これから住宅用太陽光発電設備を設置しようと考えている人は、本当に導入するメリットがあるのかが気になるところでしょう。売電価格が下がってきていることから、今から設置しても元が取れないのでは、という方もいらっしゃいます。
そこで、この記事では2022年に住宅用太陽光発電設備を設置してもメリットがあるのか、デメリットは何かについて解説します。
具体的なシミュレーション例などもご紹介するので、今の太陽光発電はお得なのか気になっている人は、ぜひ参考にしてください。
2022年に太陽光発電を設置するメリットとは?
これから太陽光発電設備を設置するときに得られるメリットには、どのようなものがあるのかについて紹介します。非常時の備えや経済的メリットについて再認識しておきましょう。
売電の収入と電気料金の節約! 家計にプラスの効果あり
まずは、「太陽光発電事業は経済的な効果がある」ということを押さえておきましょう。2022年に住宅用太陽光発電を設置した場合でも、固定価格買取制度(FIT)により10年間決まった価格で余剰電力を売電できます。
2022年度に設置する10kW未満の太陽光発電の場合、買取価格は17円/kWhと発表されました。仮に年間3000kWh売電したら、5万1000円の収入になります。
一方、自家消費した分には電気代削減の効果があります。仮に、電力会社の電気代が27円/kWhだとして、3000kWhを自家消費したら、年間8万円ほどの電気代が減らせるのです。
太陽光発電をつけたときの収入と節約額を知るには
発電できる電力の量は、屋根に載せるパネルの枚数や性能で異なります。節約できる電気料金は、太陽光発電を始める年度と、電気料金プラン、電力の消費量で異なります。
詳しい金額を知るには、太陽光発電の施工会社に屋根を見せて、シミュレーションをしてもらう「現地見積もり」が1番おすすめです。
停電中も家で電気が使える
太陽光発電は、災害などで停電した場合の電力確保にも有効です。近年は大型災害による停電が日本各地で増えていますが、太陽光発電があれば「電気が全く使えない」という心配はありません。
昼間は、太陽エネルギーで発電している間に必要な家電製品を使えます。小型バッテリーや携帯電話などを充電しておけば、情報収集もできるので状況が分からず不安になることもないでしょう。
夜や雨のときに電気を使うには蓄電池
太陽光発電は夜に発電できません。昼間でも雨や曇りのときは発電量が格段に落ちてしまいます。そのため、停電中は発電できるときに携帯電話や小型バッテリーに充電するのが基本の使いみちです。
でも、エアコンや冷蔵庫など、常に使い続けたい家電がありますよね。こちらには、据え置き型の蓄電池がおすすめです。
蓄電池があれば、夜や悪天候などの太陽光発電システムで発電できない時間帯にも貯めておいた電気を使うことができます。とくに、家中に電気を供給できる機種なら、いつもと同じように電気を使って生活ができます。
停電対策に「太陽光発電と蓄電池の組み合わせ」が最適な理由
蓄電池だけでは、停電中に再充電ができません。電気の供給ストップが長引けば、どれほど大きい蓄電池でも充電切れになってしまいます。
ここに太陽光発電があれば、停電中に蓄電池を充電できます。
つまり、停電対策を万全にするには、太陽光発電と蓄電池を併用するのがイチバンなのです。
気候変動を抑える社会貢献ができる
日本を含む世界各地で、未だかつてないと言われる災害が多発しています。その原因のなかに、二酸化炭素(CO2)の排出増が挙げられています。
二酸化炭素は温室効果ガスのひとつです。石油や石炭を燃やす火力発電が多すぎると、大気を暖める物質が放出され、気温や海水温が高くなります。これが気候に影響を及ぼし、天候や気温の変化に繋がってしまうのです。
私たちにできることは、温室効果ガスを減らすことです。
太陽光発電の電気が増えれば、火力発電を減らすことができます。太陽光は発電するときは二酸化炭素を排出しませんので、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減に大きく貢献できます。
太陽光で電気自動車を充電すると、CO2フリーで走れる
さらに、太陽光発電を電気自動車と併用すれば、車での移動で排出される温室効果ガスは、ガソリン車に比べて80%程度削減されます。
温室効果ガスの削減に寄与している電気自動車に、太陽光発電のクリーンなエネルギーを使うことで、さらなる地球温暖化対策に貢献できるのです。
自家用の再生可能エネルギーは「温暖化」と「電気の値上がり」対策になる
世界的規模での地球温暖化への懸念から、二酸化炭素の排出量が少ない太陽光発電システムの需要は今後も高まる見通しです。
2019年12月に開催されたCOP25では、日本の石炭使用に対する批判がありました。今後は、国内においても二酸化炭素の排出量を減らそうとする動きが、さらに高まる可能性があります。
CO2排出量が多い石炭火力がなくなるとどうなる?
そもそも、なぜ石炭を使用してきたかといえば、コストが安いからです。代替品があっても石炭の利用が続くのは、経済的な事情があり、私たちの生活にも関わってきます。
火力発電で脱石炭を進めるとき、電気料金が値上がりするでしょう。なぜなら、発電コストが今までよりも増えてしまうからです。
一方、自宅の屋根を活かして太陽光発電をすれば、自然環境に負荷をかけずに再エネ化できます。こうした再エネ発電をあちこちに普及させるのが、FIT(固定価格買取制度)の本来の目的なのです。
温室効果ガスへの対策は、他国では危機感を持って取り組んでいる重要な課題です。日本は遅れながらも、同じ道を辿るでしょう。
こうした状況から、早い時期に太陽光発電システムを設置して、今後の電気料金の値上がりに備えておくことをおすすめします。
住宅用太陽光発電を設置するデメリット
太陽光発電には、デメリットもあります。ここでは、太陽光発電のデメリットと対処方法を解説します。
売電価格が下がってきている
太陽光発電のFIT制度による買取価格は、年々下がってきています。そのため、以前に比べて売電による収入は少なくなってきました。
これまでの売電単価は非常に高かったので、太陽光の電気は売ったほうが得でした。しかし、2022年度にFIT認定されたら売電価格は17円/kWhです。
太陽光発電では、常に売電単価と電力会社の電気の単価を比べて、より安いほうを使うのが鉄則です。もし電力会社から買う電気の単価が27円でしたら、太陽光発電の電気は自家消費するほうがお得です。
なぜなら、電力会社の電気を使ったときに電気代が1万円でも、太陽光発電の電気を使えば電気代は0円だからです。
FIT価格が下がった太陽光発電の電気は、売電するよりも自家消費したほうが得なケースが増えてきました。さらに、FIT制度の買取期間である10年が終わったら、買取価格は9円前後になる見通しです。そのため、11年目以降は自家消費で電気料金を節約するのが主流になるでしょう。
設置やメンテナンスにお金がかかる
住宅用太陽光発電システムを設置するには、およそ100~200万円の費用が必要です。加えて、蓄電池も設置する場合はプラス100万円前後がかかります。
また、長期に渡り運用するためには、適切なメンテナンスが欠かせません。メンテナンス費用は、定期点検が4年に1回程度で、1回あたり2万円かかります。さらに、パワーコンディショナの交換費用が、10年ごとに約20万円必要です。
これらの費用は、売電や自家消費による節電で元を取ることができます。
パワーコンディショナの交換・買い替えに補助金が使える
また、パワーコンディショナを買い替えるときにハイブリッド型蓄電システムを選ぶと、補助金が使えます。ハイブリッド蓄電システムは蓄電池の一種ですが、太陽光発電のパワーコンディショナを兼ねるからです。
補助金の対象となるハイブリッド蓄電システムを選べば、買い替え費用がぐっとお得になる上に蓄電池も入手できます。
天候により発電量が不安定になりがち
太陽エネルギーをもとに発電する太陽光発電には、天候によって発電量が変わってくるというデメリットがあります。
曇りや雨の日には発電量が少なくなります。もちろん、太陽が沈む夜間には発電できません。
蓄電池を併用すれば、発電量が少ない日や夜間でも電力を確保することができます。蓄電池の導入は、太陽光発電のデメリットを補ってくれるおすすめの方法です。
太陽光発電の元は取れる?
売電価格の推移を見ると毎年下がっているので、「果たして太陽光発電は元が取れるのか」と不安に感じる人もいるでしょう。ここでは、太陽光発電で元が取れるのか、投資として儲かるのかを解説していきます。
太陽光発電の設置費用は10年以内に回収できる
太陽光発電は何年で資金が回収できるのでしょうか。以下の条件でシミュレーションすると、10年間すべて自家消費すれば元が取れる計算になることが分かりました。
なお、電力会社から買う電気については平均単価27円で計算しています。
初期費用 | 72万円 ※ 1kWあたり設置費用 17万円で計算 |
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発電容量 | 4.5kW |
年間発電量 | 4500kWh |
年間節約額 | 8万円 ※ 1kWhあたり27円で計算 |
10年間の節約額 | 80万円 |
トータル収支 | 太陽光の自家消費で 8万円お得 |
この計算では自家消費を前提にしたため、FIT価格がどれほど下がっても影響はありません。
つまり、太陽光発電を今から始めても、10年で設置費用と同じくらい得するのです。
特に2022年からはウクライナ情勢の関係で電気料金が高額になっており、太陽光発電で0円電気生活を始めるメリットはここから10年もっと増えると予想できます。
10年目以降も自家消費で電気代を大きく節約
太陽光発電システムの初期費用を回収したあとは、自家消費で電気代分を節約できます。4人家族の場合なら年間で約14万円、10年間で140万円の節約ができるため、太陽光発電による家計へのメリットは大きいでしょう。
太陽光パネルの経年劣化には無償のメーカー保証
太陽光パネルは経年劣化で発電量が低下するものですが、太陽光パネルメーカーは出力保証を提供しています。保証期間は15年から25年で、海外メーカーの方が長い傾向にあります。
家庭用の電気代が値上がりしても、節約効果が増える
東京電力など電力会社の家庭向けの電気代は、2010年から2017年にかけて約16%値上がりしています。人件費の高騰やエネルギー変革などの背景もあり、電気代は今後も値上がりが続く見通しです。
長期的に見れば太陽光発電システムや蓄電池を設置するメリットは大きいのです。
太陽光発電の費用を抑えるのが一番重要! その方法は?
太陽光発電の売電収入は今後減る見通しとなっているものの、蓄電池を併用することで電気代を大幅に削減できる可能性があります。
導入時に費用がかかっても、長期的に見れば設置費用は元が取れる仕組みなのです。電気会社の電気料金の値上がりや災害、地球温暖化に対応するためには、なるべく早い時期の設置をおすすめします。
タイナビでは、太陽光発電と蓄電池のセットでの見積りができます。設置費用をなるべく安く抑えるために、ぜひ無料の一括見積りを利用してください。
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