回収期間がわかります。
 
<回収期間>
〇112.5万円 ÷ 12.3万円(年間の経済メリット) = 9.1年
 
約9年で初期費用は回収できます。そして、その後はずっと黒字となります
今回はキロワット単価を25万円で計算しましたが、見積りを依頼する販売店によってはもっと低いキロワット単価で設置できることもあります
 

当サイト「タイナビ」では、複数の販売店から最大5社まで一括で見積りをとることができます。太陽光発電は決して安い買い物でありません。複数の見積りを比較してみてください。
 

近年の売電収入状況

太陽光発電で作った電力は、固定価格買取制度(通称FIT)によって決められた単価と期間で買い取ってもらえます。
 
2019年度の買取価格は、10kW未満では出力制御対応機器無しで24円、出力制御対応機器有りで26円です。4.5kWの住宅用太陽光発電では余剰売電として、10年間は決まった金額で買い取ってもらえます。
 
この単価は年々下がっていきますが、太陽光発電の導入費用も下がってきているので、採算性としては低くなく高いまま出るといえます。
 
ちなみに、出力制御対応機器無しは東京電力や中部電力、関西電力の管轄地域にです。出力制御対応機器有りは北海道電力や東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の管轄地域になります。
 
両者の2円の違いは、売電価格に出力制御にかかる費用分が入っているもの。自費で購入しなければならないので、その分高くしているのです。

発電量を知りたいなら訪問見積もりをしてもらう

特定メーカーのソーラーパネルを何枚設置するかである程度の発電量の予測は可能ですが、実態は屋根の形や向き、お住まいの地域などによって発電量は異なります、そのため、発電量を知りたいなら、実際に業者に見積もりを出してもらうのが早くて確実です。
 
タイナビなら、厳しい審査に通った優良な太陽光業者に無料で訪問で見積もりを出してもらえます。訪問で相談すれば、太陽光システム導入の値段交渉のほか、実際に年間どれくらいの発電量が見込めるかを教えてもらえます。
 
どれだけ売電して元が取れるかは、見積もり後に固定価格(2019年なら24円~26円)を発電量にかけて、導入費用から売電価格を引いて計算してみると良いでしょう。

売電収入を増やすには節電が必須

4.5kWの太陽光発電では余剰売電となるため、家庭で余った電力が買取対象。ですから、使い切ってしまうと意味がなく、逆にデメリットとなってしまう可能性もあります。売電収入を上げるには、節電が必要。また、あまり発電しにくい地域での設置では、節電してもなかなか思うような売電収入にならないこともあります。設置したのにあまり利益がないなんて事にならないように、設置前にはしっかりとシュミレーションするようにしましょう。

エネファームや蓄電池を併設したダブル発電

太陽光発電設備に、エネファームや蓄電池などを併用したタイプを「ダブル発電」といいます。通常の太陽光発電よりも多くの電気量を売電することが可能となるので、一般的な売電価格よりも低く設定されています。
 
ダブル発電での出力制御対応機器無しは「25円/kWh」、出力制御対応機器有りは「27円/kWh」と、一般の売電価格よりも大きく差をつけているのです。ちなみに、エネファームや蓄電池を設置していて太陽光発電の容量が10kWを超えている場合は、ダブル発電での単価ではなく全量売電の単価が適用されるものとなります。

エネファームの設置で変わる売電収入

エネファームとは、熱を効率的に活用できるエコな発電方法。ガスから水素を取りだし、それを空気中の酸素と反応させて電気を得ています。ダブル発電で昼間の売電量をめいっぱい増やした場合、その金額はすこしばかり高くなるぐらい。
 
太陽光発電の積載量が少ないとエネファームによる後押しが収入額を増やしますし、10年後に売電単価が下がる可能性を考えても、エネファームの活用で電気代を減らすことが期待できます。
 
ダブル発電をする場合は、太陽光発電の設置を少し控えめにし、その分を蓄電池やエネファームに回してもいいですね。

太陽光発電における売電の仕組み

太陽光発電を設置したからといって、即売電できるわけではありません。売電をおこなう手続きが必要で、それは設置前におこなわなければいけません。設備認定をおこない、固定価格買取制度によって定められた機器や設置条件であることを証明します。
 
設置が遅れてしまうと、申請時に定められていた単価が適用されず、翌年の新しい単価が適用されてしまう場合もあるので、申請したら素早く設置する必要があります。
 
設置が完了すると売電がスタート。特に指定しない限り、その地域を管轄する電力会社が電気を買い取ることになり、売電した際のお金もその電力会社から支払われるようになります。売電先には、従来の電力会社はもちろん新電力も選択可能です。

売電収入に当てる資金はどこから?

売電収入で得たお金の支払いは電力会社がおこないますが、その資金は需要家(一般家庭)が賦課金という形で負担しています。
 
賦課金は全国一律で、売電単価によって左右されます。毎月の電気料金の明細書にも、賦課金が再生エネルギー関連項目として差し引かれています。ちなみに、買い取った電力への代金がすべて賦課金で賄われるのではありません。

売電価格の決め方

売電価格は、調達価格等算定委員会(算定委)が中心になって決められます。再生エネルギー電源の市場調査によって得たデータなどをもとに、次年度の買取単価や適用期間などを話し合います。
 
コスト試算を元に、事業者が適正な利潤が得られるかどうか、エネルギーミックスなどの再生エネルギーの普及目標を達成できるかどうかも考慮され、会議で出た意見をまとめて経済産業省に提出し、そこで最終的に決定されるものとなります。この会議は1月ぐらいにおこなわれ、3月頃に最終決定が下されます。
 
売電単価は、設置費用との兼ね合いで決まります。売電単価は設置費用を元に決められるため、年度が変わったら売電単価と同時に見積りをチェックしてみてください。