太陽光発電システムを設置しようとする際、気になるのがどれだけ発電できるかという点です。そもそも太陽光発電は日光が当たることが大前提なので、日照条件や設置条件によって発電量に違いが出てきます。

ポイントは日射量、設置角度、設置方角

例えば最も日照時間の長い山梨県では、年間日照時間が2450時間ほどなのに対し、最も日照時間の短い秋田県では1500時間程度と、約1,000時間も開きがあります。単純計算で山梨県は秋田県と比較して日射量が40%も多い計算になります。

また、傾斜角0度と40度を比較すると、最大発電量の差はおよそ10%も違ってくるのです。ちなみに理想的な角度は30度だといわれています。

さらに、設置する方角は太陽光を充分に吸収できる真南が理想的なのはいうまでもありませんが、仮に真南の発電量を100%とした場合、東南と南西で約96%、東と西で約85%、北で約66%となるといわれています。

もちろん、周りに建物があって日陰になったり、乱反射による光の量の差が出たりした場合には、この数値は変わってきます。

パネルによる発電量に大差はない

発電量は角度や方角だけではなく、各メーカーが発売しているパネルの性能によっても変わってきます。ある企業が、北海道の3箇所で10社の太陽光パネルを設置して1年間にどれくらいの発電量があったかを計測していますので、その結果をみてみましょう。

メーカー年間発電量(1kWあたり)パネルの種類
パナソニック1,219kWhHIT
シャープ1,257kWh多結晶
京セラ1,258kWh多結晶
三菱電機1,214kWh単結晶
伊藤組モテック1,239kWh多結晶
サンテックパワー1,253kWh多結晶
カネカ1,170kWh薄膜ハイブリッド
カナディアンソーラー1,244kWh多結晶
ソーラーフロンティア1,313kWhCIS
インリーソーラー1,249kWh多結晶

上記の結果から、各メーカーとも1年間の発電量はだいたい1,250kWh前後であり、メーカーによる差はそれほどないということがわかります。強いていえば、薄膜ハイブリッドによるカネカのパネルは少し低く、反対にCISを採用しているソーラーフロンティアは少し高い発電量があるといえます。

太陽光発電ってどのくらいで元が取れる?

太陽光発電システムは1年間で1,250kWhくらい発電できるわけですが、この電気を全部売電したとしたら、どのくらいの期間で設置費用が回収できるのでしょうか。

まず設置にかかる費用ですが、あるメーカーの3.5kWのシステムを、2011年に導入するのに必要だった金額は約181万円でした。次に電気の買取価格ですが、2011年度の場合、42円/kWhとなっていました。それを元に計算すると次のようになります。

  • 年間発電量=約1,250kWh×3.5kw=約4,375 kWh
  • 年間売電額=約4,375kWh×42円=約183,750円
  • 回収期間=約181万円÷約183,750円=【約9.85年】

このように、太陽光発電システム費用の回収期間にはおよそ10年弱かかることが分かります。最近では太陽光モジュールの価格下落や高性能化、自治体の補助金の活用により、早ければ7-8年程度で元が取れるケースが増えてきています。

つまり7、8年で投資回収した後は売電収入が全て利益になるわけです。

また太陽光発電システムの寿命は約20年といわれていますので、固定価格買取制度(FIT)が余剰電力の買取を保証してくれる10年を過ぎた以降も太陽光発電システムが故障するまで半永久的に節電効果をもたらしてくれます。

株や為替のようなリスクが少なく、長きにわたって安定的な節電効果をもたらしてくれるのはとても魅力的であり、それゆえに多くの人が注目しています。

太陽光発電は日照条件、設置する角度、方角によって発電量が変わってきますし、どのメーカーのパネルを選ぶかによって多少なりともその量は変化します。

もしこれから太陽光発電システムを設置しようとする場合には、そうしたことを親切丁寧に教えてくれる施工店を見つけることが重要です。