太陽光発電を導入する場合、初期費用が気になるという人も多いのではないでしょうか。
そんな人にとって魅力的なのが、住宅設備メーカーのLIXILが発表した「建て得バリュー」です。「実質0円で太陽光発電が設置できる」というサービス内容から、気になっている人もいるかもしれません。
このコラムでは、以下の内容について詳しく解説していきます。
- LIXILの太陽光発電のサービス種類
- 「建て得バリュー」による実質0円の太陽光発電の仕組み
- 「建て得バリュー」を利用するメリット・デメリット
※2024年11月以降の最新情報を皆様にご提供いたします。
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実質0円で設置できる太陽光発電とは?
LIXILの「建て得」は、同サービスを取扱うビルダーで、新築ZEH住宅を建てる際に契約できるサービスです。
LIXIL「建て得」は5つのサービスを提供しています。
その中でも太陽光発電システムを実質0円で設置できるサービスが【建て得バリュー】です。
事業名 | 対象 |
---|---|
LIXILの「建て得バリュー」 | 新築で0円太陽光発電を 検討される方向け |
東京電力グループの「エネカリ」 | 既築住宅で0円太陽光発電を 検討される方向け※ |
「エネカリ」のコラムは ▼ こちら!
LIXIL「建て得」の仕組み
LIXIL TEPCOスマートパートナーズから太陽光発電システムを15年ローンで購入し、毎月のローンの返済費用を売電収入で相殺するという仕組みです。
つまり、通常の太陽光発電であれば初期費用に数百万円かかりますが、「建て得バリュー」ではその支出がかからないということです。
住宅用の太陽光発電は、発電した電気を自家消費して、余った電気を売って収入を得られます。
自分で太陽光発電を設置する場合、それらの収入は発電システムのオーナーである自分の物です。
しかし、「建て得バリュー」はローン返済費用を免除してもらう代わりに、発電した電気をLIXIL側に譲渡します。
つまり、ローン返済中の15年間は電気を自由に売ることはできず、屋根を貸しているような状態になるわけです。
15年が経てば太陽光発電システムのローンも終わり、売電収入も自分の収入にできるようになります。
ZEH化で新築費用がかかっても太陽光発電を諦めずに済む、画期的なサービスと言えるでしょう。
LIXIL「建て得」のサービス種類
【建て得でんち】 | 【建て得スマイル】 | 【建て得ライフ】 | 【建て得バリュー】 | 【建て得リフォーム】 | |
---|---|---|---|---|---|
事業 | |||||
条件 | 【太陽光発電システム容量】 ・5kw以上(一般地域) | 【太陽光発電システム容量】 ・5kW以上(ZEH・一般地域) ・7kW以上(改正省エネ基準・一般地域) | 【太陽光発電システム容量】 ・7kW以上(一般地域) | 【太陽光発電システム容量】 ・9kW以上(一般地域) | 【太陽光発電システム容量】 ・5kW以上(一般地域) |
費用 | 【蓄電池代金】 ・別途費用が必要 【設置工事費】 ・別途費用が必要 | 【設置工事費】 ・別途費用が必要 | 【設置工事費】 ・別途費用が必要 | 太陽光発電 + 工事付き | 【設置工事費】 ・別途費用が必要 ※電気・ガス併用、オール電化に対応 |
【建て得でんち】
「建て得でんち」は、ZEHの家を新築する人に太陽光発電システムと大容量蓄電池を格安で設置できるサービスです。
- 太陽光発電システム工事費+蓄電池製品代+蓄電池工事費=2,200,000円(税込)
- ZEH基準が対象
- 停電時や夜間などにも0円で電気が使える
【建て得スマイル】
「建て得スマイル」は、こだわりの家を建てたい⽅へおすすめのサービスです。
- 太陽光発電システム工事費は495,000円(税込)
- ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented、改正省エネ基準が対象
【建て得ライフ】
「建て得ライフ」は、こだわりの家を建てたい⽅へおすすめのサービスです。
- 太陽光発電システム工事費は330,000円(税込)
- ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedが対象
【建て得バリュー】
「建て得バリュー」は、ZEHをお得に建てることができるサービスです。
- 太陽光発電システム実質0円
- ZEH基準が対象
【建て得リフォーム】
LIXILの断熱リフォームで指定のLIXIL商品をご採用いただくだけで、太陽光発電システムの製品代がなんと実質0円!
- 太陽光発電システム工事費は495,000円(税込)
- まるごと断熱リフォーム(SW工法リフォーム)が対象
つまり「建て得バリュー」は実質¥0円で太陽光発電が設置できます!
※「建て得バリュー」は2023年度から最低搭載容量9kw以上になります。
※「建て得でんち」「建て得スマイル」「建て得ライフ」「建て得リフォーム」は設置費・工事費がかかります。
実質0円の太陽光発電「建て得バリュー」の利用条件
建て得シリーズは、それぞれに設定された太陽光設置容量基準を充足しないものはご利用できないため、見積もりサイトで無料シミュレーションを依頼してみる方が良いでしょう。
垂直積雪量 50cm以下 | 垂直積雪量 50~70cm以下 | 対象サービス | ||
---|---|---|---|---|
9kW以上 | 10kW以上 | ZEH 【バリュー】 | 改正省エネ基準 【スマイル】 | ZEH ※パネル出力10.5kW以内 【でんち】 |
7kW以上 | 8kW以上 | ZEH、Nearly ZEH、 ZEH Oriental 【ライフ】 | ||
5kW以上 | 7kW以上 | ZEH、Nearly ZEH、 ZEH Oriental 【スマイル】 |
先ほど少し紹介したように、「建て得バリュー」はすべての住宅で利用できるわけではありません。
太陽光発電の利用状況や蓄電池の設置については制限もあります。
「建て得バリュー」を利用するためには、以下の条件6つをすべて満たす必要があります。
- 国が定めるZEH基準を満たす住宅であること
- 「建て得」の利用規約にあるビルダーと建築本体の契約をすること
- ZEH性能以下になるリフォームや改造をしないこと
- 太陽光発電システムの改造・変更をしないこと
- 他の発電機器の設置をしないこと
- 本サービスで提供する蓄電池以外に電気を貯める設備の設置をしないこと
下記に該当する方はお申込ができません。
- 建て得ご契約者様・電気契約者様・建物所有者様が同一名義ではない方
- 65歳以上の方
- 定期収入のない方
- 過去に太陽光発電が建築住所と同一の敷地に存在していた、あるいは現存する場合で以下に該当する方
なお、ここでいうビルダーとは、「ZEHロードマップ」の意義に基づいて、自社が受注する住宅のうちZEH(Nearly ZEHを含む)の割合を2020年までに50%以上とする事業目標を掲げるハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等のことを指します。
つまり、簡単にまとめると、
指定したビルダーでZEH住宅を建てること、太陽光発電システム本体や売電収入に影響を与えるような設備の変更・改造などは禁止ということです。
さらに、LIXIL製品関連のサービスということもあって、契約内容には以下のような条件も含まれています。
- サッシ、ドア、太陽光発電システムにLIXIL製品を採用する
- 契約期間15年(途中解約には清算金がかかる)
- LIXIL TEPCOスマートパートナーズと電気の需給契約を締結すること
- 行政の指定する垂直積雪量が75cm以下であること
ZEH認定に必要な設備にLIXIL製品を採用し、なおかつ一定期間(15年間)LIXIL側が、確実に売電収入を確保できる状況にしておくことが必要です。
「建て得バリュー」への申し込み条件については、他の0円太陽光発電のサービスと比較しても、確かに厳格な要件が設けられています。
このため、実際に「建て得バリュー」のサービスを利用することができる方々は、全体の中でも比較的少数に留まるというのが現状です。
実質0円の太陽光発電「建て得バリュー」のメリット
実質0円の太陽光発電「建て得バリュー」には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
①ZEH住宅を建てる費用が安くなる
1つ目のメリットは、住宅建設コストの節約につながることです。
ZEH基準を満たすための建材は、性能も価格も高くつきます。
ZEH住宅は一般の住宅よりも高額で、さらに太陽光発電システムを設置しようとすると、建築費用が相当な負担になってしまいます。
「建て得バリュー」は、ZEHと太陽光発電を備えた住宅が、太陽光発電のないZEHと同額で建てられるのです。
②売電量が少ない月でも追加料金はかからない
2つ目のメリットは、もし思うような売電収入が発生しなかった場合でも追加の負担が発生しないことです。
通常、太陽光発電システムをローンで購入した場合は、月々の売電収入を返済に充てることになるため、売電量が少ないと返済の負担が多くなります。
しかし、「建て得」では天候不良などで売電量が少ない月でも、追加料金は一切かかりません。
そして、16年目以降は太陽光発電システムが譲渡されて自分の物になるため、その後の売電収入が自分の物になります。
固定価格買取制度で売電できる期間が終わった後でも、余剰電力を買い取る電力会社は多数あるため、15年目以降も売電を考えている人も安心です。
③ZEHの補助金が受けられる
3つ目のメリットは、ZEH補助金を受けられる可能性が高いことです。
「建て得」で建てるZEH住宅は、国の補助金制度の対象になります。
年度やタイミングによっては補助金がない可能性もありますので、施工会社と契約する前に最新情報をチェックしてください。
太陽光発電の初期費用がかからず、しかも補助金がもらえるとなると建築費用がかなり節約できます。
ZEH補助金は先着順となっており、また環境省への請求はビルダー側で行います。詳しい条件や申請方法についてはビルダーに確認しましょう。
実質0円の太陽光発電「建て得バリュー」のデメリット
一見良いことばかりにも思える「建て得バリュー」ですが、デメリットもあります。
これから導入を検討するなら、デメリットについても理解しておきましょう。
①一旦は電気料金プランを変えなければならない
1つ目のデメリットは、既存の電気料金プランを解約し、新たに契約し直す必要があることです。
「建て得」の場合、最低1年間はLIXIL TEPCO スマートパートナーズと電気の契約を結ばなくてはいけません。
新しい電気料金プランは途中解約の違約金がありませんが、それまで契約していた電気料金プランに途中解約の違約金がある場合は、支払いが発生する可能性があります。
②解約・名義変更をすると清算金がかかる
2つ目のデメリットは、ローンの途中解約や名義変更が難しいことです。
「建て得」は15年契約のローンを組むことで、太陽光発電システムの実質0円が成立している仕組みです。途中で解約すると清算金が必要になり、さらに残りのローンの支払いも発生します。
清算金は、販売価格と太陽光発電システムの基準価格との差額を契約月数(180ヶ月)で割った金額に、残りの契約月数をかけた金額です。
注意するべきは、引っ越し、名義変更、契約者が亡くなった場合なども解約扱いとなることです。
よけいな費用負担を避けるためにも、15年間の契約を続けられるか、よく考えてから導入を決めましょう。
③たくさん発電したときのメリットがなくなる
3つ目のデメリットは、発電量によってはかえって損してしまう可能性があることです。
通常、太陽光発電で得られる収入は発電した電気の売電量に応じて代わります。
つまり、たくさん売電した月は売電収入が多くなるのです。
しかし、「建て得」では、多く売電してもすべてLIXIL TEPCO スマートパートナーズへの無償譲渡となるため、たくさん発電したからといってオーナー側にメリットはありません。
日当たりが良く、たくさん発電できる場所に家を建てた場合など、条件によっては普通に太陽光発電システムを購入した方が得になるケースもあります。
特に、節電効果の高いZEH住宅は電気使用量が少なく、通常の住宅よりも売電できる電力も多くなります。
ところが、建て得では余剰電力をすべて無償譲渡するため、余剰電力が増えてもオーナーの収入はまったく増えません。
むしろ本来得られるはずの売電収入を考えると、余剰電力が増えるほど損をする可能性も出てきます。
④既築住宅には非対応・建売住宅はタイミング次第で非対応
4つ目のデメリットは、新築住宅を建てる場合でないと適用できない可能性が高いことです。
「建て得」を利用できるのは、条件を満たした新築住宅を新たに建てる場合のみとなっています。
したがって、既存の住宅に太陽光発電システムを導入する場合は、実質0円は利用できません。
また、新築の建売住宅で利用したい場合には建築確認申請時に施主が確定している必要があります。出来上がった建売住宅を購入する場合は、たとえ新築住宅であっても「建て得」の利用はできません。
太陽光発電を導入するなら「実質0円」よりも安い業者を探した方がお得かも
15年契約に縛られず、太陽光発電を利用したいなら安い業者で探した方がかえってお得かもしれません。
確かに太陽光発電システムを実質0円で導入できると聞くと、お得と感じる人もいるかもしれません
しかし、せっかく発電した電気を15年間無償譲渡してしまうのは、発電状況によってはもったいないことになりがちです。
さらに、「建て得」は利用条件が厳しく、15年契約ローンが必須などのデメリットもあります。
こうした事情を考えると、実質0円だからといって、必ずしもお得とは限らないでしょう。
既存の住宅はもちろん、新築住宅の場合でも、きちんと業者を選べばローンを支払っても十分な売電収入が得られます。
例えばタイナビの一括見積もりでは、厳選した優良業者の中から一番安いプランを効率よく探すことができます。
契約期間などの制約に縛られず、自由なスタイルで太陽光発電を利用したい人にはおすすめです。
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