太陽光発電税金

太陽光発電の設置には、税金(所得税と固定資産税)がかかってきますが、やり方次第では節税することもできます。また、企業が売電目的で設置する場合には法人税減税などが適用されますが、毎年変更があるのでこまめに確認する必要があります。

太陽光発電には所得税と固定資産税がかかる

太陽光発電システムを導入し、売電することで収入を得た場合、これは雑所得となります。20万円を越えた場合は確定申告をする必要がありますが、設備費用は経費としてみる事ができるので、得た収入から経費を差し引いた分が対象となります。

つまり、「収入ー経費=収入」です。

ただ、経費を計算するには、償却資産としての減価償却率が必要。この減価償却率は法定耐用年数ともいい、10kW未満の住宅用では17年、10kW以上の事業(産業)用では9年です。計算式は、「設置費用×償却率×按分率=経費」です。

償却率は「1/耐用年数」で、按分率は「売電量/発電量」となります。
雑所得が20万円以下となる場合は所得税がかかりませんが、他にも所得税があり、すべて合算して20万を超える場合は所得税の支払いが発生しますので注意が必要です。

設備によって異なる固定資産税

太陽光発電システムの導入には、所得税だけでなく固定資産税もかかります。固定資産税の対象設備は細かく分けられており、対象となるのは太陽電池モジュールが屋根と一体化しているタイプ、架台に設置しているタイプは対象外となります。

固定資産税に関しての課税評価額は住んでいる地域を管轄する市町村職員が決めており、評価額の1.4%が固定資産税となります。

所得税と固定資産税を抑えるには?

太陽光発電にかかる所得税を抑えるには、按分率(売電量/発電量)がどれくらいになるのかがポイント。発電した電気量の中の売電量を増やす事が出来れば節税になります。

つまり、日頃から節税をこまめにおこない家庭内での電気使用量を減らすことが、所得税を抑えることになるのです。

また、固定資産税に関しては、架台を使って太陽光発電システムを設置する方法もありますが、屋根一体型の方が太陽電池モジュールを多く設置できるといったメリットがあります。

架台設置型と屋根一体型、どちらがより適しているのか、設置費用と共に発電シミュレーションからも比較検討する事が望ましいです。

企業によって太陽光発電の税金対策は変える事が出来る

平成28年度以降、売電目的で太陽光発電システムを設置した際に適用される節税対象が大きく変わります。

企業が売電目的で太陽光発電パネルを設置した場合、法人税減税が適用されるのですが、太陽光発電が予想以上に早いペースで普及していることからも変更が出てきています。

その内容が大きく変わる税制はグリーン投資減税で、生産性向上設備投資促進税制についてははっきりしていません。

即時100%償却とは?

グリーン投資減税の税制優遇措置の一つ、100%即時償却が2015年3月31日をもって終了しています。

通常では17年の償却年数となっており、購入費用を17回に分けて経費に計上しますが、即時償却100%は太陽光発電にかかった導入費用を全額、経費として前倒しで計上できます。

その為、繰越欠損金の繰越が出来たり、太陽光発電を即時償却して赤字になってしまったとしても将来的な黒字と相殺することができ、法人では9年間、個人では3年間可能となります。

この制度は、中小企業や個人で、納税額がそこまで高額にならない場合に適してる制度といえます。

グリーン投資減税とは?

固定価格買取制度の設備認定を受けている10kw以上の太陽光発電設備と、1万kw以上の風力発電設備を所有する、青色申告書を提出する個人及び法人を対象としています。これらの設備を1年以内に事業用として活用した場合に適用されます。

普通償却だけでなく取得価額の30%相当の特別償却、平成27年3月末までに取得した太陽光発電設備分までは即時償却適用、中小企業限定で取得価額の7%相当額の税額控除の3つの税制優遇措置から選ぶ事ができます。

生産性向上設備投資促進税制とは?

生産性向上設備投資促進税制とは、青色申告をしている個人及び法人で設備金額が160万以上、投資利益率が5%以上、平成28年3月31日までに取得している税理士等及び経済産業局の確認を得ている太陽光発電が対象。

期間内に160万以上、投資利益率が5%以上の設備購入で、即時償却もしくは税額控除5%の適用を受ける事ができるのです。

平成28年4月1日から平成29年3月末日までは、特別償却50%もしくは税額控除4%の実施が決定してはいるものの、売電目的の太陽光発電設備にも適用されるかどうかは、来年度に確認する必要があります。

太陽光発電の税金対策は生産性向上設備投資促進税制が重要

グリーン投資減税の、太陽光発電システムにかかる100%即時償却は2015年3月末で終了したことにより、生産性向上設備投資促進税制による50%即時償却による節税が注目されています。

生産性向上設備投資促進税制は、産業競争力強化法の制定により、税制改正の一つとして新しく導入されました。生産性の向上が見込める設備に対して、一定要件がつくものの、平成29年3月末まで50%即時償却が可能になります。

50%即時償却とは?

50%即時償却とは、初年度に設備投資にかかった費用の半分を減価償却することができる制度です。帳簿上の利益を減らすことができるので、法人税を少なく抑える事ができます。

現行の税率がこのまま続くのであれば、年数が経つごとに支払う税金は通常の減価償却と同じ。財務省では、平成27年度から少しずつ法人実効税率を20%台まで引き下げるように動いていることからも、法人税が下がった場合では50%即時償却の方がお得になります。

生産性向上設備投資促進税制は2種類に分けられる

生産性向上設備投資促進税制には、A類型とB類型とに分けられています。A類型では、最新設備が整った太陽光発電を。設備に関しては、最新式とする要件があり、それを証明できる資料を提出しなければいけません。

とはいえ、メーカーによっては、まだこの制度に対応しきれていないところもあり、証明書を発行してもらえずに要件を満たすことができないことも。その為、必ずしも適用されるとは言い難いものとなっています。

B類型では、設備投資における効果として利益率15%以上あることが条件となります。中小企業では約5%で、必ずしも最新設備である必要はありません。

A類型に比べて手間と費用がかかってしまいますが、土地を除く設備費用がすべて対象となるので、グリーン投資減税と同じような節税効果が期待できます。

グリーン投資減税は、発電設備の名義変更や連系するなどの手続きを決まった期間内におこなわなくてはいけませんでした。一方、生産性向上設備投資促進税制は事前に申請をおこなう必要があり、手続きの流れもちょっと違うのです。

グリーン投資減税による100%即時償却といった税制優遇措置が終了し、節税するのも難しくなってきたように思えますが、生産性向上設備投資促進税制による50%即時償却があります。

税制を適用させるとかなりの節税になりますので、利用してみるのが賢い太陽光発電システムの運用方法といえます。今後、法人実効税率が下がっていくことからも、50%即時償却をおこなうことで最終的には得するものとなります。