停電対策

災害が発生して停電したときに、自家発電機があれば家庭内の電力をまかなうことができます。自家発電機には、さまざまな種類があり、使い方や費用にも幅があるので、選ぶときには迷ってしまうかもしれません。

今回は、家庭用自家発電機の種類とそれぞれの特徴、蓄電池の種類について紹介します。

自分のニーズに対応できるものはどれなのか、普段からチェックし検討しておくことをおすすめします。

家庭用発電機の基礎知識

家庭用発電機とは

防災対策として家庭用発電機の導入を考えつつも、「そもそも、電気に関することは苦手でよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。

まずは、家庭用発電機を選ぶときに役立つ基本を確認しましょう。

家庭用発電機とは

家庭用発電機・ポータブル発電機

家庭用発電機とは、ふだん自宅で利用している電力にくわえて、別の電気をつくることができる機器です。

以前は屋外でキャンプやDIYなどをする際に利用する方が多かったのですが、最近は自宅にも導入する方が増えています。

自然災害の対策

その理由は、ポータブルから本格的な備え付けまで発電機の種類が豊富になったため、一般家庭にも取り入れやすくなったためです。防災や環境への意識が高まってきたことも影響しています。

日本は台風や地震による大規模停電が毎年のように発生する自然災害の多いところです。実際に長期間の停電を経験した方からは、以下のような感想がありました。

停電
  • 懐中電灯だけでは暗く、電池ももたなかった
  • 携帯の充電ができずに情報が得られなかった
  • 真冬・真夏でエアコンが使えず苦労した

災害を乗り切るためには、電気を作れる環境にしておくことが非常に重要です。防災対策としても、家庭用発電機を備えておくことも検討しましょう。

家電に必要な電力の計算方法

家庭用発電機の導入を検討する前に、それぞれの家電がどのくらい電力を消費するかを把握しましょう。

発電能力は発電機によって差があり、停電時に十分な発電ができるものを選ぶ必要があるためです。

家電

家電の中には起動時に大きな電力を消費するものもあります。いざという時に必要な家電が使えない可能性があるため、必要な消費電力ぴったりではなく余裕を持った発電量で計算しておきましょう。

家電名消費電力起動電力
照明約50W約50W
携帯電話約15W約60W
ノートPC約25W約25W
電気ポット約450W約450W
テレビ約140W約140W
ヒーター約800W約800W
エアコン約1200W約2200W
電子レンジ約1100W約1430W
家庭用冷蔵庫約260W約1000W

※表の消費電力・起動電力は目安です。実際の数値は自宅の家電ごとにメーカーHPなどで確認してください。

例:照明1個+携帯3台の充電+電気ポット1台+家庭用冷蔵庫1台 を使う場合

消費電力の例

照明1個と携帯3台の充電、電気ポット1台に家庭用冷蔵庫1台を使う場合、上記の表を見ると必要な電力が下記の計算になります。

50W+60W×3+450W+1000W=1680W

つまり、1680W以上に対応した発電機が必要ということです。

家庭用発電機選びに失敗しないためのポイント

ポイント

停電時への対策として家庭用発電機の導入を検討する場合は、発電能力にくわえて、「これがあれば大丈夫」という安心感も重要です。

家庭用発電機を購入する前に、停電時の利用シーンをイメージしてみましょう。

どの家電を使いたいか

たとえば、停電してしまったときに、「最低限使えるように準備しておきたい家電」には何があるでしょうか。

真夏や真冬に停電した時に、エアコンがなくても過ごせるかどうかも考えてみましょう。

真夏や真冬に停電

灯油ファンヒーターやガスコンロなど、主な使用エネルギーが電気でない製品にも、電気がないと使用できないものがあります。

停電時に冷蔵庫はどうすればいい?

発電中の騒音は気になるか?

ポータブル発電機

また、ポータブル発電機の購入を検討する場合、発電機によっては稼働音が気になるケースもあります。騒音が問題ない立地かどうかも考慮する必要があるでしょう。

このように停電時の使い方を具体的にイメージすることで、どんな発電機を選ぶべきか判断しやすくなります。

予算をうまく活用する

家庭用発電機の導入予算

家庭用発電機の導入にあたっては、予算の検討も大切ですよね。家庭用発電機の価格帯は数万円から100万円を超えるものがあります。

ただし、価格のみで比較すると本質を見失いがちになる点にも注意しましょう。

災害や停電などでライフラインが絶たれると、予想以上に気力・体力を消耗してしまうものです。ですから、価格だけを重視するのではなく、「非常時における安心・安全」も考慮して選択することをおすすめします。

初期費用が高額に思える場合でも、お得に利用する方法はいくつかあります。

  • 国や自治体の補助金を利用し、数万~数十万円負担を減らす
  • 災害時だけでなくふだんから自家発電を行い、月々の電気代を下げる
  • 太陽光発電を導入して電気代を抑えつつ売電も行う

それでは、具体的にどんな家庭用発電機があるのかについて、みていきましょう。

燃料がなくても使える手動式発電機

発電

燃料がなくても使える手動式発電機は、ラジオや携帯などの充電に活用できます。コンセントが使えなくても頑張ればたくさん発電できるのがメリットですが、デメリットもあります。

ここでは、手動式発電機の特徴やメリット・デメリット、使い方などについて解説していきます。

使い方や費用、メリット・デメリットは?

手動式発電機の特徴やメリット・デメリット

手動式発電機は、ハンドルやペダルを手や足など人力で動かして発電させる仕組みになっています。発電するには、ある程度の力で継続して動かさなければなりません。

【燃料式発電機の価格】

価格は、手動式なら1万円程度、ペダル式は3万円台で販売されています。

【手動式発電機のメリット】

手動式発電機のメリットは、燃料がなくても発電できるためコストがかからないことです。コンパクトなタイプなら持ち運びも簡単にできることもメリットに挙げられるでしょう。

【手動式発電機のデメリット】

発電量が小さいため小型家電の充電や一時的に照明を使用する場合など、用途が限られる点です。

また、ハンドルやペダルを動かしている間しか発電できないため、手を空けられないことや、長時間の発電ができないこともデメリットといえます。

使える家電の種類と使用時間の目安

発電機で使える家電の種類

手動式発電機で使える家電の種類や使用時間の目安をチェックしておきましょう。手動式発電機は、電力量が小さく最大でも100W程度しか発電しません。

使える家電は携帯やラジオ、タブレット、照明など消費電力の少ないものに限られます。

使用時間の目安は、100W発電した場合に、携帯(15W)なら6~7時間程度、LED蛍光灯(18W)なら5時間程度です。

バッテリーを接続して充電することも可能なので、非常時には便利に使えるでしょう。

ただし、10Wを充電するには3分程度ハンドルを回し続ける必要があるので、ある程度の体力が必要になります。

乾電池が使えるタイプやソーラー充電ができるタイプの製品を選ぶと、実際に使用するときに、自分で動かす負担が軽減できるでしょう。

アウトドアで活躍する燃料式発電機

燃料式発電機

燃料式発電機とは、ガソリンやカセットガスボンベを使って電気をつくる機器です。

お祭りに並ぶ屋台の後ろに置かれているので、家庭用発電機としてイメージできる方も多いのではないでしょうか。屋外に設置し、延長コードを自宅内まで引けば、家電にも接続できます。

使い方や費用、メリット・デメリットは?

では、燃料式発電機の特徴と価格、メリット・デメリットをみていきましょう。

【燃料式発電機の価格】

価格は機種によって異なりますが、約5万~10万円程度です。

【燃料式発電機のメリット】

安定して電気をつくり出す能力があるため、ホットプレートなどの調理家電からパソコンや携帯などの精密機器まで、さまざまな家電に対応できます。

また、必要な発電量に応じて機種を選べ、持ち運びしやすい点もメリットです。アウトドアが好きな方にとっては、レジャーにも便利に使えるでしょう。

【燃料式発電機のデメリット】

燃料の備蓄が必要な点や、夜間に使用する場合、場所によっては稼働音が気になる場合もある点はデメリットといえます。

特に、ガソリンを使用する場合、使用後に燃料を抜くといった手入れが必要です。

使える家電の種類と使用時間の目安

燃料式発電機の価格

1000W以上など発電量の大きい燃料式発電機を選べばエアコンや冷蔵庫にも使用できますが、製品価格も高くなります。発電機のサイズも大きくなるため、必要な発電量をあらかじめ、イメージして適した製品を選びましょう。

連続使用時間は、一般的に、カセットガスボンベタイプよりもガソリンタイプの方が長くなります(燃料が満タンの場合)。

カセットガスボンベタイプの連続使用時間は1~2時間程度ですが、ガソリンタイプでは約7~8時間です。機種によっては、10時間以上も連続使用できるガソリンタイプの燃料式発電機もあります。

ただし、ガソリンは長期保存が難しいことがデメリットです。

エネルギーを効率的に使える家庭用燃料電池「エネファーム」

エネファーム

エネファームは、災害で停電した場合にも自立運転を利用すれば発電が継続できます。

手動式発電機と比べると供給量の大きい機器なので、こちらについても特徴を押さえておきましょう。ここでは、エネファームの仕組みや使い方、費用などを紹介します。

使い方や費用、メリット・デメリットは?

エネファーム

エネファームは自宅に設置するタイプの発電機で、ふだんキッチンやお風呂で使用しているガスに含まれる水素と空気中の酸素を燃料として発電します。

さらに、その際に発生する排熱を利用し給湯する機能も備えているので、エネルギーに無駄が出ません。

発電した電気は、照明やテレビなど家庭内の電力として使えます。

【エネファームの価格】

費用は200~250万円程度と高額なので、補助金制度を利用することも視野に入れるといいでしょう。

国からの補助金については「燃料電池普及促進協会」が毎年実施しており、機種や条件によって数万~20万円程度です。他にも、地域によって自治体の補助金制度もあるため、確認しましょう。

【エネファームのメリット】

自宅で発電して使用するため発電ロスが少なく、機器の騒音が少ないことです。また、電力使用量の4~6割をまかなえるので電気代の節約にもなります。

自立運転に切り替え可能な機種なら、停電時も発電が停止することがありません。

【エネファームのデメリット】

ある程度広い設置スペースが必要であることに加え、導入コストが高い点でしょう。ガスで発電するためガス代がかかる点や、停電時に発電できない機種があることもデメリットです。

災害でガスの供給が止まった場合は、発電できない事態になることも押さえておかなければなりません。

https://www.tainavi.com/library/4683/

使える家電の種類と使用時間の目安

エネファーム

エネファームで使える家電の種類や使用時間の目安を紹介します。

エネファームの発電量は、1日200W~750W程度です。比較的消費電力の小さい、テレビや冷蔵庫、ノートパソコンなどが使えるので、災害時でも日常生活を支障なく送ることができます。

使用時間の目安は、テレビなら最大で2時間程度、冷蔵庫は2~7時間程度、ノートパソコンなら7時間以上です。ただし、使用時間はエネファームの発電量や使用する家電の電力消費量によって変わるので、確認しておくことをおすすめします。

節電も停電時の電力供給も可能!住宅用太陽光発電

停電時の電力供給も可能!住宅用太陽光発電

住宅用太陽光発電なら、普段の節電や停電時の電力供給にも役立ちます。ここでは、太陽光発電の特徴や費用などを紹介していきます。

災害時に使える家電の種類や使用時間の目安を知っておくと、いざというときに役立つでしょう。

https://www.tainavi.com/library/4601/

使い方や費用、メリット・デメリットは?

住宅用太陽光発電の仕組み

住宅用太陽光発電は、自宅の屋根や空き地などに太陽電池モジュールを設置し、太陽光を利用して発電させます。

発電した電力は、パワーコンディショナで家庭用電力に変換され、電気として使用できる仕組みです。

【太陽光発電の価格】

費用は機器の規模によっても変わりますが、1kW(1000W)あたり26万円〜28万円前後が相場です。一般家庭の屋根で3kWか4kWくらいの容量なら、70万円から108万円が初期費用の目安になります。

太陽光発電の販売価格は10年ほど前と比べて半額以下まで下がり、一般家庭にも導入しやすくなりました。

そのため、2023年現在、国の補助金制度はありませんが、自治体によっては独自の補助金制度があるので、確認してみましょう。

https://www.tainavi.com/library/4387/

【太陽光発電のメリット】

太陽光で発電するので電気代を節約できることや、停電時も太陽光で発電できることです。

余った電力は売電することもできるので収入が得られるメリットも見逃せません。

【太陽光発電のデメリット】

太陽が出ている間しか発電できないことです。悪天候時も若干は発電できますが夜間は不可能ですので、電気を貯められる蓄電池などの併用がおすすめです。

使える家電の種類と使用時間の目安

住宅用太陽光発電

平均的な住宅用太陽光発電の容量としては、4~6kWの機器を設置することが多くなっています。

年間の平均発電量は1kWで約1000~1200kWhとされているので、1日あたりの平均にすれば1kW当たり3kWh程度が目安となるでしょう。

仮に、1日あたり15kWh発電したとすると、1日20kWhの電力を消費する世帯なら75%を太陽光発電でまかなえることになります。

太陽光発電の出力によっては、エアコンや洗濯機、電子レンジなど電力消費の大きな家電も使えるので、災害時にも不自由しません。

ただし、蓄電池を利用しない場合は昼間だけの発電となるため、使用時間は長くても10~14時間程度になります。

朝や夕方、天候の悪い日は発電量が少なくなる点については、対策を講じる必要もあるでしょう。

自家発電機を導入するなら蓄電池も検討しよう

自家発電機を導入するなら蓄電池

蓄電池を活用すれば、太陽が出ない日に備えて電気を貯めておけるので、災害時にも安心です。

また、効率的に電力を使うという観点からも、蓄電池の活用を検討すべきでしょう。

ここでは、蓄電池の種類やそれぞれの特徴を解説していきます。

EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド車)・HV(ハイブリッド車)

EV・PHV・HV

EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)は災害時の電源として注目されています。

それぞれの車体に搭載されているACコンセントで1500Wまでの家電が使えるため、ホットプレートなど消費電力が多めの家電も動かせます。

EV(電気自動車)PHV(プラグインハイブリッド車)

電気自動車は蓄電池代わりに使える? 使用感の違いとV2H

JAFの検証によれば、きちんと充電されたEVなどがあれば、停電時でも暖をとり、温かい食事がつくれるとの結果が出ています。

さらに、V2H機器(※)を導入することで、自動車から家庭へ、家庭から自動車への給電が可能になります。家全体への蓄電池効果がほしいなら、V2Hも併せて設置しましょう。

V2H機器

※ V2H機器:電気自動車に貯めた電気を家庭用電力へ変換するシステム機器のこと。

日中、自動車を使用しない場合は、安い夜間電力を貯めて昼間に使うこともできるので節約にもなります。停電時には、容量の大きい非常用電源として使うこともできるため、いざというときの備えにもなるでしょう。

ただし、蓄えた電気が尽きた場合、停電の最中でも充電できる方法を用意しておきたいところです。

https://www.tainavi.com/library/4204/
https://www.tainavi-battery.com/library/764/

据え置き型蓄電池

据え置き型蓄電池

据え置き型蓄電池とは、配線工事を行い建物内や屋外に設置する、容量の大きい蓄電池のことです。

太陽光発電と併用すれば、昼間だけでなく夜間も電力を確保することが可能になるので安心できます。

蓄電池のグリーンモード機能を使えば、太陽光で発電した電気の余った分を蓄電できます。もし、発電が足りなくなったときには、放電することもできるのです。

太陽光発電との相性が最もよい蓄電システムと言えるでしょう。

【据え置き型蓄電池の設置費用】

1kWhあたり15万~28万円程度が相場です。家庭用蓄電池の容量は5~7kWhが一般的なため、100万~150万円程度かかります。

国や地方自治体の補助金をどんどん活用して、購入費用を安くすることができます。一般家庭も使える最新の補助金情報はこちらの記事をごらんください。

https://www.tainavi-battery.com/library/666/

ポータブル蓄電池

ポータブル蓄電池

ポータブル蓄電池とは、持ち運び可能でコンパクトな蓄電池のことです。容量は200~1000Wh程度まであり、用途に合わせて選べるのが特徴と言えます。

据え置き型蓄電池に比べて容量が小さいため、使える家電製品は携帯の充電やノートパソコンなど、消費電力の小さいものに限られます。

USB出力ポートも備えているタイプなど、使いたい機器に合う出力ポートを備えている製品を選ぶといいでしょう。

非常用の大容量ポータブル電源はJackery(ジャクリ)が有名です。

普段の電力供給には容量が足りないかもしれませんが、非常用としては便利な蓄電池です。

停電の中で発電するには太陽光発電

太陽光発電見積り

自家発電機で家庭内の電力を補うなら、太陽光発電が最もおすすめです。

蓄電池と併用すれば、夜間の電力も確保できることが分かりました。

ただし、設置には高額な費用がかかるため、業者選びは慎重に検討しなければなりません。

タイナビでは、優良業者5社の見積りを無料で比較できます。蓄電池との同時見積りも可能なので、相場を知り適性価格を見極めるためにも、ぜひご利用ください。

太陽光発電は、蓄電池とセットでお得に購入することをおすすめします。