太陽光は自家消費が得 理由はグリッドパリティ

2022年度のFIT発表! 固定価格買取制度の最新情報をこちらの記事で解説しています。

2022年度 太陽光発電FIT価格まとめ[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]

太陽光発電のFIT(固定価格買取)制度は、10年しか買い取りしてもらえないため、「高いお金を払ってシステムを購入しても元は取れないのでは?」と思ってしまっていませんか?

しかし、太陽光発電システムは売電収入を得るためだけのものではありません。

自家消費用の電力を作ることで実質的に電気代をかなり節約することができるのです。

特に、FIT価格の下落により、今後は自家消費の方がお得になるといわれています。

このコラムでは自家消費が売電よりお得になった理由、さらにこれからシステムを導入した場合に初期費用を回収できるのかなどについて解説します。

太陽光が得か損かは「グリッドパリティ」で結論づく

太陽光発電で自家発電するのと、電力会社から電気を買い続けるのとどちらが得だと思いますか? 電気の単価で言うならば、すでに「グリッドパリティ」を迎えた住宅用太陽光発電の方が得なのです。

グリッドパリティとは、太陽光発電の発電コストと、従来の電力会社から買う電力の価格が同等になることです。

太陽光発電システムは、今までは高額な電気でした。

世界規模で太陽光発電が普及するに伴い、設備価格やメンテナンス費用は安く、技術力の向上で発電量が増加。

太陽光発電の発電コストが低下し、電力会社から買う電気の価格に並ぶグリッドパリティを達成したのです。

  • 第一段階:家庭用電力(従量電灯)価格並=23円:2013年達成済
  • 第二段階:業務用電力(高圧以上)価格並=14円:達成目標2020年
  • 第三段階:汎用電源(基幹電源)の発電コスト並=7円:達成目標2030年

一般家庭が電力会社から電気を購入するとき、平均的な電力価格は 27円/kWhです。

一方、住宅用の太陽光発電は、すでに売電するよりも自家消費する方がお得な状況です。

FIT価格は毎年2円ずつのペースで下がってきており、2019年度に始める住宅用太陽光発電のFIT価格は24円~26円。

太陽光発電で発電した電力の価格と、電力会社から購入する電力の価格が完全に逆転する現象が起きています。

グリッドパリティの達成により、自家発電した電気を積極的に使うことで明確なメリットが得られる時代が訪れたのです。

太陽光発電の元が取れるか計算してみた

計算

FITによる10年間の固定価格買取に魅力を感じて、太陽光発電に興味を持った人も多いと思います。

しかし、固定価格買取期間が終わった後はどうでしょうか。

FITによる買取期間が終了した後(いわゆる卒FIT後)のことまで考えた場合、本当に太陽光発電はお得なのかについて解説します。

売電収入だけで10年以内に元は取れない

まず、考えなければならないことは、「システムの設置費用の元を取れるのか」ということです。

太陽光発電システムの設置には費用がかかります。

せっかくシステムを導入しても、収益が設置費用を下回ってしまうようであれば損ですよね。

逆に、FIT期間中の売電収入と自家消費で節約できた分のお金で設置費用を賄えれば実質タダでシステムを導入でき、しかもプラスアルファの収益を上げられる可能性も出てきます。

ここではまず設置にかかる費用と、FIT期間の10年間で得られる売電収入の金額について詳しく見ていくことにしましょう。

太陽光発電を設置するのに必要な費用は、どれくらいだと思いますか? 施工店から直接聞いた2018年の実績によれば、1kWあたりの設置費用は23万円。

仮に6.24kWのシステムを設置するとき、かかる費用は約144万円ということになります。

※ 実際の太陽光発電システム設置にかかる費用は販売施工店によって差があります。

実際にどれくらいで見積もりできるか知りたい方は、無料一括見積りサイト『タイナビ』であれば、最大5社の優良販売施工店から見積りをとることができます。他で見積りをとるより、最大で100万程度安く設置できることもありますので、見積り比較はしましょう

次に、施工店が使用しているプロ向けのシミュレーターを使って、年間売電収入を計算してみましょう。

設置容量6.24kWのシステムを設置した場合の年間発電量は6844kWh。(※)一般的に、家庭用の太陽光発電では年間発電量の30%は自家消費に、残りの70%が売電に回されているといわれています。

※ 太陽光発電の立地や屋根の形状などにより異なります。1軒ごとに差が出ますので、実地調査とシミュレーションが不可欠です。

この割合に基づいて、2019年度の売電価格24円で、年間売電収入を計算すると、11万4979円。

10年間の総売電収入は114万4979円で、これだけでは設置費用の144万円はまかなえない計算です。

売電収入

しかし、太陽光発電で得られる利益は売電収入だけではありませんよね。

実際に設置費用の元が取れるかは、本当はかかるはずだった「自家消費した分の電気代」も差し引きして考えなければいけません

先程の例ならば、30%の自家消費で節約できる電気代は、年間5万3383円。

10年間で55万3383円の電気代を自家消費で節約できる計算になります。

年間売電収入の約114万4979円と、自家消費の節約額の約55万3383円を合わせた太陽光発電の経済メリットは10年間で169万8362円

約144万円かかった設置費用よりも、約25万8362円も得するという結果が出るのです。

さらに、自家消費で電力会社から購入する電気の量を減らすと、再エネ賦課金の支払いも減ります。

適正価格で太陽光発電を設置するかぎり、元が取れるかどうかの心配は少ないと言えるでしょう。

卒FIT後の売電+自家消費でさらなる投資効果

卒FIT後自家消費

住宅用太陽光発電は、10年間のFIT期間で元を取れるかが最大の焦点でした。

FITが電力会社に定める電力買い取り義務がなくなり、余剰売電が続けられない可能性があったからです。

いざFITを卒業する最初の太陽光発電が出現する2019年が目前に迫ると、世界中で高まった再エネ電力の需要に合わせるように、電力会社各社が売電の継続を打ち出しました。

10年後にFITを卒業した太陽光発電も、売電できる見通しがたったのです。

卒FIT後の売電価格は、8円〜10円/kWh程度に収まると予想されています。

蓄電池などの蓄電システムを併用し、余った電気を売らずに自家消費するメリットも高まっています

蓄電池の併用は得か?損か?

蓄電池の併用

発電した電力を自家消費するために、高額な蓄電池を設置することは損か得か、どちらでしょうか?

蓄電池の1台あたりの価格は、160~250万円(22~35万円/kWh)が目安。容量は1台あたり4.4kWh~7.8kWh程度です。

太陽光発電の売電収入や自家消費分での利益を考えても、トータルの収支はプラスにならないかもしれません。

ただし、災害時にも電気が使えるなど、金銭面以外での大きなメリットがあります。

政府や自治体は、災害対策や省エネ対策の蓄電池に補助金を出しており、初期負担が大きく軽減できる可能性があります。

また、蓄電池は設置工事などがありますが、一括見積もりで安くする方法も有効です。

ぜひ覚えておいてくださいね。

将来も得する太陽光発電を買うなら必須の方法

太陽光発電を買う方法

太陽光発電システムで得をするためには、初期費用をできるだけ安く抑える必要があります。

大体の相場を知るためにも、まずは一括見積りを利用して各社の見積り内容を比較するのがおすすめです。5社くらいを目安に比べてみるとよいですね。

業者ごとに特色がありますので、そちらも忘れずにチェックしましょう。

また、各家庭によって設置場所や日当たりといった条件は異なります。

設置後の大まかな収支状況を知るためにも、必ず設置場所を業者に見てもらい、詳細なシミュレーションを出してもらうようにしましょう。