太陽光発電と合わせて活用すると良いとして、ここ数年前から注目されている「HEMS(ヘムス)」。HEMSとは、「Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」を略したもので、家庭向けのエネルギー管理システムの事です。
太陽光発電によって得られる電力と、家庭内で使われる家電製品で使用する電力を効率的にコントロールし、売電量を増やしたり、省エネを敢行して電力会社からの買取量をできるだけ減らそうとします。
HEMSの定義は?
HEMSには、メーカーによってさまざまな定義でその名前を使われています。家庭の電気使用量を見えるようにしたモニター製品をHEMSとするところもあれば、家庭での使用エネルギーを節約するシステムをHEMSと定義付けているところもあるのです。
また、経済産業省においては、家電機器や給湯機器などの住宅内のエネルギー消費機器をネットワーク管理できるようにし、省エネなどおコントロールもできるシステムを。
環境省では、一般家庭においてのエネルギー管理システムをサポートするものであるものの、エネルギー消費機器をシステム管理し、稼働状況やエネルギー消費状況を見張り、遠隔でのコントロール機能や自動的に制御できるようにした製品をHEMSとしています。
太陽光発電のモニターとHEMSの違い
HEMSには、エネルギーの消費状況がモニターなどで見てわかり、機器を自動的にコントロールできる機能があります。これらの機能から、家庭内でのエネルギーを適切に管理し、効率的な節約を可能とします。
太陽光発電にもモニターがありますが、HEMSこれよりもより広い概念をもった製品をいいます。太陽光発電だけの発電状態だけでなく、住宅全体のエネルギー使用状況を見えるようにしたシステム。
エアコンや照明器具などの電化製品いかかるエネルギーコストを自動コントロールして、効率的に節約できるようにしているのです。
ただ、HEMSによる自動制御を可能にするには、HEMSからの指示に対応できる通信規格「ECHONET Lite」が各種家電製品に搭載されていなければいけません。その為、少しずつ対応した製品が作られ増えています。
HEMSが注目される理由
HEMSが注目されるのには、5つの理由があります。
「見える化」による効率的なエネルギーの促進、ZEH(ゼッチ)の重要な役割を担う自動制御、今後の電力自由化において強力なサポーターとなる、HEMSから得た幅広いデータの有効活用、そして政府が普及を強く促進していることです。
数年前にはHEMSの導入に国からの補助金がでていたこともあり、自治体でも補助金を実施したところもあります。
現在ではないようですが、今後の動きからまた復活する可能性もあります。
見える化で効率的な省エネに
HEMSには、家庭で使用されたエネルギーの消費状態をモニターから見て知る事ができます。エネルギー消費量の大きい家電機器から小さいコンセントなど、実際に数値として見えることで、どこを使いすぎていてどこを改善すればいいのかも一目瞭然。
省エネについての意識も高まり、改善しやすくなります。実際にどれだけ改善することができるのかを調査したら、2年間で20%近くの電気使用量の削減ができたという報告もあるほどなのです。
ZEHに欠かせない自動制御機能
「見える化」と同じく重要な機能として、「自動制御」があります。HEMSが太陽光発電から得られる発電量や住宅内で消費されるエネルギー量などを見張り、エネルギー利用量が適切な状態になるように自動的に制御します。
例えば、小雨が降っていて太陽光の発電量がいつもより少ないといった時は、自動的にエアコンの温度を下げるなどして対応することも可能。
電気代が高い時間帯は設定温度を2度下げてそれを過ぎたら元に戻したり、設定した電気代を超えたらエコモードで動かすなど、省エネをサポート。消費エネルギーと発電したエネルギーが相殺されるようにするのです。
これは、政府が今後の目標として掲げる「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」、別名「ZEH(ゼッチ)」にも役立つとされており、2030年までに新築住宅を中心に浸透させていけるようにしたいとしているのです。
家庭と電力会社、双方にメリットがある
2016年4月から、一般家庭においても電力会社や料金メニューが自由に選べるようになりました。スマートメーターの設置の進んでおり、各電力会社では時間帯や需給状況などによる料金設定を提供しています。
それにHEMSが加わる事で、電気料金が高く設定されている昼間の時間は電気量を抑えるなどの、適切な制御をしてくれます。一般家庭では電気料金の節約に、電力会社では電力の需要がひっ迫しすぎないようにと、双方にメリットが生まれるものとなるのです。
膨大なデータによる適切な電気プランの提案
HEMSには、使用することで膨大なデータが蓄積されていきます。それを活用したサービスが検討されており、高齢者の見守りやホームセキュリティーへの活用、節電量によるクーポン券、ライフスタイルに合わせた節電アドバイスなどが例として挙げられます。
HEMSデータを元にした最適なエネルギー活用、そして適切な料金プランの提案は、電気を効率的に使い家計的にも大きな助けになるのです。
太陽光発電とHEMSは好相性
政府は、ZEHだけでなく、HEMSの導入目標値も設定しています。2030年までには5,000万世帯への導入を検討しているほどですから、いずれは全世帯にHEMSが導入されるようになるかもしれません。
HEMSの特徴からも、太陽光発電と併用して使うのはとても良い事。セットで使うことで、固定価格買取制度の期間中においては売電量を増やすことが可能のなり、終了後も単価の高い日中の買電量を効率的に押さえてくれるのです。
買取期間中は、効率的な売電量の確保に貢献
太陽光発電で得た電気は、買取期間中はなるべく電力会社に買い取ってもらいたいもの。そのためには、家庭内で消費する電気エネルギーを最小化する必要があります。
HEMSではどれだけ発電してどれだけ使っているのかが一目でわかりますし、自動制御装置で消費電力を抑えることができますので、売電量を増やすことも難しくないのです。
これは、買取期間中だけでなく終了後にもいえる事。HEMSで太陽光発電による発電データが蓄積されていくことによって、個人情報を保護しつつ他の家庭においての発電データを見比べるて比較することもできます。
比較する中で、発電量が大きく異なり、あきらかに発電パフォーマンスが低いようであれば、太陽光パネルに不具合があるのかどうかも知る事ができます。
買取終了後は家庭のエネルギー消費管理ツールとして活躍
買取期間終了後は、太陽光発電で得た電力で家庭内の消費エネルギーをまかない、電力会社からの電気購入をできるだけ抑えたいものです。電気料金が一番高くなるのは日中ですが、太陽光発電で得られる電力量も同じ時間帯に多くなっています。
HEMSがあれば、電気料金が高くなってしまう時間帯において、自家発電から得られる量で足りるように自動制御。家庭のエネルギー消費管理ツールとして、長く活用できるものとなるのです。
太陽光発電だけでなくHEMSも一緒に導入することで、家庭内における電気の使用状況が把握することが容易になり、売電量と消費量をうまくコントロールすることができます。家庭におけるトータル的なエネルギー管理ツールとして、太陽光発電と好相性なのです。
今後は、太陽光発電だけでなくスマート家電や蓄電池、電気自動車(EV)などが広く普及していくことが考えられます。HEMSは政府が後押しをするほどですから、太陽光発電とセットで導入を検討する事も増えてくるのではないでしょうか。
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