ソーラーパネルを設置するメリットのひとつに、いわゆる電力の買い取り制度が挙げられます。その名のとおり発電した電気を電力会社に買い取ってもらえる制度ですが、買い取り価格は毎年変動し、また今年度(平成27年度)からは地域による価格差もでています。そしてさらに大きな差となるのが、「発電容量」による違いです。今回のキーワードである「10kW」は、そのボーダーラインとなる数字なのです。

10kWで何がそんなに変るのか

では「発電容量」によって、買い取り価格はどのくらい変わるのでしょうか。

太陽光発電システムは一般的に、発電容量10kW以上が「産業用」、10kW未満が「住宅用」と呼ばれており、その呼び名のとおり一般家庭に設置するのであれば住宅用がメーンとなります。その違いを表にまとめてみました。

発電容量 買い取り価格(1kWあたり) 買取
期間
買い取り
可能量
電力会社 価格
住宅用
-10kW未満-
北海道・東北
・北陸・中国
・四国・沖縄
35円 10年 余剰ぶん
のみ
東電・中部
・関西
33円
産業用
-10kW以上-
電力会社
による
価格差なし
29円 27円
(7月以降)
20年 全量

さてご覧のとおり、買い取り価格は住宅用の方が4〜8円ほど高くなっています。では住宅用の方がおトクかというと、実はそうとも言い切れないのです。

買い取り期間の違いは採算性の差

その大きな理由のひとつが、買い取りの期間です。買い取り価格は毎年国によって決められており、年々値下がりを続けています。しかし一度発電をはじめると、その年から一定期間は同じ金額で買い取ってもらえるのです。その期間が、住宅用(10kW未満)では10年間、産業用(10kW以上)では20年間と定められています。産業用は買い取り価格が低廉なぶん期間が長く、導入コストの償却も含めた採算性は一般的に高くなります。一方の住宅用は買い取り価格が高いぶん10年間しか買い取ってもらえないため、トータルの採算性は下がります。

住宅用は余ったぶんしか売れません 自宅での電気使用量にも要注意

もうひとつの違いが、いわゆる「全量買い取り」と「余剰買い取り」の差です。産業用では発電した電気をすべて買い取ってもらえるのに対し、住宅用で発電した電気は自家使用が基本。つまりまず自宅で使用し、売ることができるのは余ったぶんのみなのです。これも採算性に大きく関わってくる部分なので、住宅用太陽光発電システムを導入する際は自宅での電気使用量の推移もシミュレーションに加えましょう。

投資対象としても人気の産業用太陽光

産業用と住宅用の違いは他にもまだあります。産業用は発電をビジネスとして行うことを前提とした制度のため、国からの補助金が受けられません。また発電量が50kWを超えると、維持管理、運営を行うために電気主任技術者の資格が必要となり、発電や送電について電力会社との折衝も行わなければなりません。さらに大規模となるとメンテナンスにも時間とコストがかかり、個人で運用できるレベルではなくなってきます。そのため、最近では価格的にも安く、素人にも維持・管理が容易な50kW以下のシステム、いわゆる低圧発電所が投資家の間で人気です。

住宅だから「住宅用」?メリット最大化のためにまずは捨てたいその先入観

一般住宅に10kW以上の産業用システムを導入することも不可能ではありません。条件によっても変わりますが、10kWの発電に必要なソーラーパネルの面積は約50㎡。おおむね30畳ぶんで、住宅用のシステムをそのまま拡張させて10kW以上の発電量を得るのも難しいことではありません。メーカーなどのサポート体制も整ってきており、ハードルは下がっているといっていいでしょう。なによりも20年間の買い取り期間とその収益力は大きな魅力です。太陽光発電のメリットを最大化するためには「住宅だから10kW以下」という固定観念を捨て、両者のメリット・デメリットを十分見極めたうえでシミュレーションする必要がありそうです。