太陽光発電システムは長く使えると言われていますが、それはメーカーの性能によってまちまちです。長く使うにはそれなりのメンテナンスも必要となるのですが、太陽光発電の発電効率が落ちるのには原因があります。ここでは、代表的な5つの原因を挙げてみました。

太陽光発電の発電効率は性能や状況によって下がる

太陽光発電システムは20~30年といった長い期間使えるといわれていますが、それはメーカーの性能によっても変わります。実際に30年以上問題なく稼働していたなんてデータは、探すのが難しいほどです。

性能だけでなく、状況などによっても発電効率はどんどん下がっていくのです。

経年劣化による発電量の低下

太陽光発電システムは精密機械ですから、どんなに高性能なパネルであっても、時間の流れと共に性能がどんどん劣化していきます。劣化率はメーカーによってバラバラで、1年ごとに0.5%未満ほど低下するパネルもあれば1%を超えるパネルもあります。

劣化率が高いメーカーのパネル程、発電量の下がり具合も酷く、使えなくなる日も早く訪れるでしょう。また、劣化率の下がり具合はそこまでひどいものではないけれども、15年程経過した頃にガクンと発電量が下がってしまうといったケースも見られます。

この場合、使用していたパネルがその土地の気候や環境に適したものではなかったという事が考えられます。つまりは、耐久性の問題です。日本の気候は年間を通して移り変わりが激しく、猛暑や大雪、梅雨などの変化に対応させるのはとても難しいことなのです。

表面に積もった汚れで発電効率が下がる事も

太陽光パネルは屋根の上に野ざらし状態で置かれているので、トラブルに遭遇する事で発電効率が大きく下がってしまう事もあります。

パネル内部の配線などが劣化、ハンダ剥離により断線、黄砂や鳥の糞、枯葉などによる表面ガラスの汚れなどのトラブルが起こってしまうと、発電効率が大きく低下してしまうのです。

ガラスやパネル内部の劣化で発電効率が下がる

ガラスが破損してしまうのは意外と多く、台風などの自然災害で物が飛んできて破損してしまったりと仕方がない部分もあります。この場合では、自然災害補償が適用されていれば問題ありません。

ただ、パネルを守るエッジカバーやガラスが割れて雨水が浸水してしまったり、パネル内部の劣化についてはメーカーの性能レベルの問題としかいいようがありません。

太陽光発電は高温に弱い

太陽光発電は高温に弱い

太陽光発電は高温に弱く、日照時間が長く日射量が多い8月は、特に発電効率が低下してしまいがちです。パネルの性能によっても変わりますが、単結晶や多結晶シリコンなどのシリコン系半導体に多く見られます。

8月の発電量よりも5月など春先の方が発電量が多いということが起こるのです。ちなみに、年間を通して発電量が一番多い時期は5月である事が研究により判明しています。

気温によって発電量はどれくらい下がるのか?

30度を超えるような真夏日では、パネル内部の温度は70℃~80℃まで上がっています。発電効率は25℃で最大値になり、1℃上昇する度に0.5%ほど発電量が低下すると言われていますので、真夏日には最大発電量が30%近くも低下してしまうことが予測されるのです。

気温の上昇による発電量の低下を予防するには、高温時に発電効率が低下しにくいパネルを選ぶ事、またパネルの温度が上がってしまった時に冷却する仕組みを作る事が挙げられます。つまり、高温に強いパネルを選ぶということです。

電圧上昇抑制で一気に発電量が下がる

太陽光パネルに何も問題がなくても、電圧上昇抑制をされると発電効率が一気に下がります。最悪、天気が良くてもまったく発電しないといったことも起きます。

これは、太陽光パネルは発電しているのですが、パワーコンディショナーの方で発電が抑えられている状況です。系統連系運転中は売電はおろか、自宅で使うこともできないのですから困ったものです。

電圧上昇抑制をされている時には、モニターに表示されるか、パワーコンディショナーの抑制ランプが点灯するなど、さまざまです。抑制される理由は電力会社からの供給電圧が高い事なので、まずは電力会社に連絡して対応してもらわなければなりません。

ちなみに、近所に工場や大型施設がある場合では、最初から電圧が高めに設定されていることもあります。

電圧上昇抑制における電力会社の対応

電圧上昇抑制における電力会社での対応は、1週間ほどのデータを調べ、そのデータからパワーコンディショナーの整定値を変更したり、トランスのタップ切替え、専用トランスの設置、電線を太くするなどの対応をとります。

パワーコンディショナーの整定値の変更…出力電圧を供給電圧よりも上げる事になるのですが、下手に上げると近隣住宅に被害がでる可能性があるので、そのあたりも考慮して変更します。

トランスのタップ切替え…トランス(変圧器)とは電柱にぶら下がっているバケツのようなもので、高電圧を低電圧にする働きがあります。タップを切り替えて出力電圧を下げます。ただ、切り替えができないトランスもあります。

専用トランスの設置…一番確実な方法ではあるものの、費用が10万~30万と高額です。
電力会社が負担してくれる場合もありますが、一般的には利用者が負担することとなります。

電線を太くする…電柱からの引込線からパワーコンディショナーまで、すべての電線を太くするのですが、費用がかかるだけでなくあまり効果はありません。トランスの設置ができない場合におこなわれる事があります。

https://www.tainavi.com/library/4119/

定期的なメンテナンスが発電量低下を食い止める

太陽光発電定期的なメンテナンス

太陽光発電は、メンテナンスを定期的に行うことでより多くの発電量を得る事ができるようになります。太陽電池セルを構成するシリコンはその性質上劣化しにくく、20年や30年は使えると言われていますが、他の部分は違います。

パネルを設置する架台やパワーコンディショナー、電力会社との電力網など、これらの部分がダメージを受けて発電量が大きく下がる事もあるのです。

つまり、メンテナンスフリーだといってそのままにしておくと、どこかしらで不具合が起き、発電量が下がってしまうのです。一般的に、太陽光発電システムの設置後10年間は、無償での交換・修理の保証がついています。

不具合は早急に見つけて対処しなければいけません。不具合を放置する期間が長いほど、発電量の低下は大きくひどくなっていくのです。

常日頃から意識したい太陽光発電の状態

太陽光発電定期的なメンテナンス

太陽光発電のメンテナンスは、定期的にパネルを点検するのはもちろん、発電量のモニタリングでその動きを把握しておく事が大切です。さらに、太陽光パネルだけではなく、パワーコンディショナーや接続箱の状態も点検しておくことが重要です。

特にパワーコンディショナーは故障しやすく、それがパネルに大きく影響を及ぼすこともあるのです。パワーコンディショナーは常に電気を変換するなどして熱を持っているので、他に比べて寿命が短いですから注意が必要です。

不具合を発見したら、販売店に連絡して対応してもらうようにします。間違っても、自分で手を出してはなりません。

太陽光発電の発電効率が大きく下がってしまう原因は、経年劣化やパネル表面についてしまった汚れや、ガラスや内部の損傷や劣化といった精密機械であるが故の原因だけではなく、高温に弱いといった性質や、電圧上昇抑制といった電力会社とのつながりから起こる事も挙げられます。

日頃のメンテナンスはもちろん、発電量のモニタリングや、さらにはシステムの仕組みも把握しておくようにすると、発電量の低下を未然に予防できます。