太陽光発電設備の経年劣化による発電効率の低下は、太陽光発電事業者にとって避けられない課題の1つです。
特に、太陽光発電の心臓部である「パワーコンディショナー(以降パワコンと表記)」の寿命は、およそ10年〜15年とされ、この経年劣化は発電量に大きく影響します。
太陽光発電の固定価格買取制度(以後FIT制度と表記)の適応期間は20年(10kW未満の場合は10年)であるため、制度が始まった2012年あたりから太陽光発電事業を始めた方などは、そろそろパワコンの寿命が切れ、発電効率が低下し始めているころではないでしょうか。
太陽光発電事業を行う上で、発電効率の低下は直接的に売電収入の減少につながります。このまま放置しておけば、太陽光発電事業による売上・利益は年々減少する一方です。
電気を高く購入してもらえるFIT制度の適応期間は20年間なので、せっかく高く売れる期間に発電効率向上の対策をしないのは、損でしかないと言えるでしょう。
そこで、発電効率を向上させ、売電収入を最大化するための対策として注目されているのが「リパワリング」です。
この記事では、リパワリングについて、基本的な知識や、具体的な費用やタイミング、一体どれぐらい売電収入を増やせるのか、について詳しく解説していきます。
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太陽光発電のパワコン交換によるリパワリングとは?
- リパワリングとは?
- 「太陽光発電における劣化した設備を、最新のものに交換し、発電量を最大化すること」です。
太陽光パネルやケーブルなどの設備を最新のものに変更することでもリパワリングができますが、その中でも発電効率に直結するパワコン交換によるリパワリング効果は非常に大きく、かけた費用に対する経済的効果が大きいのが特徴です。
2012年のFIT制度開始時には、パワコンの変換効率は90%〜95%が一般的でしたが、現在は95%〜98%の性能を持つ機種が存在するなど、パワコンは年々進化しています。
たとえば、変換効率が90%のパワコンを使用していた太陽光発電所が、95%のパワコンに交換するだけで、売電収入を5%分も向上させることができるのです。
実際に、年間発電量が50万kWの太陽光発電所の場合、2.5万kW分も発電量が増えるということです。
2023年〜2024年のFIT制度の固定売電価格は16円であるため、単純計算で年間40万円分の増収につながります。
このように、リパワリングは、経年劣化によって落ちてしまった発電効率を向上させ、売電収入の増加につなげる効果的な対策です。
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リプレースとの違い
リパワリングと混同されやすいのが、リプレースです。
劣化した設備の性能回復を行うのが「リパワリング」なのに対し、発電所自体を新たに建て直すのが「リプレース」です。
リパワリングが設備の一部を、リプレースが設備全体を一新するというイメージです。
リプレースは、劣化が激しく修理や部分的な交換では性能回復が見込めない場合や、最新技術をフルに取り入れた効率的な発電所を建設したい場合に選択される手法です。
リプレースは太陽光発電所全体を建て直すので、長期的な収益性の向上が期待できますが、その分、大きな初期投資が必要になります。
なぜ、今太陽光発電事業者からリパワリングが注目されているのか?
太陽光発電事業者からリパワリングが注目されている理由はいくつかありますが、主に次のような4つの理由が考えられます。
経年劣化による発電効率の低下
太陽光発電設備は経年劣化により性能が低下します。
特に発電した電気の変換を担うパワコンの劣化による発電効率の低下は、事業者にとっては売上・利益減につながる深刻な課題です。
この課題を解決する方法の中で、費用対効果が最も高いのがパワコン交換によるリパワリングです。
FIT制度の終了による収益性の確保
FIT制度が開始された2012年から、ちょうど10年以上が経過した2023年からはパワコンの寿命とされる期間に入ります。
FIT制度期間中にいかに多く発電し、多く売るかが重要な太陽光発電事業者にとっては、当該期間中の発電効率の低下は死活問題です。
また、太陽光発電設備の合計出力を変えることは経済産業省によって規制されているためできません。
そのため、できる限り発電量を増やすためにはリパワリングにより、変換効率をいかに向上させるかが重要になります。
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技術革新による発電効率の向上
太陽光パネルやケーブル、パワコンなど、太陽光発電所に使われる機器の性能は年々向上しています。
旧型の設備を最新のものに交換するリパワリングを行えば、それだけで発電量を増加させることが可能になります。
環境負荷の軽減とサステナビリティの実現
リパワリングは、既存の設備を最大限活用することで、環境に配慮した事業運営が可能になり、サステナビリティ(持続可能性)の観点からも注目されています。
こういった理由から、リパワリングは太陽光発電事業者にとって、発電効率の回復、収益性の確保、環境負荷の軽減という複数のメリットを提供する重要な手段となっています。
リパワリングで売電収入はどれぐらい増える?
パワコン交換によるリパワリングを実施する目的は、売電収入の増加です。
低圧の場合と高圧の太陽光発電所の場合で、実際にどれぐらい売電収入が増えるのかを比較してみましょう。
低圧太陽光発電所の場合
低圧太陽光発電所とは、50kW未満の小規模太陽光発電所のことです。
2017年2月28日に売電単価32円でFIT制度の認定を取得した49.5kWの低圧太陽光発電施設では、2年目の発電量(約5万4,000kWh)が1年目の発電量よりも10%低下したことからリパワリングを実施。
発電量10%の低下は、年間の売電収入に換算すると19万2,000円/年となります。
そこでT社のパワコン(9.9kW×5台)から、S社のパワコン(24.75kW×2台)に交換したところ、発電量が約25%増加。売電収入に換算すると年間43万2,000円の増収です。
この太陽光発電所の場合は、FIT期間が残り17年なので、単純計算で17年間で734万4,000円の売電収入増加につながったということになります。
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高圧太陽光発電所の場合
高圧太陽光発電所とは、50kW以上の大規模太陽光発電所のことです。
2013年に売電単価40円でFIT制度の認定を取得した750kWの高圧太陽光発電所で、リパワリングを実施しました。
N社のパワコン(250kW×3台、変換効率95%)から、S社のパワコン(50kW×15台、変換効率98.1%)に交換したところ、1日の発電量が4,850kWhから5,021kWhに増加。売電収入に換算すると1日で6,840円の増収となります。
年間に換算すると約20万円程度の売電収入の増収が見込めます。
パワコン交換によるリパワリングのメリットとは?メンテナンスと比較
事業として太陽光発電を行っている場合、パワコン交換によるリパワリングのメリットは、増収・増益です。
リパワリングによりどのような増収・増益のメリットが得られるのか、それぞれ具体的に見ていきましょう。
メリット1:繰り返しメンテナンスする必要がなく、費用も安くなる
太陽光発電設備に不具合が生じた場合にはメンテナンスや修理を行うのが一般的ですが、経年劣化が進むにつれて、不具合を起こす回数や頻度も増えてきます。
結果的に設備の劣化を放置することで、長期的なコスト増加につながってしまうのです。
資源エネルギー庁の「太陽光発電について」によれば、太陽光発電所設備の維持にかかる費用は、以下の表のように統計情報として出ています。
この情報によれば、太陽光維持(メンテナンスなど)にかかる費用は低圧太陽光発電所(10kW以上50kW未満)で年間5万~25万円、高圧太陽光発電所(50kW以上〜2,000kW未満)では年間25万以上もかかります。
太陽光発電事業者にとっては決して無視できない金額です。
一方で、パワコンを新しいものに交換するリパワリングの費用は本体機器代金、工事費用を含め約60万円ほどです。(※1台の価格。複数台の交換の場合、かかる費用は大きくなります)
新しく性能の良いものに交換すれば、壊れにくく、メンテナンスや修理も不要になります。何よりメーカーの保証期間も増えます。
つまり、短期的にみれば損に見えるパワコン交換によるリパワリングですが、メンテナンスや修理が減るため、長期的にみればコスト削減につながり、経済的メリットが大きいと言えるでしょう。
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メリット2:発電効率、発電量が増え、売電収入が増える
技術の進歩により、近年のパワコンは変換効率が格段に向上しています。
たとえば、現在使用している変換効率が90%だとしましょう。リパワリングによって95%以上の変換効率を持つ新しいパワコンに変更すると、発電量は理論上約5%以上増加します。
この発電量の増加は、直接的に売電収入の増加に繋がります。
たとえば、年間発電量100,000kWh、FIT価格が36円、年間売電収入が360万円の太陽光発電所の場合、年間発電量が5%増加すると、年間18万円もの収入増になるのです。
特に、FIT制度期間内であれば、高い売電価格での長期的な売電収入増が期待できるため、リパワリングの経済的メリットは非常に大きいと言えます。
メリット3:新しくメーカー保証を受けられる
パワコン交換により最新式のパワコンに交換することで、新たにメーカー保証を受けられるというのも大きなメリットです。
通常、パワコンは購入時にメーカーから一定期間の保証が提供されます。短いものだと1年間、平均的には5年〜10年間の保証がつくのが一般的です。
メーカー保証期間中は、修理や交換などのコストがかからなかったり、割安になったりしますが、保証期間が切れると、それらのコストは全て事業者の負担となります。結果的に経年劣化したパワコンを使い続けることは運用コストの増加に直結してしまいます。
一方で、メーカー保証が切れたタイミングでパワコンを交換しリパワリングすれば、新たなメーカー保証を受けることができるのです。
このように、パワコン交換によるリパワリングは売電収入の増加だけではなく、こういったメンテナンス・修理費用のコスト削減にも直結します。
パワコン交換によるリパワリングを検討するタイミングは設置から10年
太陽光パネル自体の寿命は約20年〜30年とされていますが、パワコンの寿命はおよそ10年〜15年程度と短めです。
これはパワコンが太陽光からの電力を直流から交流に変換する過程で高い負荷がかかるためです。そのため、パワコンは他の機器よりも早く劣化しやすい機器です。
パワコンの寿命は一般的に10年〜15年とされていますが、太陽光発電所において、発電量に直結する機器なので、設置から10年がパワコン交換を検討するのに適切なタイミングとされています。
発電量が10kW以上の事業者の場合、FIT制度適用期間が20年です。
10年以上経って発電効率が低下した状態で数年発電し続けるよりも、10年で最新式のパワコンに交換し、発電効率を最大化した状態でもう10年稼働した方が、より売電収入が多く得られるため、パワコン設置から10年で一度パワコンの交換を検討してみましょう。
パワコン交換をせずに放置するとどうなる?
パワコンを故障したまま放置するか、10年〜15年以上経過した古いパワコンを交換せずに使用し続けると、発電効率の低下や故障による発電停止リスクが高まります。
発電効率が低下すると、当然ながら売電収入も減少し、最終的には事業の収益減に直結します。
また、パワコンの故障が原因で発電が停止した場合、修理や交換を行うまでの間、全く収入を得ることができなくなる点にも注意が必要です。
パワコンの機種によっては、世界的な半導体不足により、納期が遅れてしまうケースがあります。
故障してから数ヶ月先にしか届かないなんてことも珍しいことではありません。
こういったリスクを避けるためにも、パワコンの定期的な点検と、壊れてからではなく、適切なタイミングでの交換判断が重要になってきます。
故障したパワコンを放置した場合
故障したパワコンを放置した場合、発電ができなくなるので、売電収入がその分下がります。また、パワコンは世界的な半導体不足で納期が遅くなることがよくある機器です。
数ヶ月発電できないことになれば、太陽光発電事業としては大きな損失につながります。
また、パワコンの不具合により、設備全体に過度な負荷がかかり、正常な他の部品にも損害を与える可能性や、故障した部分から出火や漏電してしまう可能性も十分に考えられます。
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10年〜15年以上使用したパワコンを交換せずに放置した場合
10年~15年以上使用したパワコンを交換せずに放置した場合、発電効率が低下し、発電量が減少。くわえて売電収入も減少します。
また、経年劣化したパワコンは新しいものに比べて故障しやすいため、それが原因で発電停止になってしまう可能性も十分に考えられます。
先延ばしにしてしまい、最悪の事態になってから対処するのでは遅いので、少なくとも使用から10年経過したあたりから交換時期を検討し始めるようにしましょう。
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必要に応じてパワコン以外の交換も検討
リパワリングの効果を最大化するためには、パワコンだけでなく、太陽光パネルやケーブルなどの他の機器の交換も総合的に検討することが重要です。また、発電量のモニタリング機能の備わったオプティマイザなどを新たに設置することも設置も有効です。
パワコンが一番発電効率に直結している機器なので、パワコン交換でしかリパワリングができないと思っている方もいるかと思いますが、そうではありません。
太陽光発電設備の各部品は互いに連携して機能しているため、システム全体の劣化部品を交換することでより高いリパワリング効果が期待できます。
具体的には、次のような機器の交換・設置を検討しましょう。
太陽光パネル | 最新の太陽光パネルの場合、 同じ出力を少ないパネルで 実現できるようになるため、 その分メンテナンスコスト減、 運用効率化が見込めます。 |
ケーブル | ケーブルを電気が通る際に 少なからず電力損失が起きます。 最新のケーブルの場合、 電力損失が最小限に抑えられるので、 その分発電効率が向上します。 |
ただし、太陽光発電所の合計出力増加が国によって規制されている以上、パワコンの交換がリパワリング効果が最も高いので、その他の機器の交換はメリットが大きければ行う程度で問題ありません。
パワコン交換によるリパワリングのデメリットとは?
パワコンの交換は、太陽光発電設備の発電効率を向上させ売電収入を最大化できるなど、事業者にとってはメリットの大きい手段ですが、考慮すべきデメリットもいくつか存在します。
中でも特に注意すべきなのが、新しいパワコンと既存のシステムとの互換性の問題です。
新しいパワコンを設置すると、表示モニターや接続ユニットなどの周辺機器との互換性が失われることがあります。これは、新旧の機器間で通信プロトコルや接続インターフェースが異なる場合に発生する問題です。
- この互換性の問題により、パワコン本体の交換だけでなく、周辺機器も一緒に更新しなければならない場合があります。
結果として、パワコンの本体代金と工事費用に加えて、周辺機器の更新代金も発生し、リパワリングコストが想定以上に増加してしまう可能性があるのです。
そのため、リパワリングを検討する際には、単に変換効率が高いパワコンを選ぶだけでなく、既存のシステムとの互換性や、リパワリングによって期待できる売電収入の増加と、かかるコストのバランスを慎重に検討することが必要です。
パワコン交換によるリパワリングにかかる費用の平均は約60万円
太陽光発電におけるパワコンの交換にかかる費用は業者やパワコンの機種によっても異なりますが約60万円です。
パワコン交換費用の内訳としては、機器代金が半分、残りが工事費用、それに伴う出張交通費用になります。
パワコン交換の工事にかかる平均費用
パワコン交換の工事費用は1回約25万円です。
ただし、メーカー保証期間内であれば、パワコンの交換費用は無償です。メーカー保証利用による交換の場合は同機種への変更なので発電効率回復はできても、リパワリングのような発電効率向上は見込めないので注意しましょう。
また、パワコン交換の工事費用は、1台につきの費用ではなく、1回につきの費用になります。複数台を一気に交換することで、工事費用は割引などが適用され割安になります。
パワコン本体の平均費用
パワコン本体の費用は、発電量の大きさやメーカーによって異なりますが、約30万円程度です。
パワコンは価格だけで選ぶのではなく、自社の発電設備と互換性があるかどうかが重要です。そのため、どのパワコンに交換するかは、価格だけで選ぶのではなく、専門の業者に相談して最終判断するのが無難です。
パワコン交換によるリパワリングはどこに依頼すればいいの?
パワコン交換は、太陽光発電設備の効率を維持し、長期的な運用を確保するために重要な作業です。
そのため、
業者選びが何より重要です。
パワコン交換の業者を選ぶ際には次のようなポイントを意識して複数社を一括見積もりサービスなどで比較してみるのがおすすめです。
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専門知識と経験
太陽光発電設備に関する専門知識と施工に関する豊富な経験を持つ業者であることは必須条件でしょう。
特に、パワコンに関する技術的な理解と、様々なメーカーの製品に対応できる能力がある業者が望ましいです。
また、創業年数が長いことや、対応件数が多いということも、それだけ長期間にわたり、多くの太陽光発電設備の施工に携わってきたという重要な判断材料の一つと言えるでしょう。
実績と評判
過去のリパワリング案件の実績や、顧客からの口コミ・評判を確認しましょう。
インターネット上のレビューや、知人からの推薦なども参考になる情報です。
アフターサービスと保証
パワコン交換後のアフターサービスや保証内容も重要な選定基準の1つです。
万が一の故障やトラブルに迅速かつ適切に対応してもらえるかどうかを確認しましょう。
見積もりとコスト
1つの業者ではなく、複数の業者から見積もりを取り、コストとサービス内容を比較検討しましょう。
安さだけでなく、提供されるサービスの質や保証内容も考慮することが大切です。
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対応の迅速さ
問い合わせに対するレスポンスの速さや、工事スケジュールの柔軟性も評価ポイントの1つです。
特にパワコンの場合、絶対に確認しておくべきなのが「パワコン交換を依頼してからどれぐらいで手に入るのか」という納期です。パワコンは納期が遅くなりがちな機器なので、数ヶ月先が納期なんてことも珍しくありません。
また、10年前のパワコンの代替品がない、ということも十分に考えられます。
たとえば、次のようなパワコンはすでにメーカーにより生産中止されており、互換性のあるパワコンの提案が必須となります。
発電効率の低下を最小限に抑えるためにも、納期が早く、迅速な対応が可能な業者を選びましょう。
DIYで交換するのは避けよう!
太陽光発電のパワコンの交換には電気工事士の資格が必須です。
資格を持っていない人が作業を行うと、そもそも法律違反になります。また、不適切な取り扱いから感電や怪我をする危険がありますし、最悪の場合、太陽光発電設備自体を故障させる原因にもなりかねません。
さらに、パワコンは太陽光発電の心臓部であり、正しく交換しなければシステムの性能低下や安全性の問題に直結します。
たとえば、配線が適切でなかったり、防水処理が不十分だったりすると、後に大きなトラブルに発展する可能性があります。
これらのリスクを避けるためにも、パワコンの交換は専門知識と技術を持つプロフェッショナルに依頼することが必要不可欠です。
DIYによる交換は、リスクを伴うだけでなく、結果としてコストや時間の面で不利益を被る可能性があるため、絶対にやめましょう。
FIT終了後は売電価格が下がるので、費用対効果はしっかりとシミュレーションしよう!
FIT制度が適用されるのは、20年です。FIT期間が終了すると、売電価格は大幅に下がります。
例えば、FIT制度が始まった2012年のFIT価格は40円/kWです。仮に今年FIT制度が終わり売電価格が通常に戻るとすれば、東京電力の場合で8.5円/kW(※2024年3月時点の電気買取価格)まで下がります。
つまり、今回の例で言えば単純計算で78.7%も売電収入が落ちてしまうことになるのです。
リパワリングには、パワコンや太陽光パネルの交換など、初期投資が伴います。
FIT期間終了後の低い売電価格での運用となる場合、リパワリングによる収益増加が投資コストを上回るかどうか、慎重にシミュレーションする必要があります。
場合によっては、リパワリングにかかる費用と、FIT期間終了後の売電収入の見込みを比較した際に、トータルコストがマイナスになる、つまり投資した費用を回収できない可能性も否定できません。
そのため、リパワリングを行う前には、必ず専門の業者にFIT期間終了後の売電価格を踏まえた費用対効果のシミュレーションを依頼し、長期的な収益性を十分に検討してから判断するようにしましょう。
交換は1つずつではなく、一気にやるのがおすすめ
パワコンの交換には、専門業者による工事が必要になります。
この工事には一定の固定費用(出張費、基本工事費など)がかかります。
もし機器を一つずつ別々に交換する場合、この固定費用がそれぞれの交換ごとに発生してしまうため、トータルコストが高くなってしまうのです。
一方で、全ての機器を一気に交換すれば、一度の工事で済むため、固定費用は一回分だけで済み、安く済みます。
たとえば、5台あるパワコンのうち、3台が立て続けに故障した場合、1台ずつ交換すると、その度に工事費用が発生し、また工事の度に太陽光パネルの回路一列分が3ヶ月も停止になることで、合計9ヶ月分の損失になります。
1ヶ月ごとの売電損失額を5.2万円とすると、9ヶ月で46.8万円もの損失になってしまいます。
一方で一度に全台交換していれば、工事一回(3ヶ月)の損失額15.6万円だけで済むのです。
加えて、一気に全ての機器を最新のものに更新することで、システム全体の互換性や効率の最適化が図れますし、太陽光発電所の長期的な運用を考えると、一気に交換することで、次回のメンテナンスや交換時期が同期され、管理が容易になるというメリットもあります。
このように、全数を一気に交換することで、かかるコストが安く済むだけではなく、将来的な運用計画を立てやすくなったり、予期せぬトラブルやメンテナンス費用の増加リスクを低減することができるのです。
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リパワリングに関するよくあるQ&A
リパワリングに関するよくあるQ&Aの中から代表的なものを紹介します。
合計出力を増やすことはできる?
リパワリングによって太陽光発電所自体の合計出力を増やすことは、基本的にはできません。なぜなら、経済産業省によって合計出力を増やすことが規制されているからです。
太陽光発電を行う際には経済産業省に太陽光発電所の合計出力の申請を行っているはずです。
実際に、最新式の太陽光パネルに交換し、枚数を増やせば合計出力を増やすことは可能ですが、経済産業省に申請した合計出力を3%以上、もしくは3kW以上増やすと、FIT価格がFIT認定当時の価格ではなく、本年度の価格にまで下げられてしまう可能性があるので注意しましょう。
リパワリングは必要?
リパワリングは必ずしも必要なわけではありません。同じ性能を持つ同じ機種に変えるという選択肢もありです。
しかし、リパワリングを行えば、それだけで発電量が増え、売電収入の増加など、増収・増益につながります。せっかく費用をかけて太陽光発電設備を交換するのであれば、少し高くてもより多くの利益を生むリパワリングを検討した方がお得です。
パワコン交換によるリパワリングはFIT認定を受けた時期によっても変わる?
変わります。FIT価格は制度が開始された2012年から下がり続けています。
そのため、FIT認定を受けた時期が2012年に近ければ近いほど、リパワリングによって収益性が改善される割合が高いと言えます。
保証期間が残っているのにリパワリングして経済的メリットはある?
保証期間が残っている機器に対してリパワリングを行っても経済的メリットは存在します。
たとえば、仮に保証期間が10年のパワコンを8年で交換し、リパワリングしたとしましょう。あと2年同じパワコンを使っていた場合よりも、リパワリングして売電収入を向上させた方が長期的に見て収益増につながる可能性は十分に考えられます。
このように、「保証期間まだ残っているからリパワリングはもったいない」と考えるのは間違っています。もっと「太陽光発電所全体で長期的に見て収益増につながるか?」を考えてリパワリングすべきかどうかの判断を行うべきです。
どのメーカーのパワコンがおすすめ?
どのメーカーのパワコンが良いかよりも、あなたの太陽光発電所と互換性があるかどうかがパワコン選びの重要なポイントです。互換性がある機種の中で比較しましょう。
分からない方は無理に自分で選ぼうとせずに、パワコン業者に相談しましょう。
売電収入の最大化や長期的な視点で見るなら、修理や放置よりもパワコン交換によるリパワリングがおすすめ!
この記事では、太陽光発電のパワコン交換によるリパワリングについて詳しく解説しました。
長期的な運用と収益性の観点から見ると、太陽光発電事業開始から10年程度経った段階で、
まずは耐用年数の短いパワコン交換によるリパワリングを検討してみるのがおすすめです。
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リパワリングにより、最新技術を導入することで発電効率が向上し、長期にわたって売電収入の増加が期待できます。
また、新たなメーカー保証の取得により、将来のメンテナンスコスト削減や安定した運用が見込めるため、リパワリングによる経済的メリットは大きいと言えます。
特に2012年近くに太陽光発電事業を始めた場合には、売電価格が高額なため、リパワリングによる経済メリットが大きいので、ぜひまずはパワコン交換によるリパワリングから検討してみてください。
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